本日の日経新聞で次の記事が掲載されていました。
「投資家を社外取に」提言 経産省、市場と相互理解促す: 日本経済新聞
経済産業省のCGS研究会がこれまで複数回開催されてきましたが、先日、「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」の改訂版のドラフトが公表されました。本文は非常に長いので、読む気が失せる方も多いと思いますので、エグゼクティブサマリーを紹介します。
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/cgs_kenkyukai/pdf/3_006_03_00.pdf
この手の指針が出ると、企業の方は「所詮ソフトローだろ」「役所も企業実務が分からないまま色々な指針を作るなよ」という不満を持つ方は多いと思います。結果、この指針も見まないで終わるケースが圧倒的に多いかと思います。その気持ちも良く分かります。けど、注意すべきは、この指針は物言う株主にとっての武器になるという点です。
今年は新聞報道にもあるように株主提案の件数が過去最高でした。アクティビストではなく、穏健な運用会社も株主提案を出しています。一般の運用会社は、株主提案者が誰であるかではなく、提案内容に合理性があるかないかを是々非々で判断して、株主提案を判断しています。
結果、株主提案への賛成率も高い結果に終わっています。つまり、企業価値向上につながる株主提案への賛同が大きく増えた1年と言えます。そして、この指針も企業価値向上に資するものとして改訂されています。
個人投資家もこの実務指針をじっくりと読んで、来年の株主総会シーズンには自分の投資先企業の株主総会に出席して、指針に基づく質問や提案をすることも真剣に考えてもよいかなと思います。コーポレートガバナンスは機関投資家だけが勉強すべきものではないです。
私は、常々、個人投資家も投資力アップのためには、コーポレートガバナンス・コードをはじめコーポレートガバナンスに対する知識を深めることが必須であると考えています。これにより、個人投資家の投資先企業への物言う力が高まるのです。株を購入した後は、株価が上昇するのをただ待つだけという弱者の立場から個人も脱却すべきと思います。近いうちに、コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針の読み方をブログでも掲載して行きたいと考えています。