中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

良く分かる外資規制強化の動き

最近頻繁に新聞報道がされている外資規制ですが、投資比率を1%まで政府は引き下げる方向ということですが、10月26日の日本経済新聞で事前届出の対象企業を明確にする方向であるとの報道がありました。

外資規制ですが、以前にもブログで書いたことがありますが、現在は、武器・原子力半導体など国の国防などに係る事業を営む企業の株式を海外投資家が10%超を超えて取得する場合事前に政府に届出をし、許可を得る必要があります。

なお、現時点での規制では、対象業種は規定されていますが、具体的な企業名は一切限定されておりません。

これを今回の改正では、1%まで下げる方向ということです。日本の企業にとっては、ある側面からは喜ばしい話かと思います。海外から突然に敵対的買収をされるリスクもなく、海外のアクティビストが数パーセントの株式を取得して自社に様々な提案をしてくる可能性を減らすことが出来るのです。つまり、会社を支配したり、会社に難癖をつけてくる海外機関家から政府が守ってくれるのです。

では、問題は何でしょうか。

海外投資家から日本の株式市場は魅力がないと見られ、日本株への投資が減る可能性です。安倍政権は、コーポレート・ガバナンス改革を進めていますが、これは日本の株式市場は政策保有株式であったり、報酬制度が不透明であるなどの海外投資家が考える課題が多いためこれらを取り払い、海外投資家からの投資を増やすことにあります。つまり、グローバルな株式市場にすることに狙いがあります。

しかし、投資先企業の株式を取得する時に政府に事前の取得許可を求めるとなった場合、海外投資家は「日本株なんかに投資するの面倒だな」と思い、投資先からは外すことを考えることになります。対象会社の発行済株式の1%程度の株式の売買は、個人投資家ではまず無理ですが、機関投資家であれば日常の株式取引の金額です。

現在の日本の株式市場の売買代金の30%は海外投資家です。つまり、企業の株価が上昇するということは、海外投資家が購入することの影響が大きいのです。

今回の規制は影響が大きいので、明確にどの銘柄が事前届出の対象となるのか、全ての上場銘柄を区別するということのようですが、安部政権のこれまでの動きを考えると、規制対象業種が大きく増えるとはあまり想定できないように思えます。

国防など国の産業の根幹に直接かかわる事業を営む企業への投資は規制対象になるが、それ以外の企業は規制から外れるというのが最終的な結果になるように私は想像します。

 最終的には省令で対象企業名が明確になるようですが、各社、自社の今後の株価に影響もあると思いますので、かなり関心が高いテーマであると思います。