2月15日の日本経済新聞にコクヨはぺんてるに対して今後は融和路線をとるとの記事がありました。
コクヨがぺんてるに対して敵対的買収をしかけ、50%超を取得できずに終わったことは記憶に新しいところかと思います。今後どのようにするのかと思っていたのですが、敵対的に強引にとりに行くことはやめたようです。
理由はぺんてるの株主から保有株式を取得することが困難であったのかも知れないですし、敵対的買収という強引な手法に対してコクヨに何か圧力などがあったのかも知れませんが、分かりません。
しかし、一度敵対的買収をしかけられた会社が、その後に対象会社とどのように仲良くやっていくのか疑問のあるところです。新聞でも関係改善には高いハードルがあるという内容が書かれていました。
ところで、コクヨは先週、事前警告型の買収防衛策を廃止することを公表しています。直近のコクヨの有価証券報告書を見るとコクヨの外国人株主比率は高くなく、一方、安定株主比率が高いことからも本年の株主総会に議案として上程した場合、継続更新できると思うのですが、非継続(廃止)としております。
廃止の理由は、開示文を見ても、お決まりの定型の文言が並んでいるだけですが、ぺんてるに敵対的買収をしかけておきながら、自らは買収防衛策で守るということは、世間に示しがつかないということも理由の1つにあるように思えます。この点を気にしての廃止ではないかと想像いたします。
ところで、コクヨは廃止のプレスリリースの中で次のような記載をしています。
「なお、当社は、本施策廃止後も引き続き、当社グループの企業価値向上や株主共同の利益の確保・向上に取り組むとともに、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対し、株主の皆様が当該行為の是非を適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための情報と時間の確保に努めるほか、金融商品取引法、会社法およびその他関連法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。」
この記載は、最近の廃止企業の多くに書かれている定型文言です。この意味するところは、事前警告型の買収防衛策を廃止しても有事導入型の買収防衛策を発動する可能性があるということを暗に示唆しているのです。これにより、経済産業省と法務省が2005年ころに買収防衛指針で規定した事前開示の原則の充足に少しでも近づけようとする意図があります。
これは今問題の東芝機械と村上ファンドの件で、東芝機械もこのことを主張しています。東芝機械のホームページで東芝機械の村上ファンドとの一連の東証開示文を読むとと開示文に極めて明確にこのことが記載されています。
つまり、廃止はしても、廃止の際の適時開示で一定のことを謳っているので、有事導入型の買収防衛策は事前開示の原則に反しないという主張です。これが今後、裁判に発展した場合、どのように解釈されるのか、気になるところです。