中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

地熱発電施設を2030年に倍増する考えのようです

本日は週1回の在宅で仕事をする日ですので、細かい資料作成作業ではなく、周辺情報の収集・整理に集中する予定です。昨日、アマゾンで「ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること」(幻冬舎新書)を中古で購入しました。著者は苦瓜達郎氏(1990年東大経済学部卒)で、国内中小型株式部門で過去6年連続で優秀賞等を受賞した三井住友DSアセットマネジメントのファンドマネジャーの方です。アマゾンでの評価のとおり文字数の多くない、薄い本ですので’、時間をかけずにさっと読む予定です。後でブログで書評を書きたいと思います。

株式投資関連情報になりますが、本日の日経新聞で「地熱発電施設、30年に倍増」との見出しの記事がありました。以下の内容です。

河野太郎規制改革相は1日、政府の規制改革推進会議の答申とりまとめに合わせ、脱炭素社会の実現に向けて見直すべき規制について報告した。国立公園など自然公園での導入を進め、地熱発電施設を2030年に倍増する目標を掲げた。再生可能エネルギーの拡大につなげる。地熱発電風力発電といった施設の立地を巡る制約を解消するため、関連する規制の緩和も進める考えを示した。荒廃農地の再エネ用地への転用でも要件を緩めて太陽光発電の設置を促す。

 地熱発電については、小泉環境相が、地熱の開発期間が従来は10年以上かかっているころ、最短8年に短縮する意向であること、総発電量に占める地熱の比率を2019年は0.3%であるのを2030年には1%まで引き上げることを4月27日の閣議後の記者会見でたしか発言しています。

地熱はCO2を出さない、日本は世界で第3位の地熱資源量を有するなど、本来地熱発電は期待されるべきエネルギーです。しかし、開発リードタイムが長いほか、国立公園など開発の難易度が高く、環境庁はじめ関係省庁との折衝などが必要になることもあり、なかなか進んでいないのが現状ですが、期待したいと思います。

ゼネコン各社のFY20業績実績とFY21業績予想 ー FY21は増収予想ではあるも伸び率は低い

本日はゼネコン各社の業績一覧を紹介します。少し前にばらばらと各社のFY21業績予想を紹介しましたが、今回はFY20の実績値と併せて一覧で数値のみを書きます。まずは、対年度比較での売上高、営業利益の伸び率になります。

       FY20売上高 /  営業利益  FY21売上高 / 営業利益

  • 清水建設  △14.2%  △25.2%   + 6.4%  △23.6%
  • 大成建設  △15.5%  △22.2%   +10.8%  △31.0%
  • 大林組   △14.8%  △19.4%   + 8.1%  △22.9%
  • 鹿島    △ 5.2%  △ 3.6%   + 5.4%  △18.3%
  • 戸田    △ 2.2%  △21.4%   + 1.6%  △14.8%
  • 安藤ハザマ △ 6.9%  +10.8%   + 5.7%  △ 9.0% 
  • 五洋建設  △17.9%  △ 8.1%   + 4.2%  △ 4.8%
  • 東亜建設  △ 0.3%  + 9.5%   +17.5%  + 3.3%
  • 若築建設  △16.7%  △42.1%   + 9.1%  +49.1%
  • 前田建設  +39.0%  +36.1%   + 5.4%  + 0.8%
  • 東洋建設  △ 1.0%  +53.8%   △ 1.7%  △35.5%

他業種と同様にFY20は減収減益でしたが、FY21は対FY20で比較すると増収予想の企業がほんとどですが、営業利益は厳しい見通しのようですね。人材不足での人件費高騰等が要因かと思います。外国人労働者もコロナ禍の影響でFY21も日本にはなかなか来ないと思いますので、厳しい見通しなのだと思います。

なお、増収予想ではありますが、比較年度であるFY20は対FY19では大きく減収となっていますので、FY21は増収予想とはいってもFY19実績の戻りまでは現時点では予想していないようです。各社の決算短信を見ると、再生可能エネルギー風力発電)や国土強靭化が今後の成長のキードライバーとなっています。過去に紹介したゼネコンの業績の記事を以下のとおり再掲します。

 


 

ゼネコン業績:若築建設、大成建設、戸田建設、前田建設工業、鹿島建設、東亜建設工業の2021年度業績予想

今週は業務が多忙で、週1回を予定しているテレワークもできませんでした。じっくりと情報を収集する時間的余裕がゼロで、来週も1週間同じ状況が続くのですが、本日は、時間をかけて諸々の情報整理、ブログ記事掲載、読書をしたいと思います。

さて、本日の最初の記事は、まずゼネコン業績を引き続き掲載します。各社の2021年度予想の前年比増減になります。

若築建設:売上高+9.1% 営業利益+49.1%

(今後の見通し)経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は長引くことが想定されるものの、建設業への影響は限定的と考えられます。国土強靱化政策など引き続き社会資本整備は堅調に推移すると想定され、民間設備投資におきましても長期的には都市圏を中心として需要の回復も見込まれています

大成建設:売上高+10.8% 営業利益△31.0%

(今後の見通し)2021年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の収束時期がいまだ不透明な中、景気回復の時期も見通せず、厳しさが継続すると思われます。建設市場においても、新型コロナウイルス感染症が収束に向かえば、民間設備投資が徐々に回復すると想定されるものの、先行きの不透明感から厳しい競争環境が継続すると思われます

戸田建設:売上高+1.6% 営業利益△14.8%

(今後の見通し)今後の経済情勢については、輸出や雇用を中心に持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルス感染症の動向が予断を許さず、極めて厳しい状況が続くことが見込まれます。建設業界においては、インフラ整備を中心とした公共事業投資が期待される一方、民間設備投資の縮小が懸念されます。また、サプライチェーンの機能低下に伴う資材供給停滞及び感染防止対策の実施等、工事の進捗度及び収益性への影響について留意する必要があります。

鹿島建設:売上高+5.4% 営業利益△18.3%

(今後の見通し)今後の経済動向につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束状況に依るところが大きく、ワクチンの早期普及に期待がかかるものの、不確実性の高い状況が当面継続すると考えています。また、産業構造や人々の生活・行動、価値観の変容など社会・経済の変化のスピードは、感染症の影響により加速していると認識しています。建設市場におきましても、経済の回復に伴って国内外における民間設備投資再開の動きが拡がることを期待しておりますが、感染症拡大前の水準に戻るには一定の期間が必要であり、厳しい競争環境が継続する可能性があると見込んでいます。

前田建設工業:売上高+5.4% 営業利益+0.7%

(今後の見通し)新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止策など、各種政策の効果により、持ち直しの兆しが見られますが、引き続き感染状況を注視し、雇用や所得環境など、社会経済活動に与える影響を十分注意していく必要があります。建設業界においても、関連予算の執行による公共投資底堅い推移が期待され、不透明な部分があるものの、企業の設備投資についても機械投資を中心に持ち直し傾向が期待されており、住宅建設については、当面、横ばいで推移していくものと予想されます

東亜建設工業:売上高+17.5% 営業利益+3.3%

(今後の見通し)国内建設市場におきましては、重要インフラ等の機能・維持を図るための集中的な対策がなされるなど政府建設投資の増加が見込まれております。また、民間建設投資においては、新型コロナウイルスの影響による投資見直しの動きに留意が必要なものの、当社が得意とする物流施設など一部の分野では活発な投資が今後も継続するものと見込まれます。海外建設市場におきましては、新型コロナウイルスの影響が懸念されるものの、引き続き新興国を中心に社会インフラの整備は堅調に進むものと考えられます。

ゼネコン業績:大林組・安藤ハザマ・東洋建設の2021年度の業績予想

本日の日経平均株価は前日比699円安の27,448円です。この数日続落ですが、このまま更に下がったところで保有銘柄の買増しをしたいと思っており、忙しい中でも株価の動きだけは毎日ウォッチしています。

さて、本日も業務多忙のため、昼休みに株価を眺める程度しか出来ず、決算短信を見る時間はゼロで、先ほど帰宅して決算短信のチェックを開始しました。

5月12日に大林組・安藤ハザマ・東洋建設が決算発表をしています。大林組の2021年度業績予想は、売上高 +8.1%、営業利益 △22.9%、経常利益 △23.5%となっています。20210512kessan1.pdf (obayashi.co.jp)

予想の前提は決算短信には記載がなく、決算説明会資料において、「2021年度の売上高は国内建築事業において、前年度と比較し手持ち大型工事が進捗することなどから、前年度比1,431億円増の1兆9,100億円を見込んでおりますが、営業利益は国内建築事業における競争激化による工事利益率の低下により、前年度比281億円減の950億円を見込んでおります。」とあるだけです。

次に安藤ハザマです。https://www.ad-hzm.co.jp/ir/pdf/pre/statement/2021_4.pdf

2021年度の業績予想は、売上高 +5.1%、営業利益 △10.2%、経常利益 △9.7%となっています。理由について短信に書いてあるのですが、良く分かりません。

 最後に東洋建設(海上土木大手)です。2021_03.pdf (toyo-const.co.jp)

2021年度業績予想は、売上高 △1.7%、営業利益 △37.6%、経常利益 △36.9%となっています。予想数値が保守的なのかどうか分かりませんが、見通しが良くないですね。決算短信の記載は次のとおりです。

建設産業におきましては、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により公共建設投資は堅調に推移すると見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症の影響による企業収益の落ち込みや先行きの不透明感等から、民間設備投資の抑制が続くことが懸念されます。このような状況の中、当社グループは、中期経営計画“Being a resilient company”の2年目となる2021年度をレジリエント企業への変貌を加速させる年と位置付けております。カーボンニュートラルへの対応などの環境変化を認識し、洋上風力発電施設の建設事業といった将来に向けての新たな成長戦略を推進し、基幹3事業である国内土木、国内建築、海外建設各事業における重点施策を力強く実行するとともに、グループ力を最大限に発揮し、計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。

ポイントは太字でハイライトした箇所かと思います。

ゼネコン業績:西松建設・五洋建設の2021年度の業績予想

昨日の日経新聞でインベストメントチェーン特集が3ページにわたり記載されており、「物言う機関投資家」、「ESGの視点」など分かり易く簡潔に解説がありましたので、まだご覧になっていない方は、さっと目を通されるとよいかと思います。

5月11日に西松・五洋建設が決算発表をしており、各社、2021年度業績予想を開示しています。まず、西松建設は次のURLのとおりです。https://www.nishimatsu.co.jp/assets/upload/ir_news/1620709841_026888300.pdf

2020年度が売上高は前年比△14.1%、営業利益△17.2%、経常利益△16.6%となっています。2021年度予想は、売上高+0.2%、営業利益+0.2%、経常利益△1.7%で、今後の見通しについて次のとおり記載されています。

国内経済の今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの普及や各種政策の効果等により持ち直しの動きが続くことが期待されますが、国内外の感染拡大による下振れリスクもあり、不確実性の高い状況が続くものと予想されます。土木分野の見通しにつきましては、政府建設投資は、「防災・減災」「国土強靭化」の対策が進められることから、当連結会計年度と比べ、横ばいまたは微増での推移が予想されます。また、インフラの老朽化対策のため、リニューアル市場は堅調に伸長することが見込まれます。民間建設投資については、新規設備投資は伸び悩むものの、既存施設の維持更新工事は増加が見込まれます。建築分野の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症等の影響により、民間建設投資は当連結会計年度と比べ、減少が予想されるものの、EC市場の拡大による物流施設の需要の継続または増加など、一部の市場では底堅い需要が見込まれます。

次に五洋建設ですが、次のとおりで、2020年度は売上高は前年比△17.9%、営業利益△8.1%、経常利益△6.1%となっています。また、2021年度予想は、売上高+4.2%、営業利益△4.8%、経常利益△6.7%です。

http://www.penta-ocean.co.jp/ir/data/account/033/pdf/20210511.pdf

今後の見通しは、次のような記載になっています。

2021年度の国内外経済の見通しにつきましては、新型コロナウィルス感染症再拡大の影響により、当面先行き不透明な状況が続くものとみられます。2021年度の国内建設市場につきましては、公共投資は、防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策(2021年~2025年度)等により高水準で推移するものと見込まれます。民間建設投資も、ポストコロナ、カーボンニュートラル実現等に向けて回復が見込まれます

昨日12日には大林組、安藤ハザマ、鹿島などが決算発表をしているはずですが、業務が多忙で全く見れておりませんので、夜、時間があれば、書きたいと思います。

 

アクティビスト保有銘柄はやはりかなりお薦め ー西松建設が年80円増配

本日の日経新聞西松建設が年80円増配との記事がありました。昨日は西松建設の決算発表で、私は見る時間がなかったのですが、2019年度、2020年度ともに年間配当105円でしたが、2021年度は185円とするようです。利益配分に関する基本方針等について次のような記載になっています。

当社は、2018年度から2020年度までの3ヵ年につきましては、「中期経営計画2020」に基づき、連結配当性向30%以上かつ1株当たり配当金100円以上を利益還元する計画としております。当期の剰余金の配当につきましては、この計画に基づき、1株当たり配当金105円とする予定です。2021年度から2023年度までの3ヵ年につきましては、本日公表しました「中期経営計画2023」において、健全な財務体質を維持しつつ、資本効率の高い成長投資により企業価値向上を目指し、骨太な株主還元を実施することを基本方針といたしました。
<中期経営計画2023における株主還元方針>
● 連結配当性向 :継続的に70%以上
● 自己株式の取得 :2021年度から2023年度の3年間で200億円以上
次期の剰余金の配当につきましては、この計画に基づき、1株当たり配当金185円(うち中間配当90円)を予定しております。

自己株式の取得も今後3年間で200億円以上の実施のようです。

では、何故このような方針を打ち出したかというとそれはアクティビストの存在です。西松建設は旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが約20%ほど保有しています。シティインデックスの存在が増配の背景です。シティインデックスは日本アジアグループの株式も保有しており、同社は300円の配当決議をしたことは記憶に新しいところです。いずれにせよ、アクティビストの保有銘柄は今後、大幅な増配が期待できるのでかなりお薦めということですね。

ゼネコン業績:清水建設の2021年度の業績予想 ー 売上高+6.4%、営業利益△23.6%

3月期決算企業の通期決算発表が今週から相次ぎます。ゼネコンの業績については、ある理由から注視をしているところですが、昨日、清水建設が通期決算を公表しました。

https://pdf.irpocket.com/C1803/eq9A/G98U/o0xB.pdf

2020年度の業績は、前年比で売上高が△14.2%、営業利益が△25.2%、経常利益が△23.6%となっています。今後の株価に影響を及ぼす2021年度の業績予想については、売上高は+6.4%、営業利益△23.6%、経常利益△27.0%となっています。理由としては、決算短信では次のとおり記載されています。

2021年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じる中で持ち直していくことが期待されますが、感染症流行の長期化による海外経済の下振れリスクや金融・資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。建設業界においては、公共投資は堅調な推移が見込まれ、民間建設投資では企業収益の改善を受けた設備投資の持ち直しが期待されますが、感染症の収束時期の不確実性が企業活動に与える影響については留意が必要です。

ファンダメンタルズは堅調であるようです。今週のゼネコン各社の決算発表は次のとおりです。各社の決算内容については、簡単にブログで記載する予定です。

5月11日:西松建設五洋建設、5月12日:大林組・安藤ハザマ・鹿島・東洋建設(海上土木の大手)・長大 5月13日:若築建設 5月14日:東亜建設工業海上土木)・大成建設戸田建設前田建設工業

あと、ゼネコンと言えば政策保有株式ですね。ゼネコンは潤沢な政策保有株式を有するため、アクティビストに遊ばれている業界とも言えます。政策保有株式は有価証券報告書で開示されますので、6月下旬に有価証券報告書が開示された時点で各社の縮減状況について、詳細な分析をしたいと思います。ゼネコンの政策保有株式については、以前に次の記事を書いておりますので、ご参考までに掲載します。

カトリック聖パウロ修道会が大株主の銘柄

昨日、四季報オンラインで銘柄分析をしていたところ、面白い情報がありましたので紹介します。

四季報オンラインに「意外と知らない!『学校・宗教法人が大株主』の全64銘柄」という記事がありました。その中で、カトリック聖パウロ修道会(戦前の1934年に日本国内での活動を開始。終戦から6年後の1951年、財団法人の形で日本文化放送協会を創設した宗教法人のようです)が大株主である銘柄が次のとおり13銘柄あるようです。表示は保有比率(%)と保有株数(万株)になります。

  • 1716  第一カッター興業     0.7%   4万株
  • 1929  日特建設         0.4%  19万株
  • 1994  高橋カーテンウォール   0.9%   9万株 
  • 3392  デリカフーズ       0.6%  10万株
  • 5388  クニミネ工業       0.3%   5万株
  • 5695  パウダーテック      0.3%   1万株
  • 6402  兼松エンジニアリング   0.7%   4万株
  • 6466 TVE           1.0%   3万株
  • 6540  船場              0.4%   4万株
  • 7435  ナ・デックス          0.7%   7万株
  • 7722  国際計測器        0.4%   7万株
  • 9179 川崎近海汽船        0.9%   3万株
  • 9639 三協フロンティア      0.2%   3万株

再生可能エネルギーとして地熱発電に今後期待

前回記事に書きましたストラテジックキャピタルの株主提案の分析を本日から開始しましたので、明日以降に記事を書く予定です。まずは文化シャッターへの株主提案の分析から行う予定です。

さて、本日は、4月23日に開催された経済産業省の第32回総合資源エネルギー調査会の資源・分科会の資料と会議の様子を途中まで動画で視聴していました。資料は次のとおりです。

中長期での株式投資の観点からの私の関心事項は、地熱発電と海洋鉱物資源の掘削ですが、地熱の政策の方向性については、報告書(案)の中で次のとおり記載されています。

③ 政策の方向性
(ⅰ)開発リスク・コストの低減
 地熱の探査や開発に伴うリスクやコストの低減のため、JOGMEC 自らが行う先導的資源量調査をより積極的に実施すべきである。また、地表・掘削調査事業への補助や出資・債務保証等のリスクマネー供給を通じ、事業化に向けた事業者の取組を継続的に支援すべきである。
 (ⅱ)地元理解の促進
地域と共生した持続可能な地熱開発を促進すべく、自治体主催の情報連絡会等の開催に対する支援や有識者の派遣、地熱シンポジウムの開催等、地元理解のための取組を継続するとともに、地熱資源を活用し、農林水産業や観光業等の産業振興に取り組む自治体を「地熱モデル地区」として積極的に選定・発信を行うべきである。
 (ⅲ)規制の運用改善
我が国の地熱資源の約 8 割が賦存するとされている国立・国定公園内については、これまでの規制緩和により、条件付きで地熱開発が可能となっているが、地域によっては過大な対応が求められるなど、未だに順調に開発が進んでいるとは言い難い状況である。引き続き、関係省庁が連携し、規制の撤廃や緩和、基準の明確化等を行っていくべきである。
 (ⅳ)革新的な技術開発
地表調査や掘削調査による高コスト化やリードタイムの長期化に対応するため、継続的な技術開発を実施していくべきである。加えて、地熱発電の抜本的な拡大を図るため、革新的な技術を利用した地熱開発(EGS:EnhancedGeothermal System)についても国内のポテンシャル調査や技術検討を行うべきである。
 (ⅴ)海外展開
国際的に見ると、アジア・アフリカ等においても地熱開発のポテンシャルは大きく、我が国と類似の海外の火山帯において地熱資源調査や大規模発電事業等を行うことで知見を蓄積し、国内の探査や開発に活かしていくことも重要である。また、我が国企業は、地熱発電設備の世界シェアにおいて約7割を占めており、我が国が強みを持つ脱炭素技術の海外展開や、それを通じた世界のカーボンニュートラルへの貢献という観点からも、地熱発電の海外展開を促進していくことが重要であり、JOGMEC の役割も含めて政策的支援の強化について検討すべきである。

再生可能エネルギーの中で、地熱はCO2を出さない、日本は世界で第3位の地熱資源量を有するなど、本来地熱発電は期待されるべきエネルギーです。しかし、開発リードタイムが長いほか、国立公園など開発の難易度が高く、環境庁はじめ関係省庁との折衝などが必要になることもあり、なかなか進んでいないのが現状です。そのような中、4月27日に時事通信社より次のニュースが配信されていました。

地熱発電所「倍増目指す」 温室ガス46%減へ―小泉環境相:時事ドットコム (jiji.com)

小泉進次郎環境相は27日の閣議後記者会見で、菅義偉首相が表明した2030年度の温室効果ガスを13年度比で46%削減する新目標の達成に向け、「地熱(発電所)の設置数の倍増を目指す」と述べた。現在、全国で稼働している地熱発電所は60カ所余り。倍増により再生可能エネルギーの活用を進め、温室ガス削減につなげる考えだ。

「地熱(発電所)の設置数の倍増を目指す」ようです。今後、地熱発電が加速することを期待したいと思います。地熱の他に原子力発電の加速も期待しているところです。

2030年度の新しい電源構成 ー 再生可能エネは30%台ですが、原子力も20%と高いです

明日から緊急事態宣言です。私の自宅は東京都大田区にあるのですが、明日からは近辺の大型施設や週末に中学生の娘と泳ぎを競い合っている大田区のプールも閉鎖されるようで、昨年に引き続き、つまらないゴールデンウィークに突入となりそうです。明日は新聞等の情報整理と週明けからの仕事の準備程度しかすることがないと思っていたところ、アマゾンで注文をしていた森・濱田松本法律事務所執筆の「ルール・チェンジ 武器としてのビジネス法」日本経済新聞出版)が届きましたので、これを明日は読みたいと思います。

さて、本日の日経新聞に2030年度の新しい電源構成の記事がありました。温暖化ガス46%減へ向けての構成の見直しになります。

2030年度に占める構成は、再生可能エネルギーが30%台、原子力20%、水素・アンモニア10%以上、火力(石炭・LNGなど)40%程度ということのようです。この中で私が関心が高いのが、原子力です。現状は6%程度ですが比率を20%に引き上げることになります。

原子力は火力発電の比率を下げるに当たり、必須の重要電源と言われています。そもそも原子力は安定的に供給でき、コストも低く、温室排出ガス効果も少ないと言われています。CO2を排出しないということでは、再生可能エネルギー以上のメリットがあるとも言われています。重複しますが、以前にもブログで書きましたが関西電力のホームページに原子力のメリットについて詳しく書かれています。1つ目は、燃料の安定的供給です。ウランは石油に比べて政情の安定した国に埋蔵されていると言われています。2つ目にCO2を排出しないということです。つまり発電の過程においてCO2を排出しません。3つ目に、年間を通じてフル出力で運転が可能ということです。

原子力の比率が増えるということは、将来は高レベル放射性廃棄物の処理が発生するということですので、この関連銘柄が長期で期待が高まると思っています。政府は次期エネルギー計画を今年夏頃に公表する予定ですが、それと併せて正式な電源構成を示すようです。

フィデリティ・世界割安成長株投信 ー 組み入れ日本株の紹介

本日は興味深い投信を1つ紹介します。フィデリティ・世界割安成長株投信です。私が以前より集中投資をしているある銘柄がこの投信に組入れられていることを先日たまたま知り、どういう銘柄が組入れられているのかと思いさっと調べてみました。

この投信の愛称は「テンバガーハンター」です。テンバガーの原石を世界中から発掘することが狙いです。米国の著名ファンドマネジャーであったピーター・リンチの愛弟子と言われているジョエル・ティリングハストが運用責任者です。

ジョエル・ティリングハストは、ウィキペディアによれば、「ピーター・リンチ同様『誰もが知っている身近な会社に投資する』というスタイルを踏襲。逆にいうと、『自分が理解できない銘柄には投資をしない』というのが哲学の一つである。得意な投資対象は世界中の中小型株(基本は小型株)」ということのようです。この投信の投資方針は、高い競争力と健全な財務を持つ会社、市場が見逃している割安な成長株としています。

第1期(決算日 2021年2月22日)の運用報告書に組入日本株が記載されており、148銘柄となっており、主な銘柄をいくつかあげると次のとおりです。

  • 8001 伊藤忠商事   1,060千株
  • 6670 MCJ       863
  • 9717 ジャステック    346
  • 1835 東鉄工業      276
  • 1879 新日本建設     222
  • 2735 ワッツ       220
  • 7619 田中商事      204
  • 1898 世紀東急工業    204
  • 1930 北陸電気工事    190
  • 7856 萩原工業      175
  • 6459 大和冷機工業    170
  • 5388 クニミネ工業    125
  • 3023 ラサ商事      120
  • 5357 ヨータイ      119
  • 1949 住友電設      113

この銘柄を見て気付く方もいるかも知れませんが、アクティビストが保有する銘柄もいくつかあるようです。株価上昇には、利益の成長は当然ですが、これに加えてカタリストが必要ですが、アクティビストの存在がカタリストとなる可能性も高いといえます。

さて、今週も東芝の報道が日経新聞で掲載されると思いますので、これも引き続き注視したいと思います。

中長期の株式投資:海洋鉱物資源 ー 経産省の鉱業小委員会(3月30日開催)

中長期観点での株式投資テーマについて紹介します。

私が注目している中長期での株式投資テーマの1つに海洋鉱物資源があります。経済産業省の資源・燃料分科会の中で鉱業小委員会というのがあり、ここで鉱物資源についても2014年5月から議論がされており、前から議論状況には注視しているのですが、直近では3月30日に第8回会議が開催されました。事務局資料は次のURLのとおりです。

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/kogyo/pdf/008_03_00.pdf

この中で海洋鉱物資源に関する記述があり、「国産海洋鉱物資源開発に向けた取組の更なる推進」として次のとおりです。

海底熱水鉱床とは、海底から噴出する熱水に含まれる金属成分が沈殿してできたもので、コバルトリッチクラフトとは、海山斜面から山頂部の岩盤を皮殻状に覆う、厚さ数cm~10数cmの鉄・マンガン酸化物をいいます。前者は、沖縄、伊豆・小笠原(EEZ)の700~2,000mに、後者は、南鳥島等(EEZ、公海)の800~2,400mに存在するとされています。

また、「サプライチェーン上の政策課題と対応」として、次の記述があります。

我が国領海・EEZ内に確認されている海底熱水鉱床コバルトリッチクラストマンガン団塊レアアース泥等については、現在、既知鉱床の資源量評価や、新規鉱床の発見が進んでいる一方、民間事業者の参入判断に必要な資源量の把握が不十分であることや、海底の多様な鉱床性状に応じた生産技術の開発などが課題。資源量の把握、生産技術の確立等の国産海洋鉱物資源開発に向けた取組を一層推進していく

掘削の技術課題があり、まだ先の長い話になりそうですが、自動車の電動化等でレアアース等の需要が高い中、日本は輸入に頼らざるを得ない状況にあるのが現状ですが、将来的には自前でも調達できるよう政府は取り組みを進めているところかと思います。

海洋鉱物資源の国内調達が可能になった場合、関連銘柄は株価の上昇が期待できるかと思いますので、関連銘柄をスクリーニングし、注視しておくと良いかと思います。

中長期株式投資の銘柄分析:東京個別指導学院(4745)は「買い」

本日は四季報オンラインのデータが2021年2集・春号データに更新されました。四季報オンラインに掲載されている銘柄の分析記事がアップデータされましたので、保有銘柄や気になる銘柄には本日から目を通し始めています。

以前にもブログで記事を書いたことがありますが、学習塾の東京個別指導学院について紹介します。四季報オンラインでは次のとおりとなっています。

【費用増】22年2月期は期初には生徒数戻るうえ、前期からの増加基調続く。受験学年中心のオンライン授業が非受験学年に浸透。年間8出校の計画見直しなら開校費減。ただ、システム刷新に6億円で本復は先に 【オンライン】コロナ下で加速。生徒の通塾負担なく、ライブ授業に上乗せの提案が円滑に。今期は関東でオンラインのみの指導をテスト、実現なら全国が営業圏へ

同社は2月期決算ですが、2020年度の四半期業績は、次のとおりです(単位は百万円)。Q4は2020年度の通期予想から3-11月の9ヵ月の実績を除いた予想値になります。

  • Q1 売上高 2,134(▲43.6%) 営業利益 ▲1,761(  4.4%)
  • Q2 売上高 6,052(+ 0.3%) 営業利益    935(▲26.1%)
  • Q3 売上高 4,769(▲ 0.1%) 営業利益    490(▲30.1%)
  • Q4 売上高 5,745(▲13.8%) 営業利益    596(▲62.8%)

ここで気になるのは、Q3と比較するとQ4の売上の伸び率が20%となっている点です。同社の過去の業績を見ると、Q3と比較したQ4(12-2月期)の売上高増加は+40%程度なのですが、それと比較して今回のQ4の売上が小さいのです。この時期は学習塾に通う生徒は増えるはずですし、東京個別が公表した月末の生徒数は7月から11月までを見ると前年度同月比ではマイナスが続いていますが、マイナス幅は大きく減少しています。つまり回復しているのです。リソー教育のQ4予想値と比較しても東京個別の2020年度通期予想前提でのQ4予想は保守的な気がしています。

なお、同社の2020年度の業績予想値をベースにしたPER(計算式の分母は、特別損益を無視するため、税引後経常利益を使用)は193倍ですが、同社は21年度~23年度の中計経営計画を公表しており、現在の株価ですとこの3年間の予想PERは18倍~25倍となります。同社の過去のPERは30倍台後半ですので、割安と言えるかと思います。

東京個別の中期経営計画はホームページ上にある社長の動画を視聴するのをお薦めします。とても詳しく、ホスピタリティー経営2023を公表しており、今後の戦略・取組み、社長の意気込みが良く分かると思います。また、同社の親会社はベネッセホールディングですので、近い将来、ベネッセホールディングによるTOBでの上場廃止の可能性も期待できます。

株式投資指標であるPERの読み方

本日は保有銘柄のこの1週間の株価の動き、ニュース等の確認をしていますが、この他に最近購入したものの読めていない本が沢山あるので、少しずつ読み進めています。人の奨めもあり日本史、美術など自分の業務に全く関係のない本も最近購入したのですが、意外に面白いなと感じています。これらの書籍もタイミグを見てブログで紹介したいと思います。

さて、前回の記事でストラテジストの広木隆さんの書籍を紹介したこともあり、個人投資家向けにPERの実務上の読み方について簡単に説明したいと思います。

PER(株価収益率)は株価をEPS(1株当たり純利益)で割ることで算出されますが、EPSを算出するのは面倒なこともありますので、株式時価総額当期純利益で割ることでも一緒です。

株式時価総額600億円の上場会社の純利益が60億円であればPERは10倍です。つまり、この会社を100%買収するとした場合、10年間の純利益で投資額を回収できるということになります。仮にPERが50倍ということは、買収に費やした金額を回収するのに50年かかるということを意味します。つまり、何年分の純利益で投資額を回収できるかという指標です。

このPERを活用する際のポイントはいくつかあります。まず、このPERは何と比較するかですが、その企業の過去のPERとの比較になると思います。同業他社と比較することも良く言われますが、同業で比較する意味が本当にあるのか良く分かりません。それよりもその企業の過去のレベルと比較することで、今時点のPERが割高にあるのかどうか等を見ることが重要なのだと思います。比較する過去の年数は最低でも5年、できれば10年程度が良いと思います。

次に、先ほど株式時価総額当期純利益で割るといいましたが、正式にはそうですが、過去のPERと比較するという観点からは、PERの算式の分母は純利益ではなく、「経常利益×70%」が良いと思います。日本の会計基準の場合、会計年度に特別利益及び特別損失が生じた場合、当期純利益に変動が生じますが、この特別な事情を除いて平常値で算出するには、経常利益がベストということです。純利益に近づけるためなどの理由から法人税等実効税率の30%分を控除すべく経常利益×70%とします。

最後に、分母の経常利益は通期予想の経常利益を使用します。株価は半年~1年先を織り込むと言われていますので、予想の経常利益(×60%)の数値を使用して算出するのが適切です。以上の3つがPERの留意事項になります。

中長期株式投資の銘柄分析:クニミネ工業(5388)ー四季報サプライズ銘柄

本日(今朝)は株式投資関係で簡単に1つ記事を書きます。昨日、四季報オンラインで3月期決算企業の中から、配当利回りの大きい5銘柄が紹介がされていますが、その中でクニミネ工業(5388)が入っていました。以下は四季報オンラインの記事になります。

【特色】ベントナイト(特殊粘土鉱物)の最大手。自動車、建機、建設が主な納入先。海外市場を開拓中  【最高益】好採算の復興案件が想定上回る伸び。鋳物も自動車生産復調で出直る。一転営業増益に増額。22年3月期は自動車回復本格化でベントナイトが鋳物向け需要活発。高付加価値の農薬堅調。最高純益更新  【脱炭素】21年度からの次期中計3カ年では脱炭素社会に向け地熱発電・掘削井の崩落防止のベントナイトなど拡販。新卒、中途採用増で若手の人材補強、研究部門強化。

クニミネ工業はこれまでもブログの株式投資関係で何度か紹介している銘柄ですが、現在、同社が公表している2020年度の通期予想からQ4(1-3月期)業績を算定するかなり低い数値となり、自動車生産台数はじめマクロ経済環境から考えると4月頃に通期予想の上方修正をする可能性が高いのではと私は考えています。前回のクニミネ工業についての記事は次のとおりです。

クニミネ工業はアナリストのカバレッジがほぼされていない銘柄です。さて、明日から週末ですが、明日はこの1週間の銘柄の動きを分析するとともに、書籍紹介、東証市場区分、今年の株主総会テーマなどについてブログで紹介したいと思います。