コーポレートガバナンス・コードでは、「企業の稼ぐ力を高める」には社長をトップとしたピラミッドの枠外にある社外取締役を活用しようとしており、その社外取締役の機能をより発揮するためにはどういうことをコーポレートガバナンス・コードは求めているのでしょうか?ということで終わりましたので(前回の記事は最後に再掲します)、今回はこの続きになります。
この社外取の活用を実効あらしめるためには、どういうことをコーポレートガバナンス・コードは想定しているでしょうか、ということについて説明してみたいと思います。
ある会社(例えば株式時価総額5000億円程度のメーカーとしましょう)で取締役が総数で15名いるとします。このうち、社外取は何名いればよいでしょうか?2名いれば足りるでしょうか?3名いれば足りるでしょうか?というように、社外取が何名いるかが肝になります。
例えば、3名の社外取がいて、この3名が超一流企業の経営経験者とします。例えば、三菱商事、三井物産、三菱重工、日立製作所といったような一流企業の元社長であったと仮定します。そして、残り12名は社内取です。学歴、職歴、世間的な地位からして社外取の方が「格」は圧倒的に上だと思います。この場合、この3名の社外取集団で12名の社内取締役(以後、社内取といいます)集団に議論で勝てるか否かが社外取の員数が適切かどうかの判断基準になります。
3名で勝てるでしょうか?多分勝てませんよね。ここで言っているのは、多数決で勝てるか否かではありません。多数決で勝てないのは当然ですが、要するにこの3名が委縮することなく、12名の社内取集団に自分の意見や主張を伝えることができるか否かです。いくら優秀な3名の社外取集団であっても、おそらく12名を前にしてはガンガンと主張や提案をするのは難しいはずです。
では何名が妥当なのでしょうか? コーポレートガバナンス・コードでは、最低3分の1の社外取が必要と考えています。つまり、15名の取締役を総数とした場合、最低5名の社外取が必要ということです。
分かりやすくいいますと、ガチンコの勝負になった場合、多数決の勝負では負けるけど、その前段階の意見・提案の議論の段階では、5名の社外取集団がいれば、残り10名の社内取集団と戦えるであろうということです。
5名が合理性のある意見や主張をすれば、それになびく社内取が出てくるかもしれません。ということで、まずは、社外取は3分の1以上が存在することが必要になってきます。多くの日本の上場企業ではこの数年で3分の1以上の社外取の条件はクリアするようになってきました。では、人数の基準をクリアしていれば問題はないのでしょうか?
この続きは次回です。