中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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エンジン搭載車の今後の割合は? ー 「パワートレイン別長期見通し」より(経産省 自動車新時代戦略会議資料)

自動車部品サプライヤーの自動車のEV化に伴うリスクについて整理をしていますが、昨日までにざっと何社か調べた結果を紹介します。手間をかけずに調べたので、各社の決算説明会資料や昨年度の有価証券報告書からの抜粋です。

リケンの2019年度の有価証券報告書には「内燃機関搭載車のピークアウトは2030年代前半と想定」と記載されています。日本ピストンリングの2019年度の有価証券報告書では、内燃機関搭載車の市場宿縮小のリスクとして「電気自動車は、コスト・利便性の面でまだ課題が多いと言われている。自動車生産台数に占めるシェアは今だに2.1%との調査結果」となっています。TPRの2019年度通期の決算説明会資料には、「2030年頃よりEV化が加速」「2050年でも約8割はエンジン搭載車両」とあります。2019年度時点での各社の考えはこのとおりで、EV化の影響はまだ少し先であるとの見通しの印象を受けます。しかし、これらはいずれも、政府が2035年までに全ての新車販売を電動車とするという方針を打ち出す前のものであることに注意する必要があります。本年6月末に開示される2020年度の各社の有価証券報告書では、EV化の見通し、事業リスクに変化があるかも知れません。

少し古いですが、経済産業省の2018年4月18日の自動車新時代戦略会議(第1回)でIEA公表資料をベースにパワートレイン長期見通が記載されています。それによれば、2030年の電動車比率は32%、エンジン搭載車比率は91%、2040年は電動車比率が51%、エンジン搭載車比率は84%となっています。

エンジン搭載車はガソリン車、グリーンディーゼル車、天然ガス自動車ハイブリッド車プラグインハイブリッド車で構成されていますが、この中で大きな比率を占めるのはガソリン車です。2030年のエンジン搭載車比率91%の内訳を見ると、ガソリン車 51%、グリーンディーゼル車 14%、天然ガス自動車 3%、ハイブリッド車 12%、プラグインハイブリッド車:11%となっています。

2035年にガソリン車の販売がなくなることで、ガソリン車の減少分がPHVの増加となれば、エンジン搭載車のシェアは2030年、2040年でも80%以上を占めることに変わりはないが、もし、EVが増えるとなると、エンジン搭載車のシェアは下がるということです。エンジンが不要になると部品点数が減り、自動車部品サプライヤーの業績にも大きなマイナス影響が出るということです。

ポイントは、自動車メーカーが2030年、2050年に向けてHV(又はPHV)、EVのいずれにリソースを割くかによりますね。ということで、今後は、自動車部品サプライヤーに加えて、自動車メーカーの開示資料も十分に注視したいと思います。