中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

再生可能エネルギーとして地熱発電に今後期待

前回記事に書きましたストラテジックキャピタルの株主提案の分析を本日から開始しましたので、明日以降に記事を書く予定です。まずは文化シャッターへの株主提案の分析から行う予定です。

さて、本日は、4月23日に開催された経済産業省の第32回総合資源エネルギー調査会の資源・分科会の資料と会議の様子を途中まで動画で視聴していました。資料は次のとおりです。

中長期での株式投資の観点からの私の関心事項は、地熱発電と海洋鉱物資源の掘削ですが、地熱の政策の方向性については、報告書(案)の中で次のとおり記載されています。

③ 政策の方向性
(ⅰ)開発リスク・コストの低減
 地熱の探査や開発に伴うリスクやコストの低減のため、JOGMEC 自らが行う先導的資源量調査をより積極的に実施すべきである。また、地表・掘削調査事業への補助や出資・債務保証等のリスクマネー供給を通じ、事業化に向けた事業者の取組を継続的に支援すべきである。
 (ⅱ)地元理解の促進
地域と共生した持続可能な地熱開発を促進すべく、自治体主催の情報連絡会等の開催に対する支援や有識者の派遣、地熱シンポジウムの開催等、地元理解のための取組を継続するとともに、地熱資源を活用し、農林水産業や観光業等の産業振興に取り組む自治体を「地熱モデル地区」として積極的に選定・発信を行うべきである。
 (ⅲ)規制の運用改善
我が国の地熱資源の約 8 割が賦存するとされている国立・国定公園内については、これまでの規制緩和により、条件付きで地熱開発が可能となっているが、地域によっては過大な対応が求められるなど、未だに順調に開発が進んでいるとは言い難い状況である。引き続き、関係省庁が連携し、規制の撤廃や緩和、基準の明確化等を行っていくべきである。
 (ⅳ)革新的な技術開発
地表調査や掘削調査による高コスト化やリードタイムの長期化に対応するため、継続的な技術開発を実施していくべきである。加えて、地熱発電の抜本的な拡大を図るため、革新的な技術を利用した地熱開発(EGS:EnhancedGeothermal System)についても国内のポテンシャル調査や技術検討を行うべきである。
 (ⅴ)海外展開
国際的に見ると、アジア・アフリカ等においても地熱開発のポテンシャルは大きく、我が国と類似の海外の火山帯において地熱資源調査や大規模発電事業等を行うことで知見を蓄積し、国内の探査や開発に活かしていくことも重要である。また、我が国企業は、地熱発電設備の世界シェアにおいて約7割を占めており、我が国が強みを持つ脱炭素技術の海外展開や、それを通じた世界のカーボンニュートラルへの貢献という観点からも、地熱発電の海外展開を促進していくことが重要であり、JOGMEC の役割も含めて政策的支援の強化について検討すべきである。

再生可能エネルギーの中で、地熱はCO2を出さない、日本は世界で第3位の地熱資源量を有するなど、本来地熱発電は期待されるべきエネルギーです。しかし、開発リードタイムが長いほか、国立公園など開発の難易度が高く、環境庁はじめ関係省庁との折衝などが必要になることもあり、なかなか進んでいないのが現状です。そのような中、4月27日に時事通信社より次のニュースが配信されていました。

地熱発電所「倍増目指す」 温室ガス46%減へ―小泉環境相:時事ドットコム (jiji.com)

小泉進次郎環境相は27日の閣議後記者会見で、菅義偉首相が表明した2030年度の温室効果ガスを13年度比で46%削減する新目標の達成に向け、「地熱(発電所)の設置数の倍増を目指す」と述べた。現在、全国で稼働している地熱発電所は60カ所余り。倍増により再生可能エネルギーの活用を進め、温室ガス削減につなげる考えだ。

「地熱(発電所)の設置数の倍増を目指す」ようです。今後、地熱発電が加速することを期待したいと思います。地熱の他に原子力発電の加速も期待しているところです。