中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

株式投資指標であるPERの読み方

本日は保有銘柄のこの1週間の株価の動き、ニュース等の確認をしていますが、この他に最近購入したものの読めていない本が沢山あるので、少しずつ読み進めています。人の奨めもあり日本史、美術など自分の業務に全く関係のない本も最近購入したのですが、意外に面白いなと感じています。これらの書籍もタイミグを見てブログで紹介したいと思います。

さて、前回の記事でストラテジストの広木隆さんの書籍を紹介したこともあり、個人投資家向けにPERの実務上の読み方について簡単に説明したいと思います。

PER(株価収益率)は株価をEPS(1株当たり純利益)で割ることで算出されますが、EPSを算出するのは面倒なこともありますので、株式時価総額当期純利益で割ることでも一緒です。

株式時価総額600億円の上場会社の純利益が60億円であればPERは10倍です。つまり、この会社を100%買収するとした場合、10年間の純利益で投資額を回収できるということになります。仮にPERが50倍ということは、買収に費やした金額を回収するのに50年かかるということを意味します。つまり、何年分の純利益で投資額を回収できるかという指標です。

このPERを活用する際のポイントはいくつかあります。まず、このPERは何と比較するかですが、その企業の過去のPERとの比較になると思います。同業他社と比較することも良く言われますが、同業で比較する意味が本当にあるのか良く分かりません。それよりもその企業の過去のレベルと比較することで、今時点のPERが割高にあるのかどうか等を見ることが重要なのだと思います。比較する過去の年数は最低でも5年、できれば10年程度が良いと思います。

次に、先ほど株式時価総額当期純利益で割るといいましたが、正式にはそうですが、過去のPERと比較するという観点からは、PERの算式の分母は純利益ではなく、「経常利益×70%」が良いと思います。日本の会計基準の場合、会計年度に特別利益及び特別損失が生じた場合、当期純利益に変動が生じますが、この特別な事情を除いて平常値で算出するには、経常利益がベストということです。純利益に近づけるためなどの理由から法人税等実効税率の30%分を控除すべく経常利益×70%とします。

最後に、分母の経常利益は通期予想の経常利益を使用します。株価は半年~1年先を織り込むと言われていますので、予想の経常利益(×60%)の数値を使用して算出するのが適切です。以上の3つがPERの留意事項になります。