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東京ドームの臨時株主総会での投資ファンドの株主提案にISSが賛成推奨 - 株価が同業他社より大きく低迷している企業は今後要注意です

本日の日経新聞に東京ドームの臨時株主総会に香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントが取締役の解任提案をしたことに対して、議決権行使助言会社のISSが株主提案に賛成したとの記事がありました。

12月3日に東京ドームが「当社臨時株主総会の上程議案(株主提案)に関する議決権行使助言会社 ISS 社の賛成推奨に対する当社の見解」を公表しており、この中からISSがオアシスの株主提案に賛成している理由とそれに対する東京ドームの反論についての記述の一部は次のとおりです(私の方でポイントと考える箇所に太字にしました)

1. ISSレポートの賛成推奨の内容 

ISSレポートによれば、過去 5 年間の当社のTSR及び業績が同業他社と比較して大幅に低迷していること、株主提案者が提案する戦略が当社の戦略よりも優れていることを証明しなければならないような支配権を巡る委任状争奪の場面ではないこと並びに当社取締役会の独立性及び業界における経験が欠けていることを主な理由に、本株主提案議案に対して賛成推奨をしています。

2.当社の見解

ISS 社は、過去5年間の当社のTSR及び業績が同業他社と比較して大幅に低迷していることを本株主提案議案に対する賛成推奨の理由に挙げておりますが、当社は総合エンターテインメント事業である東京ドームシティ事業を中核として、流通事業、不動産事業、熱海事業及び競輪事業を営んでおり、当社と類似する事業を行っている上場会社は存在しないため、ISSレポートにおいて同業他社として比較対象とされている上場会社と単純な比較を行うことは適切でありません。また、ISSI社は、株主提案者が提案する戦略が当社の戦略よりも優れていることを証明する必要がないことも本株主提案議案に対する賛成推奨の理由としています。この点、株主提案者による当社の経営改善策の提案内容は、東京ドームシティのほぼ全域が都市計画法に基づき東京都より都市計画公園区域に指定される等の規制を受けていることへの理解不足や、昨今のコロナ禍の環境変化を考慮していない提案になっており、実効性に欠けていることは明らかです。それにもかからず、当社が現在策定中である長期・中期・短期の時間軸を見据えた次期中期経営計画における現実的かつ実効性がある戦略との比較衡量を行ってないことから、合理的な根拠を持って十分な検討を行ったうえで、本株主提案議案に対して賛成推奨を行っているのか疑問を抱かざるを得ません。さらに、ISSレポートによれば、ISS 社の独立性基準に照らして社外取締役である森氏及び秋山氏の独立性に問題があり、当社の社外取締役 4名の経歴等に鑑みて当社のコアビジネスに関する経験が欠けていることをもって、当社取締役会の独立性及び業界における経験が欠けているとされています。(以下省略します)

興味深いのは、TSR(株主総利回り)が同業と比較して低迷していることを取締役解任の理由としてISS社が賛成していることです。これに対して東京ドームは多角化事業をしているのだから、TSRで比較する企業をもっと広くとらえるべきで、そうすればTSRも決して低くないというようなことを主張しているのだと思います。要は株価値上り率の低い企業も比較対象にしたいということですね。まあ、東京ドームは自社に都合の良い解釈をしていますね。

ところで少し前にブログで紹介しましたが、ISSは取締役選任の株主提案に対しては、株主側の対立候補者は現行の取締役よりも変革を実行できる可能性が高いのかなどを基準にしています。11月12日の次の記事をご参照ください。

またTSRについても少し古いですが、以前にブログに書いておりますので、ご興味のある方はこちらもご参照ください。

さて明日から週末ですので、週末はじっくりと来週からの投資銘柄の財務分析に取り組みたいと思います。最近関心があるのは、自動車の素材関連銘柄です。12月8日号の週刊エコノミストに電気自動車関連の銘柄の紹介がありますが、これらの銘柄をとっかかりとして各銘柄の決算短信や中期経営計画を見て分析する予定です。