中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

物言う株主(アクティビスト)の武器 ー コーポレートガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)のポイント

昨日は、経済産業省が7月19日に公表したコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)について、某オンラインセミナーでの経済産業省の産業組織課長の説明資料と旬刊商事法務に記載の課長補佐クラスの方の解説記事を読みました。CGSガイドラインは次のとおりです。

「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」を改訂しました (METI/経済産業省)

今回の改訂箇所はいくつかありますが、大きなポイントの1つは、取締役会の監督督機能の再度の整理と社外取締役の評価になると私は考えています。

まず、監督機能ですが、監督=監視というイメージを未だに持つ企業が多いですが、そうではなく、経営陣のリスクテイクを後押しし、リスクテイクをしないことのリスクを提起することも監督に含まれるということです。私も社内で会話をすると監督のイメージを勘違いしている方がかなり多い印象を持ちますが、単に業務執行の進捗等を監視するのは取締役会の仕事ではないということです。勿論、執行サイドから報告があれば取締役会も何らかの発言はしますが、報告を受けるのを主と考えるのではなく、能動的に行動せよということかと思います。例えば業績が向上しないCEOについて指名委員会は解任を検討したり、報酬減額を検討するなども取締役会の監督機能になります。

次に、やはり社外取が重要ですね。プライム上場企業では社外取3分の1以上がコーポレートガバナンス・コードで要請されているので(コンプライではないですよ)、とりあえず、数あわせのため税理士や弁護士あたりに社外取になって貰ったという企業も大変多いかと思います。けど、事業も分からない素人を社外取にして、「本当に機能しているのか?」「質は大丈夫か?」ということです。社外取を指名委員会委員長や筆頭独立社外取が主導して評価せよということです。これは重要ですね。

私が物言う株主であれば、これを理由に業績の低迷する企業に対して、事業成長に貢献できる社外取への交代を強く提案すると思います。投資先銘柄の中でいくつかの企業の来年の株主総会に参加して、こういった主張を議長にしてみたいなと思います。

ということで、「中長期投資を志向する個人投資家」の方は、今回のCGSガイドラインを一度じっくり読み、自社の投資先企業はこのガイドラインに照らしてどうかを良く考え、必要に応じて投資先企業に提案や質問をすることが大事かと思います。株式市場の約17%を占める個人投資家物言う株主的な行動をすることが株価向上に繋がるのだろうと考えます。ブログでも今後、CGSガイドラインについて、複数回にわたり個人投資家向けに分かりやすく解説をして行きたいと思います。

次回は、事前警告型の買収防衛策を廃止する際のポイント(その2)を書きたいと思います(多分今週週末)。