中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

中小型株の上場企業の企業統治の規律 ー 個人投資家の出番です!

本日は、経済産業省が本年7月19日に公表した改訂CGSガイドラインを読み込みました。多くの企業の来年6月の定時株主総会での株主提案を考え、9月はアクティビスト(物言う株主)が株式を取得する時期かと思います。そして、10月以降は、投資先企業をじっくりと分析を開始することになるかと思いますが、その際にこのCGSガイドラインはアクティビストの武器の1つになります。個人投資家の方も自分の投資先企業への株主提案、質問をする材料としてこのガイドラインをしっかりと読む込むと良いと思います。次回から、ブログではCGSガイドラインの改訂のポイントを複数回にわたり非常に分かり易く説明をして行きたいと思います。

さて、本日は新聞記事を1つ紹介します。10月3日の日経新聞に掲載の「企業統治の論点(下)」です。

成長につながる規律 必須 企業統治の論点 :日本経済新聞

中小型株の上場企業経営者の企業統治改革が進んでいない理由が分かりやすく掲載されている点が興味深いです。中小型株は機関投資家の投資の対象外であり、資本市場からの資金調達は難しいも、上場しているため金融機関からの資金調達が容易であり、機関投資家のモニタリングは緩やかで、最低限の議決権行使基準を充たせば足るといった趣旨で。私も全くそのとおりと前から考えていました。

中小型株の企業はコーポレートガバナンスを真剣に考えている企業は少ない印象を持ちます。万年、割安株状態の中で株価を向上させようとする強い意思が感じられないケースが非常に多いです。資本市場からの資金調達の予定がないにもかかわらず、新卒学生の採用や社員のプライドのためだけに上場している中小型企業は多いのが現実です。うるさい機関投資家が株主にいないので、コーポレートガバナンス・コードや株価向上にもほとんど関心を払っていません。この手の企業はIR開示にも消極的であったります。こんな企業が上場していることは問題かなと思います。「規律が乱れている」状態と言えます。

だからこそ、中小型株の企業には、個人投資家コーポレートガバナンスに精通して、機関投資家に代わって企業統治の改善・改革を促すことが大事になります。そうすることで、投資先企業の中長期的な企業価値が期待できます。

個人投資家の皆さんは、しっかりとコーポレートガバナンス・コードを読み込み、各原則・補充原則の内容と趣旨を一度じっくりと勉強されるとよいかと思います。自分の強みを高めることになります。その上で、株主として、投資先企業のIR部門に質問・提案をする、株主総会に出席して議長に質問をするなどのアクションをとるべきと思います。そうすることで、投資先企業のコーポレートガバナンスが改善され、中長期での企業価値が向上していくはずです。