中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

外資規制の更なる強化の動き ー 新国際秩序創造戦略本部 中間取りまとめ

8月19日の日経新聞レアアース外資規制のコア業種に追加する予定である旨の記事がありました。

コア業種は、過去に何度かブログでも掲載していますが、政府が海外投資家・企業が投資するに当たって重点審査をする対象業種です。

2020年に外資規制が改正されはじめてコア業種が制定されてから、対象企業数が増えています。2020年6月には対象業種は12業種で518社でしたが、2020年 7月には医薬品と医療機器が追加 され717社になりました。新聞報道によれば、11月からレアアース等の重要鉱物の関連業種が追加予定とのことです。

 この新聞報道では、自民党の新国際秩序創造戦略本部が今後、外資規制の運用強化を検討していくということです。新国際秩序創造戦略本部は、本年5月27日に「新国際秩序創造戦略本部 中間とりまとめ~『経済財政運営と改革の基本方針2021』」に向けた提言」を次のとおり公表しています。

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/201648_1.pdf

この中で外資規制について、次のような記述があります。

技術の流出経路の多様化への対応の観点も踏まえ、指定業種の見直しを含めた総合的・包括的な対策を講じるべきである。経済安全保障の観点から真に重要な技術基盤や生産基盤に影響のある対内直接投資等について事前届出審査・事後モニタリングを行っていくにあたり、関係省庁の連携強化を進めつつ、執行体制の強化を図るとともに、同志国と連携するための枠組みを拡充し、さらには地方出先機関が持つリソースも活用しつつ、政府が一丸となって、戦略的かつ大胆な審査体制を強化するべきである

CVCキャピタルが東芝を買収する予定との報道が前にあった時に外資規制強化の話がありましたが、海外では中国を買収者に想定して外資規制を強化しているところです。日本の外資規制は、欧米と比べると弱いことは周知のとおりです。しかし、一方で強化をすると海外のマネーを市場に呼び込むことのマイナス要因にもなります。東京の市場を国際金融市場にしたいという金融庁の意図に反することにもなります。国益保護と海外マネーのバランスをどう図るか難しいところです。資料は週末に一通り読みたいと思います。