コクヨによるぺんてるに対するTOBの結果が公表され、ぺんてる株主から株式を買い取る売買契約が済んだ株式が議決権比率で45.66%になったようです。50%に届いていません。
ところで50%に届くことの意味は理解されていますでしょうか?
「そんなの知っているよ」という方がとても多いと思いますが、実は詳しいことは理解していない方が多いのが事実です。なぜなら会社法の知識が必要だからです。
株式を50%を持つということは、株主総会の普通決議を自由に決定できるということです。
会社法上、株主総会の決議は、普通決議と特別決議の2つに分かれます。特別決議とは、株主総会で株主の3分の2以上、つまり約67%の賛成を得る必要がある決議で、合併、会社分割、重要な事業の一部譲渡、定款の一部変更があります。
普通決議はこれら以外で、株主総会の50%超の賛成の決議が必要になるもので、取締役の選任、剰余金の処分などがあります。コクヨが50%超の株式を持つということは、ぺんてるの取締役を自由に決められることを意味します。
ぺんてるがコクヨの気にいらない人を株主総会で取締役に選任しようとした場合にコクヨは反対できるし、また、コクヨは株主提案(1%の株式又は300単元の株式があれば可能)で自社の推薦する取締役候補者を株主総会に提案した場合、容易に選任できるのです。50%超を保有する意義はとて大きいですよね。
とすると、コクヨはあと4.34%超の株式(=50%-45.66%)を死に物狂いでとりにいこうとします。つまり4.34%の株式を持つ株主の方々になんとかして売却させようとします(私の想像です)。
一方、ぺんてるは、この株主の方々には、株式を売らないように必死に働きかけると思います(これも私の想像です)。
ここで、一番おいしい思いが出来るのは、このわずか数パーセントの株式を持つ株主の方々です。何名の株主になるのか分かりまえんが、OB社員の株主であれば、普通に考えると、コクヨは高い値段を提示して相対で買い取りを求めてくるかも知れないし、一方、ぺんてるは保有継続してもらうために、色々な便益をこの株主に提供してくる可能性があります。
4.34%の株式を持っているぺんてるの株主の方々は、今や「王様(キング)」の立場にいるのです。この4.34%の株主の方々の株式価値は、今やものすごくプレミアムがついているのです。
自分の置かれたキングの立場を存分に利用すれば、今後短期間でかなりの益(金・サービス)が得られるのではないでしょうか。