コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

来年の予想 - 敵対的TOBの増加、アクティビストの動きの更なる活発化

昨日は日経平均終値が2万7,568円と30年ぶりの高値でした。企業の業績はまだまだ明るくはないと思いますが、世界的な金融緩和等での先行きを期待して海外投資家の買いが進んで株高ということかと思います。

既に報道でご存じの方が多いかと思いますが、12月28日がニトリによる島忠へのTOBの応募期限でしたが、昨日、ニトリと島忠がTOBの成立を公表しました。77%の応募が集まり、今後は島忠はニトリの完全子会社になるようです(当然島忠は上場廃止です)。ちなみに、直近で書いた本件のブログは次のとおりです。

さて、今年は敵対的TOBやアクティビストの提案が多かった年かと思います。これまで敵対的TOBの件数が少なかったのは、これを引き受ける証券会社が少ないことも理由の1つでしたが、三田証券、大和証券など引き受ける証券も増えています。

これ以上に敵対的TOBやアクティビストの提案が増加した大きな理由は、スチュワードシップ・コードの浸透により、機関投資家が敵対的TOBであっても提案に合理性がある場合には賛同するようになったことです。機関投資家は、企業価値の向上・持続的成長を促すことで顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任があり、この目的に沿った議決権行使をすることが強く求められており、これが敵対的TOBの増加の一番の背景にあると思います。今回のニトリによるTOBのケースで島忠の独立委員会が「ニトリの提案の方が妥当」と判断したような場合、機関投資家はこれに賛同せざるを得ません。

さて、来年はどのような動きになるでしょうか。まず2020年春の東証の上場区分見直しに向けて安定株主の解消が進むと思います。今のところ、コーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた金融庁のフォローアップ会議では政策保有株式の解消は論点になっていませんが、上場区分制度の見直しで安定株主の解消が進むと思います。また、東京を世界・アジアの金融ハブにすることを目指す「国際金融都市構想」もあると思いますので、海外マネーを東京に呼び込むには、海外投資家が理解できない政策保有株式等の安定株主の解消もセットになるように想像します。ちなみに、上場区分との絡みでは、時価総額が100億円前後の企業がTOPIXから外されないよう株価向上施策に力を入れることも予想されます。

そして、大きいのが2021年春に予定されているコーポレートガバナンス・コードの改訂です。次のとおり以前にブログで紹介しましたが、社外取締役の3分の1以上、指名・監査・報酬委員会の透明性、ダイバーシティの確保等が今回の改訂の論点になっています。

これらをうまく敵対的TOBに絡めて機関投資家が賛同せざるを得ないような提案が増えたり、敵対的TOBでなくとも投資ファンドによるコードの内容をちりばめた株主提案がかなり増加するように思います。上場企業各社はコーポレートガバナンス・コードをしっかりと読み直した上で、来年春に向けての議論の状況をウォッチする必要があるかと思います。

来年は引き続き、金融庁のフォローアップ会議の議論の進捗を注視するとともにコーポレートガバナンス・コード改訂の内容とそれを踏まえた各社の開示の動き、敵対的TOBの分析、アクティビストの動き、ESGを含めた開示の動き、東証上場区分をはじめ資本市場の動向、株式投資などを中心に紹介していく予定です。私の証券会社時代の経験上、上場企業によっては、こういった類の分析や検討にあてる人材が少ない会社も結構多いかと思いますので、そのような会社のコーポレート部門を総括する役員の方や実務担当者の方にブログの記事が参考になればと思っています。

また、近い将来の副業を見据えて(これはいつになるか何とも言えませんが)、タイミングを見てブログのデザインの刷新も出来たら思っています。次回は年明け1月初旬にブログを更新したいと思います。