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議決権行使助言会社の2019年議決権行使ポリシーについて

先日、議決権行使助言会社であるISSとグラスルイスの方の話を聞く機会がありました。既に色々な媒体で公表されていますが、各社の2019年の議決権行使ポリシーの主な内容について少し触れてみたいと思います。

ISSの2019年議決権行使ポリシーの変更>

①取締役選任について
2019年2月以降、指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社においては社外取が3分の1以下の場合、経営トップに反対
②独立性基準
2020年2月から、政策保有銘柄企業出身の社外取締役・社外監査役は独立性なしと判断

①については、これらの機関設計の企業は執行と監督の機能を明確に分けるべきとい
う考えの下、監督の実効性発揮のためには3分の1以上の社外取締役が必要とされたことと推測します。ちなみに、東証1部上場企業では、社外取締役が3分の1以上の企業は約33%であることが旬刊商事法務に記載されていました。

ちなみに何故、3分の1かといいますと、社外取締役がいかに強烈な方であっても、1名ですとできることには限界があり、取締役会での発言に実効性を持たせるには3分の1が必要というのが世間でよく言われるところです。

②については、政策保有銘柄の判断には、有価証券報告書(有報)の開示を用いる予定とのことです。これについては、 議決権行使の関係で1年前の有報の記載情報を使うこと、保有株式数が僅少であっても有報に記載された以上は「独立性なし」と判断することになるという課題もあると思います。しかし、海外投資家(特にロンドン)はこの基準に大賛成のようです。

次にグラスルイスですが、次のような内容の改定です。

TOPIX CORE30、TOPIX LARGE70の100社には女性役員(取締役・監査役・執行役)を最低1名求める。ゼロの場合には、会長(又は社長)に反対、指名委員会等設置会社では指名委の委員長に反対
②2020年からはこの方針を東証1部・2部上場企業に適用拡大

グラスルイスはISSに比べると、規模も小さく、遅れていることは否めません。女性役員の登用が好きなようですが、論理的な説得力もISSに比べると著しく劣ります。ISSの日本代表の石田氏の話は非常にしっかりしており、私は過去には直接面談をしたこともありますが、雑誌等でもきちんと論理展開されており、なるほどと思うところもあります。

ISSガイドライン機関投資家(特に海外)が採用することからISSの影響力を問題視する企業も多いですが、ISSは毎年多くの機関投資家の意見を聞き、その意見の最大公約数をガイドラインに盛込んでいますこのため、ISSの推奨を機関投資家が採用するのは当然のことでもあるのです。

このため、企業としてはISSの議決権行使基準は、多くの機関投資家の総意であると考えて、しっかりと内容と趣旨を理解することが必要になります。