中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

企業の研究開発費-売上高比率で見ると

9月14日の日経新聞に日本企業の研究開発費についての記事が掲載されていました。日本の主要企業の研究開発費の86.7%は製造業であるが、米国は製造業は約7割で、3割は情報通信等の非製造業であるということです。

つまり、日本の主要企業の研究開発費用を合算すると、ほとんどが製造業のものであり、それ以外の業種の研究開発費は、極めて少ないということです。当然と言えば、当然の結果ですね。

ポイントは、米国では、アマゾンなどは非製造業でありながら、積極的に研究開発(R&D)を実施しているが、日本でもIT分野のイノベーションを強めるには、非製造業以外もR&D投資を積極的に実施する必要があるという点かと思います。

ちなみに、研究開発費は、通常は、売上高研究開発費(=研究開発費÷売上高)で語られることが多いですが、日本は約4%で、米国は約6%台です。

新聞では、日本企業の2019年度の研究開発費のトップ10のランキングが掲載されており、トヨタ 1兆1,000億円、ホンダ 8,600億円、日差自動車  5,500億円と並び、第10位は第一三共の2,250億円となっています。

巨額の研究開発費ですが、企業の規模も大きいので、これだけでは何とも言えません。

そこで、各社の決算短信に記載の2019年度の業績予想の売上高(今後、下方修正する会社もあると思いますが、数値がないので、第1四半期決算短信の通期予想数値を使用)をベースに売上高研究開発費を算出しました。

自動車メーカーは金額は大きいですが、売上高に占める必要はそれほどたいしたことはなく、一方、製薬メーカーである武田薬品第一三共の比率が高いことが分かります。なお、研究開発費用にどこまで含めているかは企業によって違います。

新規の研究開発費のみを入れている会社もあれば、既存の事業の継続に関する研究開発も研究開発費に入れている会社もあります。最終的には監査法人とすり合わせているのだと思います。

個人投資家の方も、投資先銘柄の過去5年程度の研究開発費率を算出して、算出した数値をベースに企業に質問をすると面白いかも知れません。