コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

コーポレートガバナンス・コードの改訂の論点が公表

12月8日に金融庁のフォローアップ会議が開催され、フォローアップ会議の意見書として「コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保(案) 」が公表されました。内容は次のとおり金融庁のホームページに公表されています。

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第22回)議事次第:金融庁

この意見書に記載の論点が今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂の内容になるかと思いますが、該当箇所を抜粋しますと次のとおりです。

1 取締役会の機能発揮

  • プライム市場の上場企業に対し、独立社外取締役の3分の1以上の選任を求めるべき
  • それぞれの経営環境や事業特性等を勘案して必要と考える企業には、独立社外取締役過半数の選任を検討するよう促すべき
  • 上場企業は取締役の選任に当たり事業戦略に照らして取締役会が備えるべきスキルを特定し、その上で各取締役の有するスキルの組み合わせ(スキルマトリックス)を公表するべき
  • 指名委員会(法定・任意)の設置と機能向上(候補者プールの充実等のCEO選解任機能の強化、活動状況の開示の充実)
  • 報酬委員会(法定・任意)の設置と機能向上(企業戦略と整合的な報酬体系の構築、活動状況の開示の充実)
  • 投資家との対話の窓口となる筆頭独立社外取締役の設置、独立社外取締役の議長選任等
  • 取締役会の評価の充実(個々の取締役や諮問委員会等を含む自己・外部評価の開示の充実等)等

 2 企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保

  • 上場企業に対し、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ予測可能な目標を示すとともに、その状況の公表を求めるべき
  • 多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況とあわせて公表するよう求めるべき

2022年春の東証の上場区分で創設されるプライム市場に属する企業には、独立社外取締役を3分の1以上求めるという点が影響が大きいかと思います。ダイバーシティーに関しては、中途採用者も含めた管理職への登用を求めるようですね。

これは投資家にとってはとても好ましいことと思います。社歴の古い企業ほど中途社員は昇格において不利で、中途社員の方がプロパー社員より明らかにレベルの高い大学を出ていたり、より高度な実務経験があっても昇格においてはプロパー社員より不利な扱いを受けますし、特に役員となる可能性となると限りなくゼロです。サラリーマンは能力や実力だけで必ずしも評価されるものではなく、「新卒時代からこいつを良く知っている」「付き合いがとても良い」などの人的要素が評価の大部分を占めるのがサラリーマン社会なので仕方ないことではあります。

しかし、投資家にとっては、投資先企業の役員がプロパー社員であるか否かなどはどうでもよいことです。投資家は、投資先企業の役員が優秀で業績や株価向上にプラスとなる人材であるという一点にしか関心はなく、従って、中途採用者であっても優秀な大学を出ていたり、他社で高い実務経験を積んでいる人材であれば役員に起用することを投資家は望むのです。私は中長期での株式投資をする上で投資先企業の有価証券報告書を見て、役員が新卒であるかなど微塵も気にしたことはありません。むしろ全員プロパーの役員の企業より、前職が大手企業で勤務していたなどの中途の役員が存在する企業の方が投資先としては魅力的にうつります。

ということで今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂の方向性は中長期での投資を志向する投資家にとっては好ましいことと思います。新聞報道によれば、2021年3月をめどにコードを策定、6月から適用とされています。2018年の改訂の際もたしか改訂対応は12月末までだったので、今回も適用が来年6月となった場合、その年の12月末までに実施すれば足るのだろうと想像します。

金融庁のフォローアップ会議は今後も続くので、また次回の会議での進捗などを書きたいと思います。