コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

外資規制(特にコア業種)を分かりやすく説明します(第3回)

前回、外資規制の第2回についてブログに書きましたが、本日は第3回として説明いたします。前回は、コア業種について次のようなことを説明しました。

外国金融機関がコア業種に認定された上場企業の株式を取得する場合の免除基準は次のとおりで(一般免除基準といいます)、この基準を遵守する限り、1%以上の株式取得において事前届出は不要となります。 

  1. 外国投資家自ら又はその密接関係者が役員に就任しない
  2. 指定業種に属する事業の譲渡・廃止(合併、分割等含む)を株主総会に自ら提案しない
  3. 指定業種に属する事業に係る非公開の技術情報にアクセスしない
これを見ると、コア業種の企業に認定されたことで「海外のアクティビスト(投資ファンド)から当社は狙われる可能性が低下した!」と考える上場会社の担当者もいるようにも思えます。しかし、これは大きな間違いです。
まず、2や3の文言を注意深く読むと「指定業種に属する事業」とされており、これが非常に大事なポイントです。例えば、A事業、B事業、C事業の3つの事業セグメントのある上場会社があるとします。この会社が、A事業についてコア業種の認定を受けたとします。
この場合、海外の投資ファンドがB事業やC事業について、事業売却を求めてきた場合、上の3つの基準の「2」には該当しません。
あくまで「2」では、「指定業種に属する事業」という限定がついて、この事業について、一定の株主提案などをすることが事前届出(その後、役所での審査)の対象となるのです。従い、このケースでは、海外投資家は、事前届出は免除されます。
そもそも現実には、A事業の製品・サービスの全てが指定業種の認定を受けることは稀で、A事業の中の、さらに特定の製品・サービスについてコア業種の認定を受けるのだと思います。この場合、事前届出が必要なケースは更に狭くなると言えます。
外資規制の全面適用は6月7日からで今後の実務運用を見る必要がありますが、当然ですが政府は、海外のアクティビストから日本の上場企業を全て守ろうという意図はないかと思います。
勿論、国防や国のインフラに関わる重要企業(三菱重工東京電力はじめとした日本の産業の根幹を担う超重要な一部の企業といったところでしょうか)は守るという意思はあるのでしょうが、コア業種に認定された約550社には、国の産業の根幹に勿論何らかの関係はあるものの「国の基幹産業のド真中」とは言えない企業が多いかと思いますが、これらの多くの企業を政府が「断固として守る」という意図は普通に考えればないかと思います。
「断固として守る」ということであれば、海外投資家を日本の株式市場に呼び込み、よりグローバルな市場にするという金融庁東証に考えに真っ向から反することになります。だから外資規制などに頼るのではなく、自社のことは自分たちで守るしかないのです。
以前にたしかJR九州が海外のアクティビストに狙われた時、社長の「外資規制はじめ国の庇護に頼るつもりは毛頭ない!」というコメントを日経新聞で見ました。
ということで外資規制については、ひとまずこれで終わりにします。