本日は四季報オンラインのデータが更新されました。四季報記者が各社にインタビューをして四季報は作成されると思いますが、インタビューの内容を鵜呑みにして作成する記者もいるので、四季報の内容をそのまま信じることは決して出来ませんが、今後の投資の1つの材料にはなります。
さて、本日の日経新聞で「女性役員拡充へ数値目標」との記事がありました。企業が紹介されており、リコーは女性役員の比率を2030年までに18%と現在の9.8%から倍増するようです。リコーではこの「役員」には会社法上の役員ではない「執行役員」(なんちゃって役員と私は言っています)も含めているようです。リコーはESGに力を入れている会社であると何かの雑誌で見たことがありますが、ESGの「S」を強く意識しての取組みです。また、日本ユニシスは2025年3月期に女性役員比率を20%と2倍にするようです。
新聞記事では海外の主要企業での取締役会に占める女性比率も紹介されており、米国は26%、英国は31%で、日本は9%ということです。記事にはありませんが、たしかアジアの国では韓国は日本よりだいぶ低いはずです。
さて、上場企業において、この女性役員の比率を高めることについて、投資家目線に立った場合どう考えればよいでしょうか?
大手上場企業で役員になるには、50代前半がほとんどかと思いますが、前にもブログで書きましたが、この年代で会社で正社員としてフルタイムで働いている女性は「独身」「既婚+子供なし」「既婚+子供はいるが一人っ子」のいずれかに該当するケースがかなり多く、つまり「役員の選定対象の母集団」の人数がとても少ないのです(あまり正直に書くと怒る方もいるかも知れませんが、これは事実です)。
現状においてこの少ない中高年女性の母集団の中から役員を無理やり選ぶことは、「正直やばい」ということを上場企業の経営陣の多くが思っていると容易に想像できますが、会社では決して口にはできないところだと思います。頭が多少悪くても、また専門性の知識が欠落していても、ひとまず今の中高年の女性を役員にするということが、20代、30代の若い女性のモチベーションにつながり、それが15年後、20年後の会社で働く中高生女性の母集団(=役員候補の母集団)の拡大につながることを期待して取り組んでいるというのが正直なところかと思います。
しかし、ここで1つ考えなくてはいけません。それは投資家にしてみると女性役員を増やすことの関心事項は1点のみで「それで株価は上昇するの?」ということです。投資家としては、役員がプロパー社員であろうが、中途採用社員であろうが、女性であろうがどうでもよいことで、要するに株価やTSRが上昇することの1点にしか関心がないのです。女性を役員に起用することで企業の株価が中長期で見て上昇するのであれば、どんどん女性役員を増やせばよいのです。
ここがESGの中の「S」の評価が特に難しいところです。女性役員を増やす会社は「良い会社」ではありますが、「良いビジネス」をしていると言えるのかというと現状は良く分かっていないのです。上場企業の役目は株価を上げることですので、女性役員の数値目標を高く設定するのも良いのですが、それが良いビジネスになり、ひいては株価が上昇するのかということを強く意識してESGの「S」に取り組むことが重要かなと思います。