6月7日の日本経済新聞で、公正取引委員会(公取委)がM&Aの企業結合審査においてこれまでのように市場シェアの観点の審査をするだけでなく、企業活動に有益なデータが過度に集中しないかもチェックする考えを指針に盛り込むとの記事がありました。
まずは、そもそもどうして市場シェアが高くなるM&Aは規制されるのでしょうか。日本のみでなく各国ともM&Aの際には、同様の規制があります。
市場シェアが高くなると当該企業の市場での地位が強くなり、結果、市場競争が働かなくなり、顧客が高い値段で製品・サービスの供給を受けることになるのが許容されないということです。
要するに同じ市場シェアの企業が競争していれば、各社とも市場競争をすることになり、製品・サービスを受ける顧客にとってよいことなのですが、M&Aという手法で圧倒的に市場シェアの高い企業が出現することになると(M&Aでなく通常の市場競争で他社シェアを奪い、シェアが高くなった場合は当然に許容されます)、市場競争が働かなくなり、結果、顧客が不利益を被るので許されないというものです。
今回、これにプラスしてM&Aによって特定企業のデータが集積する場合も規制されることになる模様です。
昨今、人口知能(AI)によって膨大なデータが分析できるため、大量の情報を保有する企業は、それを簡単に分析しビジネスに繋げて市場での優位性を確保できます。
とすると、市場シェアが高まる場合と同様に、市場での圧倒的な勝者となり、つまり市場シェアが高まることと結局は同じことになり、顧客が不利益を被る可能性が出てしまうので規制しようということが趣旨かと思います。
公取委のHPを見たところ、方針が掲載されておりましたので、後で読んで気付いたところがあれば、また後日書いてみたいと思います。