中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

【株式投資】10月の建設受注 ー 日本建設業連合会

少し前になりますが、日本建設業連合会(総合建設業者で構成される業界団体)が2021年10月の建設受注統計(法人会員95社)を次のとおり公表しています。

https://www.nikkenren.com/news/pdf/newsletter/163/2021_1129.pdf

10月は前年同月比で+4.7%で、2021年4ー10月の受注額は72.4千億円です。4ー10月の過去受注額(千億円)は2016年:82.8、2017年:81.3、2018年:77.2、2019年:71.0、2020年:64.7となっており、2019年、2020年より好調です。 

戸田建設のFY21.2Q決算説明会資料に建設投資額の推移が掲載されていますが、2020年:60.9兆円、2021年:62.7兆円、2022年:61.9兆円となっています。

【株式投資】リニア新幹線、北海道新幹線の完成予定

本日は自家用車をディーラーに預けて、はじめてディーラーで代車(オリックスのレンタカー)を借りました。近所の家の業者の工事のセメントの粉末が我が家の車に付着し、業者が保険で負担するということになり、塗装に10日ほどかかるのでディーラーで代車を受け取りました。レンタカーもこの10年以上使用したこともなかったのですが、同じ車種とは言え、自分の車でないと運転に違和感があるなと感じました。

さて、本日は四季報の読み込みと株式投資関連の情報収集をしていますが、そう言えば「リニア新幹線の状況ってどうなのかな?」と思い、投資先銘柄のジオスター(5282)の決算説明会資料を見たところ、次のとおりリニア新幹線の今後のスケジュールが記載されていました。北海道新幹線も。

https://www.geostr.co.jp/news/up_img/pdf_1638260906-377589_1.pdf

企業の決算説明会資料(2Qと期末(4Q))は色々と周辺情報が記載されており、ある意味、宝の宝庫とも言えます。

ジオスターは株価350円程度のボロ株ですが、日本製鉄の子会社のため日本製鉄がTOB上場廃止をすることを期待して2年ほど保有しているのですが、そのような様子もうかがえず、であれば、しょうもない銘柄ですのでさっさと売却をしようかと考えています。けど、今の株価で売却すると売却損が出るので、もう少し様子を見ようか思案中です。

【株式投資】アクティビスト保有の上場子会社銘柄はやはり狙い目

商船三井が子会社であるダイビル(8806)にTOBを実施しています。次のプレスリリースのとおり、TOB価格は2200円のようです。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03619/01707253/4901/4e0e/b48a/68ea4e627681/140120211130444248.pdf

12月9日の日経新聞によれば、ダイビルの株式を0.74%保有する海外の投資ファンドTOB価格が低いとしてTOB価格の引き上げを求めているようです。3000円以上が適正価格とのことです。11月30日にTOBを公表した翌日の株価は1700円まで上昇しましたが、その後、更に株価は上昇し2200円です。やはりアクティビストの保有する銘柄は狙い目ですね。

私は対象企業の財務状況と事業内容をそれなりに分析して割安株に投資することを自分の株式投資の方針としていますが、来年は、上場子会社でアクティビストが保有する銘柄を洗い出し、TOB&アクティビストが物申すことを期待して投資するコバンザメ投資をして行こうかなと思案中です。上場廃止のインサイダー情報などが本当は欲しいところです。

【株式投資】「地熱シンポジウム in 会津若松」が開催されます

先日の日経新聞地熱発電「次世代型」が動くということで大成建設の取り組み技術の記事が掲載されていました。

地熱発電「次世代型」動く 大成建設やカナダ新興が開発: 日本経済新聞

地熱発電は再生可能性エネルギーの1つです。日本では地熱発電の資源は多いのですが、発電に係るコストや温泉等の環境の絡みもあって、再生可能エネルギーに占める比率は非常に小さいところです。風力発電に比べて天候に左右されない等の利点も多いのですが、今のところはマイナーな存在になっています。

そのような中、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構JOGMEC)が明日、「地熱シンポジウム in 会津若松」を開催します。基調講演の資料は次からダウンロードできます。

www.chinetsu-sympo2021.jp

私は長期でのファンダメンタル投資として、再生可能エネルギーでは原子力と地熱に投資をしており、今後、10年~20年の期間での成長を期待しているところです。地熱発電については過去にもブログで記事を書いていますので、最後に再掲いたします。明日のシンポジウムでは面白い話があれば、後日、ブログでも掲載したいと思います。

【株式投資】トヨタが12月の生産計画を公表 ー 80万台規模にとどまる

トヨタ自動車は先日の決算発表で2021年度の通期業績予想の売上高を変えず、自動車生産台数は900万台としているところですが、13日に、12月の生産台数の下方修正を次のとおり公表しました。

12月 生産計画について(11/12時点) | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

年間900万台の達成には、12月には100万台程度、1月~3月には毎月85万台程度の生産が必要になると少し前の11月5日の日経新聞記事に書かれていましたが、12月の段階でつまづいたようです。新聞報道によれば、計画達成には1~3月に過去最高水準の月産90万台が必要になる模様です。

半導体不足の影響は年明けから回復するとは言われていますが、本格回復は春以降であろうというような一部報道もあり、トヨタ自動車の今後の生産動向は注視が必要です。外国人労働者を中心に人手不足も原因の1つです。自動車大手で確保できても、サプライチェーンでの、特に中小の部品メーカーでの人手が完全に不足していることが完成車の生産にマイナス影響を与えているところかと思います。

国土強靭化のための5ヵ年加速化対策

最近、株式投資関係の記事の掲載をしていませんが、久しぶりに株式投資関係の情報をごく簡単に掲載します。

少し古いですが、ファンダメンタル投資をされている方はご存じかも知れませんが、2020年12月11日に国土交通省が「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を閣議決定しています。

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001412022.pdf

この資料は分かりやすく、今後5年間で追加的に必要となる事業規模は、政府全体ではおおむね15兆円程度、このうち国土交通省では、おおむね9.4兆円程度を目途として、所管分野を対象に、重点的・集中的に53の対策を講じるとなっています。「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策」は12対策で、2.7兆円で、次の内容が記載されています。

【河川・ダム・下水道・砂防・海岸の老朽化対策】現時点で対応が遅れている老朽化施設等の修繕対策を集中的に対応し、コスト縮減につながる投資的取組を推進 【道路施設の老朽化対策】定期点検等により確認された修繕が必要な橋梁・トンネル・道路付属物・舗装等の対策を集中的に実施 都市公園の老朽化対策】予防保全型管理へ移行を図るため、インフラ長寿命化計画に基づく老朽化対策を実施 【老朽化した公営住宅の建替による防災・減災対策】特に老朽化した高経年の公営住宅の建替を重点的に支援 【港湾における老朽化対策】予防保全型維持管理の実現に向けた老朽化対策を推進 【予防保全に基づいた鉄道施設の老朽化対策】耐用年数を超えて使用している又は老朽化が認められる鉄道施設の長寿命化に資する補強・改良を実施 【空港の老朽化対策】老朽化が進んでいる施設について効率的かつ効果的な更新・改良を引き続き実施 【航路標識の老朽化等対策】航路標識の老朽化による倒壊、損壊等を防止するため、長寿命化のための整備を着実に実施 

コロナ禍の中で国土強靭化の新聞報道も暫くみませんでしたが、コロナの収束とともに国土強靭化の施策も進むことと思います。「国策に売りなし」との観点から重要な投資テーマかと思います。

第2四半期決算短信の読み方 ー 個人投資家のファンダメンタル投資の視点から

最近、アクティビスト、買収防衛策、コーポレートガバナンス関係の記事が続いていますが、本日は話題を大きく変えて、株式投資をする上での決算短信の読み方のポイントを記載します。機関投資家の方にはあまりにも初歩的過ぎることですが、個人投資家の方に参考になればと思います。

3月期決算企業は、第1四半期(1Q)発表も終わり、あと1~2ヵ月で第2四半期決算の発表がはじまり、第2四半期決算短信が開示されますが、個人投資家にとって読むべきポイントはどこかといいますと、大きくは2点かなと思います。

1点目は4-6月(1Q)、7-9月(2Q)の3ヵ月に分けての損益の分析です。四半期決算短信は累計の業績が開示されます。つまり、第2四半期決算短信であれば、損益は4-9月の6ヵ月の累計の損益(売上高、営業利益、経常利益など)です。この6ヵ月の数値で前年同期比で伸び率を見る方が多いかと思いますが、これは不十分で7-9月の3ヵ月の数値を見る必要があるかなと思います。

やり方は単純で第2四半期決算短信の累計数値から、第1四半期決算短信の数値を引き算をすればよいのです。これにより7-9月の3ヵ月の数値を出し、同様に前年の3ヵ月の数値も算出し伸び率を比較するのです。これにより、前年比較だけでなく、直近の四半期からの数値の変動を把握できます。企業によっては決算短信の最後のページに細かい数値を記載している場合もあるので、それを利用してもよいかと思います。

2つ目が今期の業績予想値から見た数値の進捗率の把握です。決算短信の最初のページの下のところに今期の業績予想が掲載されています。売上高、営業利益、経常利益などの数値です。企業が通期見通しを上方修正又は下方修正することで株価は大きく変動するかと思いますが、それに先立ち、四半期毎の進捗を計算して把握します。

つまり、1Qの3ヵ月の進捗率、6ヵ月の進捗率、9ヵ月の進捗率です。ただし、単年度の数値の進捗率を見てもあまり意味はありません。例えば、下期で利益が増える企業もあり、また、そうでない企業などもあるので、過去の進捗率と照らし合わせることが必要かと思います。

以上、個人投資家にとっては、四半期の3ヵ月毎の数値の分析と進捗率の分析が四半期決算短信を見る時のポイントですが、期間としては面倒ですが、過去10年分の数値をエクセルで四半期毎に纏めて分析することが望ましいと思います。そうすることで、その企業の伸び率も細かく分かるほか、進捗率のクセも分かります。それ以上に重要なのは、株主総会で議長に的確な質問をできますし、IR部門に問い合わせをする際にも鋭い質問が出来るかと思います。

私の場合、投資先が中小型銘柄のため、個人投資家向けの説明会を開催していないところがほとんどですので、遠慮なく投資先企業のIR部門にメール等で時々質問をすることもありますが(多分「面倒な奴」と思われているのかも知れませんが、失礼のないような丁寧な質問とすることは常に心がけています)、企業の担当者よりも深い分析をするなど「用意周到」「準備万端」が大事かなと思います。

地熱発電の増加に向けて本格調査を開始 ー 地熱関連銘柄に期待

本日は今週はじめてのテレワークです。オフィスは今週もほとんど人がおらず、毎日が休日出勤しているかのような人の少なさで、かえってオフィスの方が集中して業務に取り組むことができます。本日は何もなければ、18時前には仕事を終え、近所のプールで1時間ほど泳ぐ予定です。

さて、本日は株式投資関連のネタを1つ。昨日の日経新聞で次のように地熱発電に関する記事が掲載されていました。

経済産業省地熱発電所を増やすため、国立公園内などに適地を見つける調査を本格化するようです。再生エネの中で、地熱はCO2を出さない、日本は世界で第3位の地熱資源量を有するなど、本来地熱発電 は期待されるべきエネルギーです。しかし、開発リードタイムが長いほか、国立公園など開発の難易度が高く、環境庁はじめ関係省庁との折衝などが必要になることもあり、なかなか進んでいないのが現状です。

2030年度の日本のエネルギーに占める地熱発電の比率はわずか1%ですが、風力発電の実現可能性も雲行きはかなり怪しいところかと思いますので、地熱発電は調査の結果次第では比率が増える可能性もあるかと思います。

関連銘柄はアストマックス(7162)、鉱研工業(6297)、東亜建設工業(1885)、富士電機(6504)、古河機械金属(5715)あたりでしょうか。ところで、四季報オンラインで各銘柄のニュースを見ていたところ、東亜建設工業は旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが8月19日に大量保有報告書を出しており、共同保有者との保有割合合計は8.28%となっています。

少子化の中で今後期待されるペット関連市場

夏期休暇も終わり、今週から仕事を開始していますが、休暇明け早々多忙で、定期的なブログの更新がなかなか出来ておりません(代わりに7月中旬からはじめたツイッターには時々ツイートしています)。アウトプットが中心の仕事で多忙な場合、どうしてもテレワークをする気にも慣れず、毎日出社していますが、オフィスには数名しか人がおらず、休日出勤していると勘違いするほど静かですので、家よりオフィスで仕事をした方がはるかに効率的と感じています。唯一、スーツを着なければならないのが面倒なのですが。

さて、先日、テレビ東京のモーニングサテライトで農林中金バリューインベストメンツの奥野一成氏がコメンテーターとして出演しており、その中でペット市場について話をしていたので、保有銘柄でペット市場と間接的に関連する銘柄もあり、気になり少し調べてみました。

グーグルで検索したところ、「矢野経済研究所が2020年2月に発表した2019年度のペット関連総市場規模は、前年比+1.7%増の1兆5700億円の見込み」とのデータがありました。普通に考えても、未婚であったり、既婚ではあるものの子供のいない夫婦が増加していることを考えると、関心の対象がイヌやネコなどに向かうのは当然と言えば当然かと思います

一般社団法人ペットフード協会というのがあるようでこの協会が公表している「令和2年 全国犬猫飼育実態調査」に主要として次のデータが公表されています。

https://petfood.or.jp/data/chart2020/index.html

全国のイヌの飼育頭数は約8,489千頭、ネコの飼育頭数は約9,644千頭で、犬の飼育頭数は減少が続き、猫は横ばいで、飼育頭数は、2020年も猫の飼育数が犬の飼育数を上回ったというようです。ネコの方が多いようですね。東京都内の場合、大多数の人がマンション、アパートや狭い戸建てに住んでおり、外でイヌを飼うスペースもないため自宅で飼育できるネコの方がお手軽なのでしょう。なかなか面白い資料ですので、明日、オフィスで昼休みにでも読んでみたいと思います。

また、ペット関連銘柄ですが、こちらもグーグルでさっと調べた限りですと、次のような銘柄があるようですね。

ユニチャームを除いて、不勉強のため、はじめて聞くばかりの銘柄ですが、こちらも、明日の昼休みにでも各社のホームページからまずは決算説明会資料を読み、業界の情報収集と分析をしてみたいと思います。

自動車部品サプライヤーのFY21業績予想 ー EV化で需要減が予想される自動車部品関連銘柄

以前に日経新聞でEV化により需要が減る自動車部品として、マフラー、変速機、燃料噴射機、ピストンリング、燃料タンク等があげられていました。鋳物関係銘柄の今後の見通しとの関係で上記製品を扱う自動車部品サプライヤーの動向は注視しているところですが、各社のFY21の1Q決算を踏まえた現時点でのFY21通期見通しを簡単に纏めました。売上高、営業利益、経常利益について、前年度(FY20)からの伸び率になります(IFRS基準の会社は経常利益の科目はないので空欄としています)。

             FY21売上高  / 営業利益  / 経常利益

  • フタバ産業 (7241) + 17.2%  + 43.9%  + 39.4%  
  • アイシン  (7259) + 12.0%  + 51.4%  
  • デンソー  (6902) + 12.2%  +183.7% 
  • 愛三工業  (7283) +  7.5%  +101.8%  +100.5%
  • リケン   (6262) + 13.3%  +108.8%  + 48.0%
  • 日本ピストン(6461) + 12.6%     ー     +658.9%
  • 八千代工業 (7298) △  4.6%  + 15.5%

自動車メーカーの業績好調を背景に各社ともFY21は好調のようです。ただし、長期で見ると自動車のEV化の進展如何では大きく影響を受ける可能性もあるので、定期的に状況は要注視かと思います。

2030年度電源構成 で原発は20%維持 ー ベントナイトは中長期で期待

今更ですが7月1日からツイッターを始めました(ツイッターの利用年代は30代が多いようですね)。フェイスブックは2年ほど前に一度やったのですが、その後やめてしまったのですが、ツイッターは初めてです。ブログとの連携など色々と工夫できるようですが、まだそこまで知識がないので、いずれかのタイミングでブログでツイッターの紹介もさせて頂きたいと思います。

本日の日経新聞1面で2030年度の電源構成案が出ていました。次の内容です。

政府は2030年度の新たな電源構成の原案について、総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を36~38%、原子力を20~22%とする方向で最終調整に入った。再エネの比率を現行目標から10ポイント以上引き上げ、原発比率は維持する。脱炭素電源で6割近くをまかない、温暖化ガス排出量の削減につなげる。経済産業省が21日に開く総合資源エネルギー調査会経産相の諮問機関)の基本政策分科会で、国のエネルギー政策の方向性を記すエネルギー基本計画と電源構成の原案を示す。今の30年度目標は再エネで22~24%、原子力で20~22%、火力で56%となっている。新たな目標の原案では再エネと原発以外に、温暖化ガスを排出しない水素やアンモニアによる発電を1%とし、火力は41%に減らす。

原子力については、消極的な記事が少し前に出ており、また、直近では原子力より太陽光発電の方がコストが安いなどの記事もあり、行方が気になっていましたが、当初の予定通り20%は維持されるようです。原子力がないと脱炭素化の目標達成が困難かと思いますので、当然と言えば、当然であるかとは思います。

原子力の利用となると放射性廃棄物の問題が必ず出てきます。今のところ処分としては地層処分が主かと思いますが、その場合にはベントナイトが使用されます。ベントナイト関連銘柄ではクニミネ工業(5388)があります。フィデリ投信のテンバガーハンターの組入銘柄でもあります。以前に書いた電源構成の記事も再掲いたします。

自動車部品サプライヤーとEV化 ー リケン(6462)の2020年度決算説明資料での開示

ピストンリングで日経向け首位のリケンの2020年度通期決算説明資料(2021年6月15日公表)で内燃機関搭載車のピークアウト等が記載されています。

https://www.riken.co.jp/ir/plan/pdf/setumei_21.pdf

リケンでは、内燃機関搭載車のピークアウトは2030年頃を想定しているということです。また、内燃機関搭載車は2021年には84百万台であるところ、2030年には88百万台と予想しています。

2021年の内燃機関搭載車の比率は95%(ICE:74%、HEV・PHEV:11%)であるところ、2030年には80%(ICE:46%、HEV・PHEV:34%)と低下し、EV・FCVの比率が高まると読んでいますが、今後の動向は注視が必要ということを決算説明会では話をしています。

自動車部品サプライヤーとEV化 ー 日本ピストンリング(6461)の有報(2021年3月期)での開示内容

以前に自動車部品サプライヤーについて次の記事を掲載しました。私の投資先銘柄の中でEV化により影響を受ける可能性のある銘柄があり、中長期での動向を探るべく、まずはEV化でエンジンが不要になったと仮定した場合、大きな影響があると言われている自動車部品サプライヤーの動向を開示資料から分析しています。

この中で、ピストンリングメーカーの日本ピストンリングが昨日、2020年度の有価証券報告書を開示しました。この中に「対処すべき課題」という箇所があり、ここは各企業が今後取り組むべき重要な経営課題について記載する箇所ですが、「エンジンの進化への対応」として次の記載があります。

各自動車メーカーは、燃費効率や環境性能の向上、車体の軽量化を図り、CO2削減をすすめ、地球環境に優しいエンジンへの進化に取り組んでおります。電動化が低炭素社会実現の決め手のように言われる場合がありますが、エンジンもまた、電気自動車のエネルギー源である発電に対し、それを上回るCO2排出量削減の実績を示すことができれば環境負荷低減への有力な手段となるものであり、その大きな目標は達成されつつあるものと認識しております。低炭素社会の実現にエンジンが貢献するためには、エンジンの高熱効率化やクリーン化が必要となります。当グループは、その条件を満たす耐摩耗性、耐久性等に優れた高機能自動車部品を生み出す技術開発をすすめてまいります。また、高精度かつ国際価格競争力のある量産の実現も重要な要素であり、引き続き注力してまいります。加えて、技術提案型営業や開発機能の現地化に取り組んでおり、欧米メーカーや中国ローカルメーカーへの拡販等の成果が現れてきております。今後ともエンジンの深化に貢献し、価格・品質両面で評価を受ける製品の供給に努めてまいります。

太字でハイライトしたようにエンジンでも環境負荷に貢献できるよう取り組みを進めるようですね。

また、有報には「事業等のリスク」の箇所もありますが、そこでは内燃機関搭載車市場の縮小によるリスク」として、次のように記載されています。

今日は、CASEに代表される100年に1度の自動車事業の変革期にあると言われていますが、環境問題やエネルギー問題に対する社会的意識の高まり等から、電気自動車等、内燃機関を使用しない自動車が生産・販売され、その数は増加傾向にあります。電気自動車は、コストや利便性等の面で、まだ課題が多いとも言われておりますが、課題解決へ向けた進展や強い政治的なサポート等により、内燃機関搭載車市場が大きく縮小する程度まで電気自動車等のシェアが伸長する、そしてその時期が早まる可能性があり、その場合には、受注減少を通じて、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性がございます。このような市場の方向性につきましては、シナリオ動向の不確実性に加え、社会的目標は飽くまで環境負荷低減であり、電気自動車の導入は一つの手段であるという見方が本質であると考えることから、現状において経営を全面的に方向転換することは寧ろリスクを拡大する可能性があるものとも考えられます。当グループといたしましては、コア技術を背景とした差別化や顧客との適切な連携により、「顧客に選ばれる製品・サービス」を供給することで、内燃機関環境負荷低減に対し責任を持った対応を行うとともに、総量が例え減少する場合でも優位なシェアを確保して行く方針であります。また、内燃機関関連製品に関する設備投資につきましては、費用対効果を吟味し、適正かつ選別的に行ってまいります。

目的は環境負荷の低減であり、これはEV化ではなく、当面は内燃機関であるエンジン搭載でも目的を達成するという強い意気込みが伺えます。

経済産業省が2018年4月に公表した資料では、エンジン搭載車は2030年は91%で、2040年に84%という予測をしていますが(この点も前に書いた記事を西再掲します)、その後に政府の脱炭素化に向けた方針も大きく転換されたので、今後の動向は注視する必要があります。


エンジン搭載車の今後の割合は? ー 「パワートレイン別長期見通し」より(経産省 自動車新時代戦略会議資料)

自動車部品サプライヤーの自動車のEV化に伴うリスクについて整理をしていますが、昨日までにざっと何社か調べた結果を紹介します。手間をかけずに調べたので、各社の決算説明会資料や昨年度の有価証券報告書からの抜粋です。

リケンの2019年度の有価証券報告書には「内燃機関搭載車のピークアウトは2030年代前半と想定」と記載されています。日本ピストンリングの2019年度の有価証券報告書では、内燃機関搭載車の市場宿縮小のリスクとして「電気自動車は、コスト・利便性の面でまだ課題が多いと言われている。自動車生産台数に占めるシェアは今だに2.1%との調査結果」となっています。TPRの2019年度通期の決算説明会資料には、「2030年頃よりEV化が加速」「2050年でも約8割はエンジン搭載車両」とあります。2019年度時点での各社の考えはこのとおりで、EV化の影響はまだ少し先であるとの見通しの印象を受けます。しかし、これらはいずれも、政府が2035年までに全ての新車販売を電動車とするという方針を打ち出す前のものであることに注意する必要があります。本年6月末に開示される2020年度の各社の有価証券報告書では、EV化の見通し、事業リスクに変化があるかも知れません。

少し古いですが、経済産業省の2018年4月18日の自動車新時代戦略会議(第1回)でIEA公表資料をベースにパワートレイン長期見通が記載されています。それによれば、2030年の電動車比率は32%、エンジン搭載車比率は91%、2040年は電動車比率が51%、エンジン搭載車比率は84%となっています。

エンジン搭載車はガソリン車、グリーンディーゼル車、天然ガス自動車ハイブリッド車プラグインハイブリッド車で構成されていますが、この中で大きな比率を占めるのはガソリン車です。2030年のエンジン搭載車比率91%の内訳を見ると、ガソリン車 51%、グリーンディーゼル車 14%、天然ガス自動車 3%、ハイブリッド車 12%、プラグインハイブリッド車:11%となっています。

2035年にガソリン車の販売がなくなることで、ガソリン車の減少分がPHVの増加となれば、エンジン搭載車のシェアは2030年、2040年でも80%以上を占めることに変わりはないが、もし、EVが増えるとなると、エンジン搭載車のシェアは下がるということです。エンジンが不要になると部品点数が減り、自動車部品サプライヤーの業績にも大きなマイナス影響が出るということです。

ポイントは、自動車メーカーが2030年、2050年に向けてHV(又はPHV)、EVのいずれにリソースを割くかによりますね。ということで、今後は、自動車部品サプライヤーに加えて、自動車メーカーの開示資料も十分に注視したいと思います。

自動車のEV化で不要になる自動車部品 ー 今後の各社の決算を注視するのが一番大事

投資先に自動車用の鋳物の材料関連銘柄があり、自動車のEV化に伴い鋳物がかなり減少するリスクがあり気になっていたので、昨日、あらためてEV化により不要になる自動車部品の情報収集をしました。

大きく分けるとエンジン部品、駆動部品、電装品があると言われています。少し前の日経新聞にEV化で需要が減る部品とその企業名が次のとおり記載されていました。

EV化により車の部品点数が大きく減少しますが、その対象製品が上記の部品ということで、単純に考えると、これらの企業の将来はやばいということになります。

問題は、果たしてEV化はどこまで進むのかですが、私は技術の素人ですので正確なところを語る能力はありませんが、国内自動車メーカーはこれまで培ってきた複雑なハイブリッドを当分の間は維持するように思います。

理由は単純でその開発に莫大な開発費を投じてきており、またEV化のインフラもまだまだ十分とは言えない状況を考えるとこの先も当分は、ハイブリッドで行くように想像します。完全EV車が世界の中心になるには、それなりのハードルがあるのではないかなと素人ながらに感じるところです。

日経新聞の記者はエンジニアでもないのに、「EV化時代が到来」のような論調で記事を結構書いていますが、所詮は素人です。従い、記事を鵜呑みにするのではなく、上記にあげた銘柄の決算や中期経営計画を細かく分析することが大事なのだと思います。ということで、明日からは、先ほどあげた自動車部品サプライヤーのIR情報の分析を早速開始し、注意深く継続して見て行きたいと思います。ブログでも時折紹介します。