中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

企業買収防衛

サンセイ(5307)と光通信の攻防(2)- 光通信が追加情報をサンセイに提供

サンセイと光通信の攻防について、先日次のとおりブログに掲載したように11月10日にサンセイは光通信に必要情報の追加提供を要請しています。 これに対して、11月17日にサンセイは光通信から追加情報リストに対する回答書を受け取ったことを公表しま…

買収防衛策の導入・継続に向けて②- まずは自社の株主構成を見る

前回、買収防衛策の導入・継続に向けての第1回ということで、議決権行使助言会社であるISSの買収防衛策の議決権行使基準について、次のとおり紹介しました。 来年の定時株主総会の時期も近づいてきましたので、来年に買収防衛策の更新期限を迎える企業、…

サンセイ(6307)と光通信との攻防 - サンセイが追加の必要情報の提供を要請

東証2部上場のサンセイ(6307)の株式を光通信が買い増しをしており、サンセイは、事前警告型の買収防衛策(本年の株主総会で継続更新)のスキームに則り、光通信との間で情報の提供等のやりとりをしていることを以前にブログで掲載しました。 その後、…

買収防衛策の導入・継続更新に向けて① ー 買収防衛策に関する議決権行使助言会社ISSの議決権行使助言方針

本日も日経平均株価が上昇しました。本日の終値は昨日より+444円の25,349円でした。コロナワクチンの実用化に向けた動きから、将来の景気回復を市場が期待していることが背景かと思います。 さて、昨日のブログで買収防衛策の導入・継続更新につい…

光通信による株式の大量買付行為に対してサンセイ(6307)は買収防衛策を発動するか? - 今後の流れを解説します

サンセイ(6307)はビル用ゴンドラ、舞台装置のパイオニア企業ですが(時価総額約40億円)が、大量保有報告書によると光通信(9435)は4月19日時点でサンセイの株を16.47%保有しており、サンセイは買収防衛策を有しているところ、光通信と…

米国で買収防衛策導入企業が増加-日本でも期間1年であれば買収防衛策が許容されることになるか

8月6日の日経新聞に「米企業、買収防衛策に走る」という記事がありました。株価低迷の中、敵対的買収に備えて買収防衛策を導入する企業が米国で増加しているという内容です。 米国の買収防衛策は、ポイズンピルという手法で、記事に丁寧にポイズンピルにつ…

大日本塗料(4611)が買収防衛策を継続更新ー買収のあった業界の企業は買収リスクを認識しているのでしょう

4月24日に大日本塗料(4611)が本年6月の定時株主総会終結の時をもって更新期限を迎える買収防衛策を継続更新することを公表しました。大日本塗料は塗料国内第4位で売上高は約730億円程度の中小型銘柄です。 塗料業界では、少し前に日本ペイント…

3月3日付の村上ファンドから東芝機械の取締役会へのレター

村上ファンドである株式会社オフィスサポートが3月3日の東芝機械の取締役会宛てのレターを公表しています。その内容は、次のようなことが書かれています。 株主の皆様にPBR1倍という株価で売却の機会を提供し、割安な株価に警鐘を鳴らすために公開買付(T…

東芝機械が臨時株主総会の開催の決定を公表ー3月27日に有事導入型(後出しジャンケン型)の買収防衛策の導入と発動が決定されます

2月21日に東芝機械が当初の予定どおり3月27日に臨時株主総会を開催することの決定について開示をしています。 臨時株主総会の議題は、➀対抗方針の導入と②新株予約権の無償割当の2つであり、いずれも次の理由により、普通決議とすることを開示文では強…

村上ファンドが東芝機械に対するTOB期間を延長(3月4日→4月16日)- 分かりやすく解説します

昨日、村上ファンドが東芝機械に対する株式公開買付(TOB)の期間を延長したことを東芝機械が公表しました。1月21日に開始され、3月4日を期限としていたTOBの期間を60営業日に延長し、4月16日までとなりました。経緯を簡単に纏めると次のとおりで…

コクヨの融和路線変更の報道とコクヨの事前警告型買収防衛策の廃止の公表

2月15日の日本経済新聞にコクヨはぺんてるに対して今後は融和路線をとるとの記事がありました。 コクヨがぺんてるに対して敵対的買収をしかけ、50%超を取得できずに終わったことは記憶に新しいところかと思います。今後どのようにするのかと思っていた…

米国の1月の雇用は堅調 + ところで話は変わりますが東芝機械と村上ファンドの攻防について

2019年度の第3四半期(Q3)の上場企業各社の決算がかなり出揃いましたので、先週から自宅のPCで投資済銘柄と投資候補銘柄についてエクセルで財務分析をしておりますが、まあ、総じて各社業績が悪いですね。 コロナウィルスの影響でQ4決算はさらに株価が…

東芝機械による有事導入型の買収防衛策のゆくえ

この1、2週間は休日に仕事をしても終わらないほど多忙を極め、ブログの更新が出きておりませんが、興味深いニュースが報道されております。 東芝機械の件で、連日報道されていますのでご存知の方も多いと思いますが、村上ファンドが東芝にTOBを提案し、…

買収防衛策は全ての局面に適用できるものではない-はじめて導入を検討する上場企業は理解する必要があります

買収防衛策を廃止する企業が増えています。最近の世の中の動きを見ると、安定株主ががっちり株式を保有している会社を除き、買収防衛策導入企業は、ますます少なくなる方向なのだろうと思います。 その理由はとてもシンプルで機関投資家に資金の運用を委託し…

日興アセットマネジメントの投資先企業への議決権行使結果の個別開示-買収防衛策議案について

日興アセットマネジメントが2018年7月から2019年6月末までの1年間における投資先企業2,287社の株主総会の議案に対する議決権行使結果結果を開示しました。 買収防衛策議案に対しては、賛成1件で反対72件とのことで、議案の反対率は98.6…

三井住友アセットマネジメントが議決権行使結果の個別開示

三井住友アセットマネジメントが2018年7月から2019年6月の間の投資先企業の株主総会の議決権行使結果の個別開示をしました。 買収防衛策については、67件中、賛成は5件です。賛成した銘柄は、亀田製菓(2270)、アネスト岩田(6381)、…

住友金属鉱山が議決権行使助言会社ISSの反対推奨に対して反論を掲載

2019年6月の定時株主総会で住友金属鉱山は買収防衛策を株主総会で承認可決しております。 これに先立ち、同社の定時株主総会の買収防衛策議案に対して、ISSは2019年5月28日に反対推奨をしており、これに対して、住友金属鉱山は、翌日の5月29…

野村アセットマネジメントの議決権行使結果の個別開示-買収防衛策廃止の株主提案への賛成(共同印刷)

野村アセットマネジメント(以下「野村」)が2019年4月から6月に開催された投資先企業の株主総会の議決権行使結果を開示しています。 買収防衛策継続議案ですが、66件中、賛成は0件です(開示資料上は1件とあります。しかし、これは期中で廃止する…

買収防衛策の正当性のより所となる「買収防衛策に関する指針」(経産省・法務省が2005年5月に策定)の内容について

本年6月の定時株主総会も終わり、上場各社の議案賛成率も臨時報告書でひととおり開示されました。各社、コーポレートガバナンス・コードの要請に従い、反対率の高い議案の精査などをされているところかと思います。 買収防衛策議案は本年は昨年以上に廃止し…

戸田建設と英国の投資ファンドであるシルチェスターの攻防の行方~買収防衛策の発動の可能性

今回は、私も株主である安藤ハザマのコーポレート・ガバナンスの観点からの課題(政策保有株式)を記載する予定でしたが、少し分量が多くなり、文章を作るのに結構時間がかかるので、週末に考えるとして、前回、少し触れたシルチェスターと戸田建設の買収防…

投資ファンドのストラテジックキャピタルの株主議決権行使基準を読みました

先日、アクティビストと言われている投資ファンドのストラテジックキャピタルパートナーズが投資先企業の蝶理の企業価値向上に関する特別ホームページを開設しました。 そこで、同社のホームページにアクセスしたところ議決権行使基準がありざっと読んでみま…

買収防衛策の考え方のポイント

1年ほど前に切り取った新聞記事の整理をしていたところ、買収防衛策に関する記事の切り抜きを見つけました。 3月期決算企業は総会の議案等を機関決定する時期にそろそろ入るかと思いますので、本日は、今後廃止する企業も増えることが予想される買収防衛策…

投資先銘柄のスクリーニングの基準として~日経・一橋大イノベーション指数

昨日の日経新聞に日経・一橋大イノベーション指数による企業評価ランキングが大きく2面にわたって掲載されていました。 見た方も多いとは思いますが、この指数は個人投資家が投資先企業を選別する際の1つの考えとしても使えるのではと思い、これについて本…

M&Aによるデータ集中も企業結合審査の対象になる

6月7日の日本経済新聞で、公正取引委員会(公取委)がM&Aの企業結合審査においてこれまでのように市場シェアの観点の審査をするだけでなく、企業活動に有益なデータが過度に集中しないかもチェックする考えを指針に盛り込むとの記事がありました。まずは、そ…

必ずしも「買収防衛策=(イコール)機関投資家は反対」ではない

先日の日経新聞によれば、2017年1月~4月の期間に買収防衛策を廃止した企業数は14社になり、大きく増えているということのようです。さらに2日ほど前にも買収防衛策廃が増えているとの記事が日経新聞にまた出ていました。 買収防衛策は以前にブログで詳細…

企業買収防衛策とは④

15%~20%以上の株式を取得する場合には、買収防衛策の適用がありますが、これを下回る株式取得の場合には、買収防衛策の適用はありません。なお、買収者が海外投資家の場合であっても対象の日本企業が買収防衛策を導入している場合には、買収防衛策の遵守…

企業買収防衛策とは③

上場会社に対する買収防衛策としての買収防衛策について書きたいと思います。 買収防衛策の正式名称は会社によって様々ですが、「大量買付行為に対する対抗策」、「株式の大量取得行為に関わる対応方針」などを名称を付けています。買収防衛策は、現在約450…

#7 企業買収防衛策とは②

上場会社に対する敵対的買収への対抗策として買収防衛策について話をする前に、前回簡単に触れた未上場会社に対する敵対的買収について書きたいと思います。 未上場会社の株式は市場で流通しているものではなく、また株主から相対で直接取得しようとしても、…

#6 企業買収防衛策とは①

先日、中国企業による欧州企業の買収の話を書きましたが、これに関連して企業買収の防衛策について書きたいと思います。 企業買収とは、読んで字のごとく、企業を買収することです。企業買収には、対象会社の経営陣の同意を得て行う有効的企業買収と経営陣の…