コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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味の素が指名委員会等設置会社に移行 ー 取締役会は今後何を議論する場になるのか投資家は関心を持ちます

昨日の日経新聞でも報道がありましたが、味の素が指名委員会等設置会社に移行します。定款変更が必要になるため、移行時間は来年の定時株主総会終結の時です。

11月26日の味の素のプレスリリースに「移行の背景・目的」として次の記載があります。

1)持続的な企業価値向上によるステークホルダーの信頼の獲得
ASV(Ajinomoto Group Shared Value)経営の進化を加速させ、「ステークホルダーの意見を反映させる適切な執行の監督」と「機動的な意思決定と実行」を両立させる、より実効的なコーポレート・ガバナンス体制の構築を図ります。また、社外取締役過半数を占める取締役会が、企業価値を大きく左右する経営の重要事項を議論・検討し、大きな方向性を示すとともに、取締役会により大幅に権限委譲されたCEOが中心となって迅速な執行を担い、「食と健康の課題解決企業」を実現し、持続的に企業価値を向上させることで、ステークホルダーの期待に応えます。
2)客観性・透明性・実効性高い機関設計変更の実現
取締役会は、社外取締役を中心として多様な取締役で構成されることで、活発な議論を行うとともに、指名委員会によるCEOの選解任や取締役候補者の選定プロセスの明確化、社外取締役のみで構成される報酬委員会による客観的な役員報酬決定の実現、監査委員会による内部監査部門と連携した実効性の高い監査の実施などにより、モニタリングレベルの高い「監督」を行います。また、執行役はCEOを中核にしたワンチーム運営等により、取締役会から示された大きな方向性に基づく迅速な執行を担い、2030年に目指す姿を実現するための変革をリードすると同時に、取締役会に対し、経営の重要事項に関する主体的な提言を行い、適切な内部統制を実施します。

味の素が指名委員会等設置会社に移行後、投資家はどこに関心を持つでしょうか?

投資家の関心事項は、味の素の取締役会では今後どういうことが議論されていくかです。プレスによれば、取締役会の今後の仕事は「企業価値を大きく左右する経営の重要事項を議論・検討し、大きな方向性を示す」と書かれています。日々の細かい実務は執行サイドに任せ、戦略を議論する場にするということかと思います。しかし、問題はここです。戦略というものは一度立案すると、それに従い執行サイドが動きます。取締役会は大きな観点から執行が順調に遂行されているかを定期的に監督することは必要ですが、頻繁にすることはないのです。定期的に執行役の業務報告を受けることはありますが、報告を受けてアドバイスをすることに時間はたいしてかからないはずです。

とすると、「取締役会は毎月開催する必要があるのか?」「開催しても何を議論しているの?」という疑問を持たれます。機関投資家と対話をすると指名委員会等設置会社での取締役会で何が議論されているか大変関心を持っていることが良く分かります。「外からは議論の様子は全く分からないのです」と彼らは良くいいます。

味の素は情報開示が充実している会社として評価が高い会社ですが、指名委員会等設置会移行後は取締役会での議論の様子について、元々開示レベルが高いので、開示の更なる期待が資本市場から求めれると思います。