中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

投資先企業を物言う株主目線から分析する際の着眼点

物言う個人投資家の武器として、本日は投資先企業を分析する際の視点をごく簡単に紹介します。物言う株主であるストラテジックキャピタルが投資先企業の取締役とのエンゲージメンの際の視点を公表しており、これが非常に参考になります。

https://stracap.jp/english/wp-content/uploads/2021/02/ed0df42506ce6ace4d77073fb1a915af.pdf

 この中で、投資先企業のコーポレートガバナンスの良し悪しを分析する際の視点で、特に重要と思われる事項をあげると次のとおりになります。

  • 真に独立した社外取締役の選任
  • 指名及び報酬委員会の設置
  • 株価連動報酬
  • 相談役、顧問の廃止
  • 事前警告型買収防衛策の廃止
  • 資本コストの算定及び開示
  • 不採算部門、子会社・関係会社の売却
  • 政策保有株式の売却
  • 株主還元
  • E(環境)とS(社会)への配慮

これらの事項は、投資先企業のコーポレートガバナンス上の問題の有無を判断する際の重要な視点になります。社外取締役の選定に関しては、改訂コーポレートガバナンス・コードでは、プライム市場上場会社は社外取締役は3分の1以上とすることを求めています。また、指名・報酬委員会の設置においては、やはりプライム市場上場会社は各委員会とも委員の過半数は独立社外取締役とすることを求めています。

個人投資家としては、上記の事項で課題があると考える企業の株主総会議案は注意深く判断する、また、上記の各事項について、株主提案があった場合には、当該株主提案には合理性があるとの前提の下で判断するということになるかと思います。政策保有株式はじめブログでも何度かこれまで取り上げてきたものもありますが、次回以降、現在金融庁東証で最終化に向けて取り纏めている改訂コーポレートガバナンス・コードの原則・補充原則と併せて、ブログで説明していきたいと思います。

ゼネコン各社のFY20業績実績とFY21業績予想 ー FY21は増収予想ではあるも伸び率は低い

本日はゼネコン各社の業績一覧を紹介します。少し前にばらばらと各社のFY21業績予想を紹介しましたが、今回はFY20の実績値と併せて一覧で数値のみを書きます。まずは、対年度比較での売上高、営業利益の伸び率になります。

       FY20売上高 /  営業利益  FY21売上高 / 営業利益

  • 清水建設  △14.2%  △25.2%   + 6.4%  △23.6%
  • 大成建設  △15.5%  △22.2%   +10.8%  △31.0%
  • 大林組   △14.8%  △19.4%   + 8.1%  △22.9%
  • 鹿島    △ 5.2%  △ 3.6%   + 5.4%  △18.3%
  • 戸田    △ 2.2%  △21.4%   + 1.6%  △14.8%
  • 安藤ハザマ △ 6.9%  +10.8%   + 5.7%  △ 9.0% 
  • 五洋建設  △17.9%  △ 8.1%   + 4.2%  △ 4.8%
  • 東亜建設  △ 0.3%  + 9.5%   +17.5%  + 3.3%
  • 若築建設  △16.7%  △42.1%   + 9.1%  +49.1%
  • 前田建設  +39.0%  +36.1%   + 5.4%  + 0.8%
  • 東洋建設  △ 1.0%  +53.8%   △ 1.7%  △35.5%

他業種と同様にFY20は減収減益でしたが、FY21は対FY20で比較すると増収予想の企業がほんとどですが、営業利益は厳しい見通しのようですね。人材不足での人件費高騰等が要因かと思います。外国人労働者もコロナ禍の影響でFY21も日本にはなかなか来ないと思いますので、厳しい見通しなのだと思います。

なお、増収予想ではありますが、比較年度であるFY20は対FY19では大きく減収となっていますので、FY21は増収予想とはいってもFY19実績の戻りまでは現時点では予想していないようです。各社の決算短信を見ると、再生可能エネルギー風力発電)や国土強靭化が今後の成長のキードライバーとなっています。過去に紹介したゼネコンの業績の記事を以下のとおり再掲します。

 


 

成長への事業選択を要求する株主提案の増加の可能性 ー 事業再編実務指針の精読の薦め

5月18日の日経新聞に「来るか、株主提案『第3弾』」とのタイトルの記事がありました。最近の株主提案は従来のものと質が変化し、企業がどう成長するかを追求する動きに変化してきているというものです。

株主提案は第1弾から第3弾の流れにあるということが書かれています。第1弾は増配や自社株買いを求める株主提案です。「金を貯め込むな」「余剰資金は株主に還元しろ」という提案です。これまで良く見られたケースです。低いROEの改善を根拠に提案するケースです。

第2弾は、ガバナンス型の株主提案です。コーポレートガバナンスを踏まえた株主提案になります。ブログでも書いていますが、最近の事例ではストラテジックキャピタルが投資先企業に対して、政策保有株式の売却や買収防衛策の廃止を求めるケースなどがこの典型例です。コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえた株主提案と言えます。物言う株主としては、第2弾の株主提案の後に、増配などを求めることが多いので、第1弾とセットの株主提案とも言えるかと思います。

そして、第3弾が会社に成長戦略を提案するという内容の株主提案です。この第3弾は難易度が高く、株主提案をするアクティビストは、外資系の大手コンサルティングファームを起用して、提案書を作成することが多いです。それだけ内容の精度も高いので、この提案に賛同する機関投資家も多いと言われています。また、そもそもこの手の株主提案は、その内容を会社がのまなくても、会社がこの提案を受けて企業価値向上施策を検討するので、有益であると言われています。記事では、この第3弾の株主提案として、米国のバリューアクト・キャピタルによるセブン&アイに対するコンビニへの集中又は分離の提案、米RMBキャピタルによるフェイスに対する日本コロンビアのIPOが事例として紹介されています。

この提案の内容を詳細分析するには時間的にも内容的にも難しいので、ブログでは内容は触れませんが、経済産業省は2020年に事業再編実務指針を策定し、企業に適切な事業ポートフォリオを検討するよう求めていることもあり、この手の提案は今後機関投資家の賛同を得ることになるのだと思います。上場企業の経営企画担当部門の取締役の方には、この指針を一度しっかりと読むことをお薦めします。「事業再編に関する実務指針」は以前にブログで紹介していますので、再掲いたします。事業再編実務指針を読み込み、投資先企業に株主提案をしたいと考えている個人投資家の方がいたら、提案内容などを一緒に検討したいところです。

「物言う個人投資家」の武器としてのコーポレートガバナンス

5月14日の日経新聞にインベストメント・チェーン特集が組まれており、「物言う」機関投資家というタイトルの記事がありました。「物言う株主」は、いわゆるアクティビストであり、企業に対して会社法上の株主提案権を積極的に行使して、企業価値の向上を図り、最終的には増配によるインカム・ゲインまたは保有株式の売却によるキャピタル・ゲインにより利益を得る(金を儲ける)株主をいいます。

一方、「「物言う」機関投資家」とは、みずから株主提案権は投資先企業に行使はしないものの、会社提案議案に反対したり、アクティビストによる株主提案議案に賛同する機関投資家をいいいます。「物言う」機関投資家の増加の背景には、スチュワードシップ・コードでの議決権行使結果の個別開示があります。アセットオーナーの利益の最大化を図るのが、アセットマネジャーである機関投資家の役割であり、投資先企業の株主総会で合理性の観点のみから議決権を行使し、その結果を詳細に開示せよということになったことが大きな背景にあります。

ところで、個人投資家の場合にはどう考えればよいでしょうか? 個人投資家は、機関投資家とは大きく立場が違うのですが、自分自身がアセットオーナーです。つまり、アセットマネジャーという立場で、アセットオーナーである自らの利益の最大化を図るのが、個人投資家と言えます。当たり前と言えば、当たり前のことですが。

では、個人投資家はアセットマネジャーとして「「物言う」機関投資家」のような情報や能力を有しているのでしょうか? 答えは「NO」です。結果、銘柄に投資した後は、投資先企業が増配をしてくれたり、株価が上昇することをただただ祈ることしかできず、ヤフーファイナンスで素人のテキトーなコメントを見て、日々の株価に一喜一憂するという弱者の立場に甘んじざるを得ません。「物言う」機関投資家との決定的な違いは、コーポレートガバナンスの知識・能力の不足です。

でもこれっておかしくないでしょうか? 日本の株式市場の17%は個人投資家です。企業価値の最大化を図るためにコーポレートガバナンス強化を政府が求め、機関投資家コーポレートガバナンスを理解して、その改善・強化のための提案を企業に対して行います。しかし、市場の17%を占める個人投資家だけは無知なのです。また、政府も個人投資家コーポレートガバナンスを理解することは全く推奨していないのです。たしかに、個人投資家の個々の投資額は微微たる金額ですが、個人投資家も集団となれば大きなパワーを発揮するはずです。

個人投資家である個人が、機関投資家やアクティビストと同様にコーポレートガバンスに精通すれば、投資企業に株主提案をすることは出来ないにせよ、会社提案議案をどう判断するか、株主提案議案に賛同すべきかそれとも反対すべきかを的確に判断し、企業価値向上(=株価向上)を図ることが出来るのだと私は考えます。個人投資家が自己の利益の最大を図るための武器がコーポレートガバナンスへの理解力です。従い、個人投資家が株式市場で力を発揮するための武器となるコーポレートガバナンスについて、今後、基礎的な事項について解説して行きたいと思います。

そのためには材料が必要ですが、6月に改訂されるコーポレートガバナンス・コードをベースにするのがベストと思います。コーポレートガバナンス・コードは、物言う株主、物言う機関投資家が企業に株主提案をしたり、会社提案の内容を判断するためのバイブルです。従い、個人投資家もじっくりとコーポレートガバナンス・コードを読む込み、実務の観点から理解することで、機関投資家と同等の力をつけることが出来ると私は確信しています。

今後は改訂コーポレートガバナス・コードの読み方、考え方などを実務目線も交えて、紹介していきたいと思いますので、是非、コーポレートガバナンスを自分の武器にして、「「物言う」個人投資家となりたい」と考える方は今後、ブログをご覧頂ければと思います。恐らく大学生の方などにも参考になるはずです。半年以上前にあるきっかけで、早稲田大学の学生の方が卒論でコーポレートガバナンスを研究しており、その関係で質問を受けたことがありますが、少しは役に立てたのだと思っています。

コーポレートガバナンス・コード等の観点から、「この企業の株主総会の会社提案議案をどう判断したらよいか?」「この企業の株主提案議案に対してはどう考えたらよいか?」という疑問があれば、このブログの右欄のプロフィールの下のお問い合わせからお気軽にご質問を頂ければ、時間の限り、分析をしてご回答したいと思います。

物言う株主が気候変動に照準 ー 浦島太郎はNGですが、過度に頑張り過ぎるのもNGです

本日は週1回のテレワークの日にしたのですが、予想に反して朝から作業に追われる1日でした。じっくり資料と本を読み(プラス、株式相場のウォッチ)、今後の業務の企画をする予定でテレワークにしたのですが、朝から細かい事務作業や人との頻繁なコミュ二ケーションが発生し、こういう作業ではテレワークには限界があるとあらためて感じました。特に人との迅速かつ複雑なコミュニケーションでは、電話・メールは限界ありです。このため明日は朝7時に出社する羽目になってしまいました。

さて、本日の日経新聞に興味深い記事がありました。「物言う株主「気候」に照準」というタイトルの記事です。

伝統的なアクティビストは企業に株主還元・事業再編を提案し、株価アップを目指すが、2020年頃から気候変動などをテーマにした「ESGアクティビズム」が活発化し、企業価値の向上を目的とするため、環境への影響を第一に考える非政府組織(NGO)の株主提案に比べて他の株主の賛同を得やすい特徴があるということです。

ESGアクティビズムはこれまでも時々新聞で報道され、ブログでも何回か紹介していますが’、記事によれば、2008年にJパワー株式を取得した英国の投資ファンドであるザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドもESGアクティビストに転じたとのことです。チルドレンズとJパワーの攻防は外資規制が適用された唯一のケースかと思います。

では、このESGアクティビズムに備えて企業はどういう方針でいればよいのでしょうか?この問いに関連して、記事で次の記述があります。記事の一部を抜粋します(太字は私が強調した箇所です)。

議決権行使助言会社のグラスルイスによると、20年に米国で提出された気候変動関連の株主提案は19年からは倍以上に増え、賛成率が26%から34%に伸びた。もっとも、株価への影響はまだ未知数だ。アクティビストはESG対応が遅れていた企業に変化を促し、投資マネーを呼び込むことを狙う。実際、エクソンの21年の株価上昇率は47%と同業のシェブロンの26%を上回る。一方、市場の関心がそれほど高まらなかったカナダの鉄道大手などの株価に目立った動きは見られない。増配などの要求は株高につながりやすかった。気候変動関連の投資は短期的にはコストで企業価値の評価は難しい。「長期的な視点と目先の利益を求める短期的な視点は常にせめぎあう」早稲田大学でガバナンス&サステナビリティ研究所の所長を務める川本裕子教授)

この記事の太字の読んで「なるほど。たしかにそうだな」と思いました。環境問題はじめESG対応を全くやらないと長期投資家が離れる可能性があります。しかし、一方で、ESGへの対応は短期的には企業のコスト増になるということもしっかりと認識する必要があります。

上場企業の中には、外部の会計事務所系のESGコンサルティングなどにうまく利用されて、かなり先進的に取り組んでいる企業もありますが、あまりに力を入れると「そんなことより本業を頑張って下さい」となります。一方、繰り返しになりますが、手を抜き、「環境などどうでもいい。業績だけが全てだ」と言っていると、コーポレートガバナンス・コードの求めに反し、長期投資家が離れる可能性があります。

ということを考えると、上場企業が念頭に置くべきは、①世の中のESGの動きは確実に把握し、浦島太郎にならないこと、その上で、②同業他社(海外・国内)のESG取組みと遜色ない程度の対応をする、ということが肝要なのだと思います。こうすることでESGアクティビストが環境関連の株主提案をしたところで、「恐れるに足らず」ということになるのだと思います。そういえば、2ヵ月ほど前にも同じような記事を書いていましたので、再掲させて頂きます。 

 

 

 

ゼネコン業績:若築建設、大成建設、戸田建設、前田建設工業、鹿島建設、東亜建設工業の2021年度業績予想

今週は業務が多忙で、週1回を予定しているテレワークもできませんでした。じっくりと情報を収集する時間的余裕がゼロで、来週も1週間同じ状況が続くのですが、本日は、時間をかけて諸々の情報整理、ブログ記事掲載、読書をしたいと思います。

さて、本日の最初の記事は、まずゼネコン業績を引き続き掲載します。各社の2021年度予想の前年比増減になります。

若築建設:売上高+9.1% 営業利益+49.1%

(今後の見通し)経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響は長引くことが想定されるものの、建設業への影響は限定的と考えられます。国土強靱化政策など引き続き社会資本整備は堅調に推移すると想定され、民間設備投資におきましても長期的には都市圏を中心として需要の回復も見込まれています

大成建設:売上高+10.8% 営業利益△31.0%

(今後の見通し)2021年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の収束時期がいまだ不透明な中、景気回復の時期も見通せず、厳しさが継続すると思われます。建設市場においても、新型コロナウイルス感染症が収束に向かえば、民間設備投資が徐々に回復すると想定されるものの、先行きの不透明感から厳しい競争環境が継続すると思われます

戸田建設:売上高+1.6% 営業利益△14.8%

(今後の見通し)今後の経済情勢については、輸出や雇用を中心に持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルス感染症の動向が予断を許さず、極めて厳しい状況が続くことが見込まれます。建設業界においては、インフラ整備を中心とした公共事業投資が期待される一方、民間設備投資の縮小が懸念されます。また、サプライチェーンの機能低下に伴う資材供給停滞及び感染防止対策の実施等、工事の進捗度及び収益性への影響について留意する必要があります。

鹿島建設:売上高+5.4% 営業利益△18.3%

(今後の見通し)今後の経済動向につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束状況に依るところが大きく、ワクチンの早期普及に期待がかかるものの、不確実性の高い状況が当面継続すると考えています。また、産業構造や人々の生活・行動、価値観の変容など社会・経済の変化のスピードは、感染症の影響により加速していると認識しています。建設市場におきましても、経済の回復に伴って国内外における民間設備投資再開の動きが拡がることを期待しておりますが、感染症拡大前の水準に戻るには一定の期間が必要であり、厳しい競争環境が継続する可能性があると見込んでいます。

前田建設工業:売上高+5.4% 営業利益+0.7%

(今後の見通し)新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止策など、各種政策の効果により、持ち直しの兆しが見られますが、引き続き感染状況を注視し、雇用や所得環境など、社会経済活動に与える影響を十分注意していく必要があります。建設業界においても、関連予算の執行による公共投資底堅い推移が期待され、不透明な部分があるものの、企業の設備投資についても機械投資を中心に持ち直し傾向が期待されており、住宅建設については、当面、横ばいで推移していくものと予想されます

東亜建設工業:売上高+17.5% 営業利益+3.3%

(今後の見通し)国内建設市場におきましては、重要インフラ等の機能・維持を図るための集中的な対策がなされるなど政府建設投資の増加が見込まれております。また、民間建設投資においては、新型コロナウイルスの影響による投資見直しの動きに留意が必要なものの、当社が得意とする物流施設など一部の分野では活発な投資が今後も継続するものと見込まれます。海外建設市場におきましては、新型コロナウイルスの影響が懸念されるものの、引き続き新興国を中心に社会インフラの整備は堅調に進むものと考えられます。

ゼネコン業績:大林組・安藤ハザマ・東洋建設の2021年度の業績予想

本日の日経平均株価は前日比699円安の27,448円です。この数日続落ですが、このまま更に下がったところで保有銘柄の買増しをしたいと思っており、忙しい中でも株価の動きだけは毎日ウォッチしています。

さて、本日も業務多忙のため、昼休みに株価を眺める程度しか出来ず、決算短信を見る時間はゼロで、先ほど帰宅して決算短信のチェックを開始しました。

5月12日に大林組・安藤ハザマ・東洋建設が決算発表をしています。大林組の2021年度業績予想は、売上高 +8.1%、営業利益 △22.9%、経常利益 △23.5%となっています。20210512kessan1.pdf (obayashi.co.jp)

予想の前提は決算短信には記載がなく、決算説明会資料において、「2021年度の売上高は国内建築事業において、前年度と比較し手持ち大型工事が進捗することなどから、前年度比1,431億円増の1兆9,100億円を見込んでおりますが、営業利益は国内建築事業における競争激化による工事利益率の低下により、前年度比281億円減の950億円を見込んでおります。」とあるだけです。

次に安藤ハザマです。https://www.ad-hzm.co.jp/ir/pdf/pre/statement/2021_4.pdf

2021年度の業績予想は、売上高 +5.1%、営業利益 △10.2%、経常利益 △9.7%となっています。理由について短信に書いてあるのですが、良く分かりません。

 最後に東洋建設(海上土木大手)です。2021_03.pdf (toyo-const.co.jp)

2021年度業績予想は、売上高 △1.7%、営業利益 △37.6%、経常利益 △36.9%となっています。予想数値が保守的なのかどうか分かりませんが、見通しが良くないですね。決算短信の記載は次のとおりです。

建設産業におきましては、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により公共建設投資は堅調に推移すると見込まれるものの、新型コロナウイルス感染症の影響による企業収益の落ち込みや先行きの不透明感等から、民間設備投資の抑制が続くことが懸念されます。このような状況の中、当社グループは、中期経営計画“Being a resilient company”の2年目となる2021年度をレジリエント企業への変貌を加速させる年と位置付けております。カーボンニュートラルへの対応などの環境変化を認識し、洋上風力発電施設の建設事業といった将来に向けての新たな成長戦略を推進し、基幹3事業である国内土木、国内建築、海外建設各事業における重点施策を力強く実行するとともに、グループ力を最大限に発揮し、計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。

ポイントは太字でハイライトした箇所かと思います。

ゼネコン業績:西松建設・五洋建設の2021年度の業績予想

昨日の日経新聞でインベストメントチェーン特集が3ページにわたり記載されており、「物言う機関投資家」、「ESGの視点」など分かり易く簡潔に解説がありましたので、まだご覧になっていない方は、さっと目を通されるとよいかと思います。

5月11日に西松・五洋建設が決算発表をしており、各社、2021年度業績予想を開示しています。まず、西松建設は次のURLのとおりです。https://www.nishimatsu.co.jp/assets/upload/ir_news/1620709841_026888300.pdf

2020年度が売上高は前年比△14.1%、営業利益△17.2%、経常利益△16.6%となっています。2021年度予想は、売上高+0.2%、営業利益+0.2%、経常利益△1.7%で、今後の見通しについて次のとおり記載されています。

国内経済の今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの普及や各種政策の効果等により持ち直しの動きが続くことが期待されますが、国内外の感染拡大による下振れリスクもあり、不確実性の高い状況が続くものと予想されます。土木分野の見通しにつきましては、政府建設投資は、「防災・減災」「国土強靭化」の対策が進められることから、当連結会計年度と比べ、横ばいまたは微増での推移が予想されます。また、インフラの老朽化対策のため、リニューアル市場は堅調に伸長することが見込まれます。民間建設投資については、新規設備投資は伸び悩むものの、既存施設の維持更新工事は増加が見込まれます。建築分野の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症等の影響により、民間建設投資は当連結会計年度と比べ、減少が予想されるものの、EC市場の拡大による物流施設の需要の継続または増加など、一部の市場では底堅い需要が見込まれます。

次に五洋建設ですが、次のとおりで、2020年度は売上高は前年比△17.9%、営業利益△8.1%、経常利益△6.1%となっています。また、2021年度予想は、売上高+4.2%、営業利益△4.8%、経常利益△6.7%です。

http://www.penta-ocean.co.jp/ir/data/account/033/pdf/20210511.pdf

今後の見通しは、次のような記載になっています。

2021年度の国内外経済の見通しにつきましては、新型コロナウィルス感染症再拡大の影響により、当面先行き不透明な状況が続くものとみられます。2021年度の国内建設市場につきましては、公共投資は、防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策(2021年~2025年度)等により高水準で推移するものと見込まれます。民間建設投資も、ポストコロナ、カーボンニュートラル実現等に向けて回復が見込まれます

昨日12日には大林組、安藤ハザマ、鹿島などが決算発表をしているはずですが、業務が多忙で全く見れておりませんので、夜、時間があれば、書きたいと思います。

 

アクティビスト保有銘柄はやはりかなりお薦め ー西松建設が年80円増配

本日の日経新聞西松建設が年80円増配との記事がありました。昨日は西松建設の決算発表で、私は見る時間がなかったのですが、2019年度、2020年度ともに年間配当105円でしたが、2021年度は185円とするようです。利益配分に関する基本方針等について次のような記載になっています。

当社は、2018年度から2020年度までの3ヵ年につきましては、「中期経営計画2020」に基づき、連結配当性向30%以上かつ1株当たり配当金100円以上を利益還元する計画としております。当期の剰余金の配当につきましては、この計画に基づき、1株当たり配当金105円とする予定です。2021年度から2023年度までの3ヵ年につきましては、本日公表しました「中期経営計画2023」において、健全な財務体質を維持しつつ、資本効率の高い成長投資により企業価値向上を目指し、骨太な株主還元を実施することを基本方針といたしました。
<中期経営計画2023における株主還元方針>
● 連結配当性向 :継続的に70%以上
● 自己株式の取得 :2021年度から2023年度の3年間で200億円以上
次期の剰余金の配当につきましては、この計画に基づき、1株当たり配当金185円(うち中間配当90円)を予定しております。

自己株式の取得も今後3年間で200億円以上の実施のようです。

では、何故このような方針を打ち出したかというとそれはアクティビストの存在です。西松建設は旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが約20%ほど保有しています。シティインデックスの存在が増配の背景です。シティインデックスは日本アジアグループの株式も保有しており、同社は300円の配当決議をしたことは記憶に新しいところです。いずれにせよ、アクティビストの保有銘柄は今後、大幅な増配が期待できるのでかなりお薦めということですね。

買収防衛策の有効期間満了前の廃止 ー 稲畑産業が22年6月の前に廃止決定

本日の日経平均株価終値は前日比909円安の28,608円と結構大きく下げ、私の保有銘柄も軒並み大きく下げました。本来であれば、この下げ局面で買い増しをすべきですが、本日は仕事が忙しく、昼休みに買い注文を出す余裕が全くありませんでした。先日、アマゾンで注文した米投資家のブーン・ピケンズが1987年に書いた「ブーン わが企業買収哲学」(早川書房)が本日届きましたので、週末に読み進めたいと思います。

本題ですが、本年の定時株主総会終結の時をもって買収防衛策の更新期限が到来する企業の中で廃止を決定する企業が増えていますが、本日は稲畑産業時価総額:約1,000億円)が買収防衛策の廃止を公表しました。興味深いのは、この会社の買収防衛策は2022年7月末までが有効期間なのですが、本日時点をもって廃止することを決めたようです。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8098/tdnet/1963462/00.pdf

買収防衛策を廃止する企業のほとんど全てが更新期限の到来に伴い廃止しているのですが、稲畑産業は1年以上の有効期限を残して廃止しました。こういう企業もいずれ出てくるかなと思い、昨年のこの時期も廃止企業のプレスリリースを時々見ていたのですが、昨年は目にしませんでしたが、とうとう出てきたかという感じです。廃止の理由として、プレスリリースに次の記述があります。

更に、新しい中期経営計画NC2023のスタートに伴い、当社を取り巻く経営環境の変化や買収防衛策に関する近時の動向、そして何より国内外の株主及び投資家の皆様のご意見を考慮し、本対応方針の在り方について慎重に検討した結果、株主共同の利益確保における本対応方針の必要性が相対的に低下したものと判断し、本対応方針の有効期限を待たずに、本日をもって廃止することといたしました。なお、当社は、本対応方針の廃止後において、当社株式に対して大規模買付行為が行われた場合には、当該行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための十分な情報及び検討のための時間を確保するよう努めるなど、金融商品取引法会社法等の関係諸法令の許容する範囲内において、適切な処置を講じてまいります。

太字の箇所は私がハイライトしたのですが、ここが廃止の理由の肝です。つまり、機関投資家の買収防衛策に対する批判的意見が非常に高くなっています。機関投資家と対話をしている企業はご存じですが、「買収防衛策は廃止しないのか?」「どういう条件になったら廃止するのか?」という質問が多くの機関投資家から出ます。知り合いの複数の機関投資家の方と話をしたところ、買収防衛策を有する企業と対話をする場合には、必ず聞くようにしているということでした。このような状況なので、買収防衛策はESGの中の「G」の評価にネガティブ影響を及ぼす可能性もあり得ます。もっとも今のところ買収防衛策があるため、投資を引き上げたという話は聞いたことはありませんが、近い将来、そういう話に発展する可能性もゼロではないと言えます。

買収防衛策は経営陣の保身のためではなく、十分な情報と時間を確保するためのものであるというのは機関投資家も百も承知ですが、それでも「廃止せよ」というのは、機関投資家にお金の運用を委託しているアセットオーナーからの廃止の声が強いからです。

株式の持ち合いの解消が進む中、敵対的買収も増え、これに賛同する伝統的な機関投資家が確実に増えており、買収防衛策の必要性も従来と比較して格段に高まっているのは事実です。しかし、その一方、実際に上場企業3,700社の中、買収防衛策を有する企業は1割もいないという事実があります。また、機関投資家は企業の重要なステークホルダーであるところ、買収防衛策に反対する機関投資家の声を全く無視することも出来ないという事実もあります

こういう環境下で企業としてどう判断すべきかは非常に悩しいところかと思います。TOBルールの不十分なところもあります。従い、法改正であったり、有事導入型の買収防衛策について、そろそろ経済産業省法務省あたりが検討を開始してくれると本当はよいのですが、そういう流れにはまだ向かわないのでしょうか?

ゼネコン業績:清水建設の2021年度の業績予想 ー 売上高+6.4%、営業利益△23.6%

3月期決算企業の通期決算発表が今週から相次ぎます。ゼネコンの業績については、ある理由から注視をしているところですが、昨日、清水建設が通期決算を公表しました。

https://pdf.irpocket.com/C1803/eq9A/G98U/o0xB.pdf

2020年度の業績は、前年比で売上高が△14.2%、営業利益が△25.2%、経常利益が△23.6%となっています。今後の株価に影響を及ぼす2021年度の業績予想については、売上高は+6.4%、営業利益△23.6%、経常利益△27.0%となっています。理由としては、決算短信では次のとおり記載されています。

2021年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じる中で持ち直していくことが期待されますが、感染症流行の長期化による海外経済の下振れリスクや金融・資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。建設業界においては、公共投資は堅調な推移が見込まれ、民間建設投資では企業収益の改善を受けた設備投資の持ち直しが期待されますが、感染症の収束時期の不確実性が企業活動に与える影響については留意が必要です。

ファンダメンタルズは堅調であるようです。今週のゼネコン各社の決算発表は次のとおりです。各社の決算内容については、簡単にブログで記載する予定です。

5月11日:西松建設五洋建設、5月12日:大林組・安藤ハザマ・鹿島・東洋建設(海上土木の大手)・長大 5月13日:若築建設 5月14日:東亜建設工業海上土木)・大成建設戸田建設前田建設工業

あと、ゼネコンと言えば政策保有株式ですね。ゼネコンは潤沢な政策保有株式を有するため、アクティビストに遊ばれている業界とも言えます。政策保有株式は有価証券報告書で開示されますので、6月下旬に有価証券報告書が開示された時点で各社の縮減状況について、詳細な分析をしたいと思います。ゼネコンの政策保有株式については、以前に次の記事を書いておりますので、ご参考までに掲載します。

1980年代の米投資家ブーン・ピケンズと小糸製作所の攻防

先日のブログで「1980年代のブーン・ピケンズ による小糸製作所の買収の件も今の時代に起こっていたら、ブーン・ピケンズに賛同する株主も大勢いたかも知れません」と記載しましたが、本日はこのブーン・ピケンズ氏による小糸製作所株の買占めの攻防の件を簡単に説明します(20代、30代の方に馴染みがないかも知れません)。2年近く前にもブログで一度紹介しましたが、文章内容を加筆等をして再掲します。

ブーンピケンズ(2019年11月に91歳で死去)は、1989年から1991年 にかけて、小糸製作所筆頭株主として、自らの推薦する役員選任などを提案し経営介入を試みるなど攻防をした人物で、グリーンメーラーと呼ばれています。小糸株式買占めの真意は、小糸株のトヨタ自動車による高額での買い取りであったと言われています。私が大学時代に会社法の勉強をしていた当時に会社法の本でも事例として掲載されていました。経緯は次のとおりです。

  •  1988年2月に麻布建物から、同社が小糸の株式を大量に保有しており、当時の株価2,000円を大幅に上回る高値での買取を小糸に要請し、同年5月には、麻布建物の渡辺喜太郎社長が「小糸が株式を引き取らないのであれば、トヨタ自動車に買うように言ってほしい旨」を小糸に打診し、小糸は拒否
  • 1989年3月末にブーン社が小糸の3,240万の名義書換を申請し、20.2%の株式を取得。同年4月に小糸にブーン社の代表であるブーンピケンズは、以下を要求 : ①小糸株式を20%保有しているトヨタと同じようにブーンサイドから3名を小糸の取締役に選任すべき ②筆頭株主として配当の増額を要求する ③日本の自動車メーカーは系列取引を改めるべき ④小糸の詳しい財務・会計データを入手したい
  • 小糸は日本で最大手の法律事務所である西村あさひ法律事務所をリーガルアドバイザーとして起用
  • 1989年6月に小糸の定時株主総会が開催。3時間17分に及んだが、ピケンズの提案する取締役3名の選任は否決。その後、ピケンズは1990年3月に26.4%の株式保有に至り、小糸は4月に特別配当として1株2年増配し、年10円とすることを公表、その後、6月の小糸の定時株主総会で株主提案を巡る攻防があったが、ブーン社の提案は否決
  • 1991年4月に米ワシントンポストに「オーケー・トヨタ、オーケー・コイト。私はあきらめる」というピケンズの徹底宣言が出された。1991年の定時株主総会にはピケンズは出席せず、終結

この攻防の中で、1990年12月に金融商品取引法が改正され、「5%ルール」が施行されました。これまでは、5%ルールがなかったのでブーン・ピケンズによる株式取得が外からは分からなかったのが問題とされ、5%ルールが制定されたようです。当時は、ピケンズの提案は黒船来航としてオールジャパンで対抗したのかも知れませんが、同じような提案は、当時から20年が経過した現在であれば、ピケンズの提案は通ったかも知れません。小糸への提案で、系列取引の是正を求めている点などは、今で言う政策保有株式の縮減のことです。

古いですが、1987年12月に「ブーンーわが企業買収哲学」という書籍が出ているようですので、アマゾンで購入して読んでみたいと思います。

京阪ホールディングス(9045)が買収防衛策を非継続 ー 独立社外取締役が過半数いない企業は継続は厳しいのが現状

京阪ホールディング(株式時価総額約4,000億円)の買収防衛策が本年の定時株主総会終結の時をもって更新期限を迎えますが、京阪ホールディングは5月7日に廃止することを公表しました。

https://www.keihan-holdings.co.jp/ir/upload/2021-05-07_bouei.pdf

同社の昨年の有価証券報告書で株主構成を見ますと、外国人が16%、金融機関29%となっています。金融機関の内訳は、都銀・地銀、国内機関投資家等に分かれるところ、その詳細は開示されておりませんが、大株主10位にあるのは、三井住友銀行2%、三菱UFJ銀行1%だけですので、国内機関投資家保有比率は20%以上はあるのだと想像します。

京阪ホールディングスの社外取締役比率は過半数ではないので、仮に本年継続更新するとした場合、かなりの数の機関投資家が反対することになるのだと思います。国内機関投資家が買収防衛策に賛成するための形式要件として、社外取締役比率過半数としているところが最近とても多いです。京阪ホールディングスの2021年3月末の株主構成は分かりませんが、仮に昨年と同じ手程度と想定した場合、継続更新した場合、株主総会で50%を少し超える程度の賛成を得られるかも知れませんが、微妙なラインかと思います。

なお、買収防衛策議案に対して機関投資家が賛同するポイントは前に次の記事で紹介させ頂きました。

ところで、京阪ホールディングスのプレスリリースの中で、次の記述が興味深いです。

当社は、社内に常設組織として「コーポレート・コミュニケーション委員会」を設け機関投資家の皆様との日常的な対話を促進する一方、当社株式の大量買付行為をおこなおうとする者に対しては、その是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間の確保に努めるなど、金融商品取引法会社法、およびその他関係法令の許容する範囲内において適切な措置を講じ、引き続き当社の企業価値・株主の皆様の共同の利益の確保に努めてまいります。

買収防衛策は廃止するが、コーポレート・コミュニケーション委員会という組織を設けて、そこで買収防衛にかかる方策などを議論するようです。最近は、サステナビリティ委員会というようなESGを社内横断的に議論する委員会を設置する会社も増えているように聞いていますので、それも視野に入れた委員会の位置付けなのかも知れません。

買収防衛策は機関投資家の賛同を得るのが難しいので廃止はするが、その一方で、敵対的買収リスクや数パーセントの株式を取得して会社に物申す株主は確実に増加していることから、やむなく買収防衛策を廃止する企業はこのような委員会を設置して、今後も継続的に買収防衛策の施策を議論していくことが大事になるのだと思います。

ブログにお問い合わせフォームを設置しました

本日は諸々の情報整理や読書をしていますが、3ヵ月ほど前に購入して書棚に放置したままになっていた「絶対に挫折しない日本」(新潮新書)を読みはじめました。これが意外に面白いです。これまで自分の視野というか得意分野が狭かったので、人生を豊かに過ごすには、歴史、美術、音楽など多方面の知識とその分野を趣味にする方との交流をしていく必要があると今回のゴールデンウィーク期間中に思い至り、最初に歴史を勉強するとっかかりとしてこの本を読みはじめたのですが、歴史は高校時代に受験勉強して以来という方にもお薦めの本です。

このはてなブログを書きはじめて数年経過するのですが、今だ完全には使いこなせておらず、本日はネットで調べて「はてなブログの使い方」を結構時間をかけて勉強し、本日、はてなブログの利用開始以来はじめて、ブログにお問い合わせフォームを設置してみました。

ブログのトップページのプロフィールの下に「お問い合わせ」の欄を設けました。ブログをご覧になって気になった点、疑問点、また、こんなことをしたいなどのアイディアなど気付きやご提案など何でも結構ですので、何かありましたら、お問い合わせの欄からお気軽にご質問、ご連絡などを頂ければと思います(お問い合わせのフォームには、名前の記入欄もあるのですが、名前は仮名などでも結構です)。

明日は、2つの会社の2020年度通期決算説明会の動画を朝から聞いてメモの作成、国内外のマクロ経済指標のまとめなどを朝に済ませ、その後にESGの中のSの「人権」の知識習得に時間を費やす予定ですが、気になる情報等があれば、明日も引き続き記事を掲載したいと思います。

EUが外資規制を強化する方向 ー 中国政府からの補助金を受けた国営企業による買収を念頭に

昨日は仕事上、株主提案の動向を調べていたこともあり、株主提案関係の記事を2、3書きましたが、この1、2年で日本の事業会社による株主提案であったり、敵対的買収が確実に増えているなとつくづく思います。10年以上前、私は証券会社に勤務しており、当時は顧客企業に対して、買収防衛策などの企業買収防衛策の提案をする仕事もしており、当時も敵対的買収の事例もありましたが、極めて珍しいケースとして報道されていましたが、ここ最近は件数が増えているほか、世間の風当たりもほぼないに等しく、時代の変化を感じます。

古い話ですが、1980年代のブーン・ピケンズによる小糸製作所の買収の件も今の時代に起こっていたら、ブーン・ピケンズに賛同する株主も大勢いたかも知れません。上場企業としては、最近の資本市場の動きに細心の注意を払い、機関投資家に評価してもらえるコーポレートガバナンス(EとSとG)を整備することが敵対的買収、株主提案への一番重要な対抗策と考えます。

さて、本題ですが5月7日の日経新聞の記事によれば、EUの欧州委員会外資規制を強化する規制案を公表したようです。 外国政府から補助金などの支援を受けた企業がEU域内の企業を買収する際に通知を求める規制案のようで、中国を念頭に置いているようです。中国政府からの補助金を後ろ盾に中国の国営企業がEU企業を買収するケースがあり、これが規制の背景かと思います。

新聞報道によりますと、規制案は、外国政府から一定額以上の補助金を得た企業が、EU内での売上高が5億ユーロ(約660億円)以上の企業を買収する場合は欧州委への事前通知の義務を課し、2億5千万ユーロ以上の公共調達に参加する場合も同様ということです。買収の阻止も可能のようです。

先日は英国の外資規制も次のとおり強化されました。日本の外資規制は昨年改正されましたが、欧州の動きなども踏まえ、近い将来、規制強化の検討の議論が始まる可能性があるかも知れません。