昨日は仕事上、株主提案の動向を調べていたこともあり、株主提案関係の記事を2、3書きましたが、この1、2年で日本の事業会社による株主提案であったり、敵対的買収が確実に増えているなとつくづく思います。10年以上前、私は証券会社に勤務しており、当時は顧客企業に対して、買収防衛策などの企業買収防衛策の提案をする仕事もしており、当時も敵対的買収の事例もありましたが、極めて珍しいケースとして報道されていましたが、ここ最近は件数が増えているほか、世間の風当たりもほぼないに等しく、時代の変化を感じます。
古い話ですが、1980年代のブーン・ピケンズによる小糸製作所の買収の件も今の時代に起こっていたら、ブーン・ピケンズに賛同する株主も大勢いたかも知れません。上場企業としては、最近の資本市場の動きに細心の注意を払い、機関投資家に評価してもらえるコーポレートガバナンス(EとSとG)を整備することが敵対的買収、株主提案への一番重要な対抗策と考えます。
さて、本題ですが5月7日の日経新聞の記事によれば、EUの欧州委員会が外資規制を強化する規制案を公表したようです。 外国政府から補助金などの支援を受けた企業がEU域内の企業を買収する際に通知を求める規制案のようで、中国を念頭に置いているようです。中国政府からの補助金を後ろ盾に中国の国営企業がEU企業を買収するケースがあり、これが規制の背景かと思います。
新聞報道によりますと、規制案は、外国政府から一定額以上の補助金を得た企業が、EU内での売上高が5億ユーロ(約660億円)以上の企業を買収する場合は欧州委への事前通知の義務を課し、2億5千万ユーロ以上の公共調達に参加する場合も同様ということです。買収の阻止も可能のようです。
先日は英国の外資規制も次のとおり強化されました。日本の外資規制は昨年改正されましたが、欧州の動きなども踏まえ、近い将来、規制強化の検討の議論が始まる可能性があるかも知れません。