野村ホールディングスの株主総会の招集通知で指名、報酬委員会の委員長が古賀会長であったところ、これに対して議決権行使助言会社が反対推奨をしたことから急虚、委員長を社外取締役の方に変更するという報道がありました。
本日はこれについて、投資家の目線から検証をしたいと思います。
指名委員会、報酬委員会は、野村のような指名委員会等設置会社においては、その役割は決まっており、株主総会に提出する取締役候補者の決定、取締役・執行役の報酬の決定です。
このように重大な役割を果たすため、委員長はこの役割を果たすに十分な経験と能力が求められます。そのためには、社内を知り尽くしている経営トップが委員長になるのが本来は望ましいのですが、経営トップが委員長になることは、恣意的な運用がなされる可能性があるため「ノー」というのが資本市場の意見になります。
社外取締役を委員長にすることを資本市場は求めるのですが、それとともに、委員長としての資質も問われることになります。
役員人事や役員報酬を決めることに大きな関与をするわけですから、委員長には社内役員の人物性、能力、業績などについて判断する能力が求められます。
委員長を社外取締役にしてはみたものの、月1回開催する取締役会しか出ておらず、社内役員の様子を知らないのでは、「名ばかり委員長」であり、結果として、委員会にいる経営トップの意見で役員人事・報酬が決まることになり、委員長がCEOであることと実質において同じと投資家は見ます。
では、野村ホールディングスの場合について見てみましょう。
野村ホールディングスの2018年3月期と2017年3月期の有価証券報告書を見ますと今回委員長となる社外取締役の木村宏氏は、指名・報酬委員会の委員をされており少なくとも2年間は経験を積まれていることになります。
従って、委員としての経験があることから、委員長として適切な判断が出来ると機関投資家にも合理的な説明ができると一応言えるかと思います。
ただし、委員の経験があるだけでは不十分で、社内のどういう重要会議に出て、社内役員のパフォーマンスを実際どのように把握しているのかまで投資家は求めることも多いと思います。
野村の有価証券報告書の詳細やアニュアルレポートは一切読んでいませんので、どういう開示がされて野村いるのかは私は知りませんが、投資家は、こういう目線で評価すると思います。
中小型銘柄の企業などでは、良く分からないけど、とりあえずお飾りでもいいので社外取締役を委員長にしておこうと安易に考えている場合、認識をあらためる必要があるかと思います。そうしないと、委員長を社外取締役にしたが、株主総会で経営トップの選任議案の反対率が高くなるという事態になるかも知れません。