中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

議決権行使助言会社に対する米SECの規制の動き

買収防衛策について記載しようと思っているのですが、業務がかなり多忙であるためと、業務終了後は、自宅で投資先銘柄と今後の投資候補銘柄の第2四半期決算短信の分析にかなり時間がとられ、じっくり買収防衛策を記載する時間がないので、また別の機会に記載したいと思いますが、本日は、米SECの規制の動きについて触れたいと思います。

先日の新聞で米証券取引委員会(SEC)が、株主提案に対する議決権行使助言会社の規制案を公表したと報道されていました。その内容は次の2点が柱とのことで、今後、市場関係者から意見を広く募った上で導入可否を決定するとのことです。 

  •  助言会社の賛否推奨に企業側が意見を出す機会の提供
  •  株主提案の提出期限の引き上げ

日本では株主提案について規定しているのは会社法のため、株主提案について議決権行使助言会社を規制するということの理由が良く分からないところはありますが、最初の規制案については、よく分かります。

議決権行使助言会社は賛否の推奨をするだけですが、事実上、それをベースに議決権の賛否判断をする海外の機関投資家は多く、助言会社の判断が事実上の判断と同じに扱われています。

しかし、その判断が必ずしも正確でないこともあり(助言会社が株主総会シーズンの時期に集中して大量の銘柄の判断をしなればならないのが1つの原因でもあります)、そこで、会社側に助言会社に提案が正しいか確認させ、誤解あれば企業は助言会社に修正を求めることが可能というものです。

現在、日本でも金融庁のフォローアップ会議が開催されており、スチュワードシップ・コードの改訂と議決権行使助言会社の在り方に向けて議論が進んでいます。このSECの規制がされた場合には、日本での議論に影響があるかも知れません。