中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

経産省がCGS研究会(第2期)の中間整理について公表

5月18日に経済産業省が、CGS研究会(第2期)の中間整理について公表しました。

経産省は、昨年3月、コーポレートガバナンスの取組みの深化を促す観点から、企業において検討することが有益と考えられる事項を盛り込んだ「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)を策定しました。その後、CGSガイドラインのフォローアップとして、CGS研究会(第2期)を立ち上げ、コーポレートガバナンス改革の現状評価と実効性向上に向けた課題について検討を行ってきましたが、今回、中間整理を公表しています。

本年の夏頃を目途にCGSガイドラインの改定版を公表するということですが、改訂の方向性を示す中間整理の大きな内容は、次のとおりです。

1 社外取締役の活用
- 社外取締役としての役割を果たす上での最低限のアベイラビリティーやコミットメントが求められること、社外取締役を総体して捉えて、取締役会全体として必要な資質・能力を備えることの整理
- 社外取締役による監督の実効性確保の観点から、指名委員会において社外取締役の「選任・再任」の基準の設定が望ましい

2 指名委員会・報酬委員会の活用
- 委員会の構成や運営方法などについて、議論の対象や企業の置かれた状況による差異に応じ、場合に分けてベストプラクティスを整理すること

3 後継者計画のあり方
-「指名・再任プロセス」の客観性・透明性の確保や後継者計画の実効性確保において企業が参照できるベストプラクティスを示す

4 経営陣幹部の報酬・業績評価等
- 役員報酬の方針やベストプラクティスについて整理。報酬方針・設計の在り方のベストプラクティス(例:グローバル事業の展開企業におけるグローバル経営人材確保をする場合の役員報酬設計を行う際の留意点)の整理

5 取締役会の議長
- どのような企業が社外取締役が議長を務めるのが望ましいかを整理

大きくポイントと思われる事項は、上記のとおりかと思います。

上記5などは、現在は上場企業の約80%超は取締役会議長=CEOとなっていますが、指名委員会等設置会社など取締役会を戦略的議論の場とする企業は、社外取締役を議長にするというのが今後の流れになるような様相です。

もうすぐ確定する改訂コーポレートガバナンス・コードは金融庁の管轄で、こちらの改訂CGSガイドライン経産省の管轄ですが、経産省の担当者もフォローアップ会議にオブザーバーとして参加しており、コーポレートガバナンス・コードと同じ方向での改訂となります。

本夏に改訂CGSガイドラインが公表されましたら、またブログでポイントを整理したいと思います。