中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

隠れたチャンピオン企業-投資先候補として

6月17日に経済産業省が「世界に活躍するグローバルニッチトップ企業の5年後の現状と課題」を公表しました。

グローバルニッチトップ企業(GNT企業と経済産業省はいっています)とは、2014年3月に経済産業省が選定した100社で、20%以上の世界シェアを保有し、利益をあげており、シェアの持続性があるなどの企業で上場・非上場企業になります。今回は5年後のGNT企業の現状と課題について纏めた内容になります。

色々と書かれてはいるのですが、全体的にアンケート結果で終わっており、特定の企業にフォーカスしたものではなく、正直、銘柄選定にはほとんど役に立たないレポートですが、2014年3月に経済産業省が公表したGTN企業100社のレポートの方は100社の特徴・事業内容が各社A4版の1枚にまとっまっているので、こちらは銘柄選定で結構有用かと思います。

さて、今回の調査結果はぱっとしないのですが、1点だけ面白い情報がありました。

それは「隠れたチャンピオン企業」です。

知っている方もいるかも知れませが、私は今回はじめて知りました。戦略・マーケティングのコンサル会社のサイモンクチャー&パートナーズの会長であり、北京の対外経済貿易大学の名誉教授であるハーマン・サイモン氏が、「Hidden Champions of the 21th Century(2009)」という書籍の中であげている言葉で、「世界各地で大成功を遂げているのに、目立たない存在としてカーテンの陰に隠れて、時には意図的に秘密のままでいようとする企業が多数存在する」と記しており、隠れたチャンピオン企業の定義は次のとおりです。

  • 世界市場で3位以内に入るか、大陸内で1位
  • 売上高が50億ユーロ(約6200億円)以下
  • 世間一般には知られていない

 この定義の下でグローバルで該当する企業をあげています。

書籍を読んでいないので、この単純な定義の下で、どうやって企業を探し出したのかは全く分かりませんが、経済産業省のレポートによれば、日本企業14社ほどが同書の中であげられています。その中で株価が約1000円前後の上場企業をあげると次のとおりです。

  •  オプトエレクロトニクス(6664):レーザー、バーコード、スキャナーで世界NO2
  • 東邦チタニウム(5727):チタンで世界NO1
  • 日本写真印刷(7915):小型タッチパネルで世界NO1

これ以外には株価が高いのですが、ジャムコ、日本高純度化学、アルバックなどがあげられています。

 隠れた企業は、その名のとおり世間にあまり知られていないので、株式の売買高は少ないかと思いますし、それもあって割安ということもあります。

最近は、テーマ投資もしていますが、一方で、中長期投資の観点からは、高い技術力があるが、世間ではあまり知られていない中小型銘柄投資に重点をおいており、海外投資も含めて、隠れたチャンピオン企業は1つの投資の選択肢になるかと個人的には思います。

 オプトエレクトロ二クスについて早速如四季報オンラインで調べてみると時価総額60億円で、株価も1000円をきっており業績も順調のようです。

ただし、6月21日に米国のHoneywell International社から特許侵害の訴訟を提起されたことを開示しており、訴訟費用による販管費が増え、2019年11月期(通期)決算予想は、営業利益が350百万円から165百円と大きく減少する下方修正をしています。

米国企業との特許係争は、場合によっては大きな金額へと発展するケースもあることから、売上高70億円程度の小さい企業であれば、訴訟費用で今後大きな財務上の影響が出る可能性があるかも知れません。

もっとも万一、財務への影響が大きくても、技術力の高い企業であれば、困ったときは、日本企業が資本参加をするケースもあり、最終的には大きな問題にはならないかも知れません。

訴訟金額が明らかになると株価に一定程度の影響はあるかと思いますので、株価をウォッチしつつ、株価が下がったところで買いを検討したいと思います。