コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

人権リスク開示の企業が増加 - 有報に記載するほどの事業リスクと言えるのか?

昨日の日経新聞で主要証券会社の2021年の相場見通しが掲載されましたが、野村證券など4社は企業業績の回復を背景に3万円の大台の回復を予想しているようです。主要証券に限らず、3万円近くまで回復するという予想は多いですね。

さて、昨日の日経新聞で人権リスク開示を有価証券報告書で開示した企業が2019年度は78社と前年より2.6倍に増えたという記事がありました。明治ホールディングス、森永製菓、横河電機の名前があげられていますが、横河電機の有報を見ますと「事業等のリスク」で次のような開示をしています。

(人権に係るもの)

当社グループは、人権尊重についてその方針を定めるとともに国連グローバル・コンパクトへの支持を表明しており、ここで謳われている人権の方針と国際的な人権規範を尊重しながらその取組みを進めています。サプライチェーンにおける人権への取組みについても、強制労働・非人道的な扱い・児童労働・差別の禁止、適切な賃金、労働時間の法令順守や従業員の団結権についての指針を示し、国際的に求められている人権を支持して人権尊重に取り組んでいますが、予期せぬ事態により当社グループで人権問題が発生した場合、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、事業活動全般に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

最近流行りのSDGSを意識しての取組みだと思いますが、たしかに人権問題が端緒となり損害賠償への発展する可能性もありますが、どれほどのリスクと横河電機は考えているのでしょうか。

企業活動は全てにおいてリスクはつきものであり、一方、有報に記載するリスクは発生可能性が高く、また、発生した場合の影響が大きいものを優先して記載すべきと思います。とすると、上記程度の若干抽象的な内容を有報に盛り込む意味は低いように考えます。SDGSなどを意識するのも良いのですが、何でもかんでも法定開示書類に開示すると会社の姿勢に機関投資家から疑問が持たれることにもなりますので、注意が必要と思います。SDGSあたりはアニュアルレポートや統合報告書といった「読み物」に記載しておけば足るように思います。