中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2019-01-01から1年間の記事一覧

上場子会社とその親会社が今後留意すべき事項-経産省の「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」の制定を受けて

経済産業省のCGS研究会(第2期)でこれまで議論が進められてきた「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」が6月28日に策定・公表されました。 2018年のコーポレートガバナンス・コードの改訂は、単体としての在り方に重点が置かれてい…

余剰キャッシュの使途としてM&Aを理由にする場合の投資家の受けとめ方

先週で上場企業各社の株主総会も終わったことと思います。本年の株主総会では、過去に比べてかなりの数の株主提案があったようですが、政策保有株式の売却等による資金の捻出とそれを原資とする配当増提案もあったかと思います。 この動きは来年以降も継続す…

取締役候補者のスキルマトリックスを機関投資家が求める理由

数日前の日本経済新聞の記事によれば、取締役候補者の「スキルマトリックス」を作成する上場企業が増えているとのことです。 2019年の株主総会で20社がスキルマトリクスを導入し、2018年の6社から3倍超に増えているようです。とはいっても、上場…

隠れたチャンピオン企業-投資先候補として

6月17日に経済産業省が「世界に活躍するグローバルニッチトップ企業の5年後の現状と課題」を公表しました。 グローバルニッチトップ企業(GNT企業と経済産業省はいっています)とは、2014年3月に経済産業省が選定した100社で、20%以上の世…

野村ホールディングスの指名・報酬委員会の委員長の変更の検証-投資家の目線

野村ホールディングスの株主総会の招集通知で指名、報酬委員会の委員長が古賀会長であったところ、これに対して議決権行使助言会社が反対推奨をしたことから急虚、委員長を社外取締役の方に変更するという報道がありました。 本日はこれについて、投資家の目…

経営判断の原則の適用を受けるための役員会の進め方

前回のクローバック条項に関する紹介のブログの中で、経営判断の原則について少しだけ触れましたが、本日は、経営判断の原則が適用される上で役員会の討議などの進め方について、触れてみたいと思います。 前回ブログで、「企業経営の判断は、不確実かつ流動…

クローバック条項(役員の業績連動報酬の返還)は今後増えるか

先日の日本経済新聞でクローバック条項の記事がありました。 武田薬品工業のシャイアーの買収に関連して「武田薬品の将来を考える会」が色々と活動していますが、同会が株主提案として、クローバック条項を定款に規定することを武田薬品に求めたようです。 …

高い質を持った社外取締役を選んでいますか?-経済同友会「経営者及び社外取締役によるCEO選抜・育成の改革」レポートより

2019年5月17日に経済同友会の企業経営委員会(委員長 富山 和彦 氏)が「経営者及び社外取締役によるCEO選抜・育成の改革―多様なガバナンスに応じた最良のサクセッションの追求―」を公表しました。 このレポートは、ガバナンスの本質・本丸は、大き環…

PMI(購買担当者景気指数)について

PMIという言葉を新聞報道で見かけることがあるかと思います。Purchasing Manager's Indexの略で、日本語では購買担当者景気指数です。PMIがあがった下がったなどが新聞でよく報道されているかと思います。 PMIとは、原材料や部部品を調達する購買担当者に…

ESGを役員報酬の指標に入れることの意義

本年6月以降に有価証券報告書で改正される各社の役員報酬を理解できるよう、役員報酬制度について少し勉強をしていますが、約1ヵ月前の4月28日の日本経済新聞でESG評価を役員報酬を算定する基準に組み入れる企業が世界的に広がってきたとの記事がありま…

資本コスト(WACC)の開示が意味するところ-ストラテジックキャピタルが株式会社浅沼組に対する株主提案を取り下げ

アクティビストである投資ファンドのストラテジックキャピタルが株式会社浅沼組に株主提案をしていましたが、5月22日に株主提案を一部取り下げるとのプレスリリースを出しています。 同社の2019年5月17日付の2019年3月期決算説明会資料を見る…

2019年6月以降に発行される上場企業の有価証券報告書の見るべき改正箇所-第3回

2019年3月期の有価証券報告書の記載事項が大きく変更されるということで前回、政策保有株式の開示について紹介しましたが、本日は役員報酬の開示の変更について紹介したいと思います。 役員報酬には、固定報酬と業績連動報酬があるところ、欧米と比較し…

外資規制の強化の動き

5月11日の日本経済新聞で、財務省と経産省がIT分野での外資による投資規制を強化する方向の動きとの報道がありました。 米欧と歩調を併せてサイバーセキュリティーを高めるとのことです。新聞報道によれば、追加される主な業種として、次があげられてい…

複数の事業セグメントを持つ上場企業は理論株価を定期的に分析することが必要 ~投資銀行でなくても出来る株価算定(バリュエーション)

有価証券報告書の改正の中、役員報酬について記載する予定でしたが、今回は簡単に別ネタについて紹介したいと思います。 5月8日の日本経済新聞朝刊で「最高益も市場は低評価」とのタイトルの記事で、ソニーの事業は8つに分かれているところ、事業別の収益…

投資会社レノの株式会社ヨロズへの株主提案に対するヨロズの会社回答はこれで足るの?

旧村上ファンド関係者の運営する投資会社のレノが株式会社ヨロズに株主提案をしていますが、それに対して先日、ヨロズが会社見解を公表しました。 本日は、その中で2つほど紹介するとともに、会社回答に対して「この回答で足るの?」と私が個人的に考える内…

2019年6月以降に発行される上場企業の有価証券報告書の見るべき改正箇所-第2回

前回の更新日からだいぶ日が空いてしまいましたが、本日は、有価証券報告書の記載の改正箇所の中、政策保有株式について紹介いたします。 従前より、有価証券報告書のコーポレートガバナンスの概要の箇所においては、政策保有株式の概要を記載することになっ…

2019年6月以降に発行される上場企業の有価証券報告書の見るべき改正箇所 - 第1回

2019年1月31日に企業内容等の開示に関する内閣府令の改正があり、有価証券報告書での開示事項が改正されました。 今回から数回に分けて、株主・個人投資家の方が、本年6月下旬以降に発行される(3月末決算期の場合)投資先企業の有価証券報告書の見…

経産省のコーポレートガバナンス改革と脱藩浪士組のCEO

LIXLが前CEOの解任を巡ってもめています。機関投資家はオーナー家の社長より、いわゆる雇われ社長の方の方が手腕があると評価しているのだと思います。 先日の「週刊ダイヤモンド」にLIXILの最高経営責任者である潮田氏のインタビュー記事が掲載されており、…

スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議の意見書(4)のドラフトが提示

金融庁のフォローアップ会議が、4月10日に開催され、意見書のドラフトが提示されました。まだドラフトですが、フォローアップ会議で今後議論していく課題が記載されております。次のような内容です。 <スチュワードシップ> 運用機関に議決権行使結果以…

CEOのしっかりとした後継者計画が必要な企業は?

コーポレートガバナンス改革において、上場企業は社長・CEOの後継者計画を指名委員会、取締役会を関与させて策定・監督することが求められています。 しかしながら、まだ計画の策定中という企業も多く、そもそもどうやって策定すべきか迷っている企業も多い…

内閣府の景気ウォッチャー調査(2019年3月調査)が公表

コーポレートガバナンス関係でCEO・社長の後継者計画について書く予定でいましたが日常の業務でマクロ経済関連のデータ収集をここ数日している関係で、後継者計画は週末に書くことにして、本日もマクロ経済関係の情報を紹介します。 今回は景気ウォッチャー…

日銀の「さくらレポート」が公表

本日の日本経済新聞に日銀の「さくらレポート」の概要の記事がありましたので、本日は、これについて少し触れたいと思います。 さくらレポートとは、日銀の支店長が四半期毎に集まり景気動向を議論し、公表するもので、「地域経済報告-さくらレポート-」と…

社外取締役ではなく中途入社社員などのマネジメント層への登用が本来のあるべき姿~経産省のCGSガイドラインを読み解く

3月期決算企業は本年の株主総会の本格準備に入っているかと思います。 2018年度は、コーポレートガバナンス・コード、コーポレートガバナンスシステムガイドライン(CGSガイドライン)の改訂などコーポレートガバナンス関連で大きな変化のあった年と思…

投資ファンドのストラテジックキャピタルの株主議決権行使基準を読みました

先日、アクティビストと言われている投資ファンドのストラテジックキャピタルパートナーズが投資先企業の蝶理の企業価値向上に関する特別ホームページを開設しました。 そこで、同社のホームページにアクセスしたところ議決権行使基準がありざっと読んでみま…

英文開示強化の動き~今後、有価証券報告書の英訳の動きも進むか?

先日の日経新聞に東証の上場基準の再編の記事がありましたが、この中で東証1部企業には英文開示を求めることを検討する方向とのことが書かれていました。 JPX日経400の銘柄登録には英文の決算短信が必要ということになっており、本年からは、英文のコ…

買収防衛策の考え方のポイント

1年ほど前に切り取った新聞記事の整理をしていたところ、買収防衛策に関する記事の切り抜きを見つけました。 3月期決算企業は総会の議案等を機関決定する時期にそろそろ入るかと思いますので、本日は、今後廃止する企業も増えることが予想される買収防衛策…

投資先銘柄のスクリーニングの基準として~日経・一橋大イノベーション指数

昨日の日経新聞に日経・一橋大イノベーション指数による企業評価ランキングが大きく2面にわたって掲載されていました。 見た方も多いとは思いますが、この指数は個人投資家が投資先企業を選別する際の1つの考えとしても使えるのではと思い、これについて本…

訪日外国人消費動向調査(2018年全国調査結果)が公表されています

先日、四季報業界地図(東洋経済新報社)の最新版を購入して投資有望な投資対象銘柄のスクリーニング作業をはじめましたが、投資テーマの1つとして、外国人関連銘柄があげられるかと思いますが、これに関して短いですが、経済データを1つ紹介します。 観光…

①自社株買いの狙いと②投資候補企業のROEの留意事項について簡単に紹介します

本日は、自社株買いと投資候補企業のROEの読み方の留意事項について紹介します(この2つのテーマはそれぞれ別の話です)。 先日の日本経済新聞で米国において自社株買いを規制する議論が起きているという記事がありました。詳しくは読んでいないのですが、…

上場子会社の役員のモチベーション維持が上場子会社を保有する大きな理由

先週、日本経済新聞に「親子上場に統治指針」との小さい記事が掲載されていました。 未来投資会議(第24回)が3月7日に開催され、そのことを言っているかと想像しますが、同会議のアジェンダを見るとモビリティーと上場子会社のコーポレートガバナンスの…