中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

コーポレートガバナンス

上場企業は「東証 第7回企業価値向上表彰」の表彰会社を分析することが必要

今日は休みでこの数日の間の新聞整理と投資先目銘柄のスクリーニングをしています。先日、東証が第7回企業価値向上表彰の表彰会社の決定をいたしました。 大賞受賞は、ダイキン工業で、優秀賞がアサヒグループホールディングス、日本電産、ユニ・チャームと…

機関投資家と上場企業のエンゲージメントの意義と課題

本日は上場企業と機関投資家との対話(エンゲージメント)について書いてみたいと思います。 昨年の12月から本年1月、2月にかけて機関投資家とのエンゲージメントを行う上場企業も多いかと思います。決算発表後にIR部門が個別機関投資家とスモールミーテ…

SEC(米証券取引委員会)が四半期開示の見直し検討を開始

12月8日の日本経済新聞でSEC(米証券取引委員会)の2019年の活動計画が公表されていました。重点活動テーマとして5つほど記事に掲げられていますが、気になったものを2つほどあげます。 1 長期投資の促進 四半期開示義務の見直し是非について意見…

IR優秀企業をその会社の株主はどう見ているのでしょうか?

先日の日本経済新聞に日本IR協議会が2018年度のIR優良企業14社を発表したとの記事がありました。優秀企業大賞はエーザイが受賞しました。 エーザイはIR活動に力を入れている企業で有名です。新聞記事によれば、トップが経営方針や戦略の説明に積極的で…

機関投資家協働対話フォーラムが買収防衛策の必要性に関するレター送付を開始

機関投資家協働対話フォーラムが「資本市場の評価を下げるリスクを踏まえた買収防衛策の必要性」のレターを、2019年に防衛策の更新期限が到来する企業を対象に送付開始(10月10日頃より順次)したとのことです。 機関投資家協働対話フォーラムとは、…

東証が改訂コーポレートガバナンス・コードを公表

6月1日に東証が改訂コーポレートガバナンス・コード(改訂CGコード)を正式に制定・公表しました。 本年6月1日からの適用で、上場企業各社は、準備出来次第速やかに対応し、遅くとも本年12月末まで対応することとされています。3月30日に金融庁が公…

経産省がCGS研究会(第2期)の中間整理について公表

5月18日に経済産業省が、CGS研究会(第2期)の中間整理について公表しました。 経産省は、昨年3月、コーポレートガバナンスの取組みの深化を促す観点から、企業において検討することが有益と考えられる事項を盛り込んだ「コーポレート・ガバナンス・システ…

改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた個人株主のアクティビズムの可能性(3)-2

改訂CGコードと事業ポートフォリオ、資本コストの話題について、ブログで触れる前に先日の5月1日にソレキア株式会社(9867)に対して、個人株主が株主提案をした旨をソレキアが東証に開示していました。 株主提案を行った方がこれまでのように投資ファンド…

改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた個人株主のアクティビズムの可能性(3)-1

前回、改訂CGコードの観点から個人株主によるアクティビズムについて、取締役会の多様性の側面から記載しましたが、4月25日に株式会社フェイス(4295)に対してアールエムビー・ジャパン・オポチュニティー・ファンドから株主提案があり、それについてフェイ…

改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた個人株主のアクティビズムの可能性(2)

今回より、個人株主の株主アクティビズムに関して、改訂コーポレートガバナンス・コード(改訂CGコード)との関係について検討をはじめたいと思います。 まずは、今回の改訂CGコードにおいては、14の原則及び補充原則の修正・新設がされていますが、該当する…

改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた個人株主のアクティビズムの可能性(1)

4月17日に改訂コーポレートガバナンス・コード案(改訂CGコード)に対する経済団体連合会(経団連)の意見が経団連のホームページで公表されました。 改訂CGコードは、4月下旬締め切りでパブリックコメントを募集していますので、これに基づく意見になります…

物言う株主の投資先企業であるGMOインターネットの定時株主総会での熊谷社長のコメントからの気付き

物言う株主であるオアシス・インベストメンツがGMOインターネット株式会社(以下「GMO」)の定時株主総会で株主提案を行い、結果としてGMOでの株主総会では否決されたことは以前にブログで書いていますが、4月6日にGMOのホームページで熊谷社長が総会当日…

各国の上場企業の女性取締役比率

前回、コーポレートガバナンス・コードの改定案が公表されたことを書きましたが、改定案では、取締役会の構成としてジェンダーや国際性も明記されています。 金融庁のホームページから、第14回フォローアップ会議の議事録を見ますと、女性の委員から、ジェン…

政府が女性取締役の「1名以上起用」の企業統治の方針を公表

先日の日本経済新聞で、金融庁は上場企業に女性取取役の起用を促す方針との記事が掲載されました。 金融庁のコーポレートガバナンスのフォローアップ会議のこれまでの議事録を見てきましたが、女性取締役の起用の話は出ていませんでしたので、どこから出た方…

「コーポレートガバナンス改革」の言葉に安易に流されないための視点

先日の日本経済新聞によれば米国の上場企業数が3600社となり、一方、日本の上場企業数は、3700社で米国を上回ったとのことです。 米国では、ピーク時の1990年代には7000社ほどあり、その時に比べて半減したとのことのようです。半減の理由としては、次の2つ…

「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」における政策保有株式の扱い

「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」が開催されており、2月15日に第14回会議が開催されました。 ここ数回の議論では、本年の株主総会シーズンまでに投資家と企業との対話ガイドラインを策定すること、コ…

社外取締役を取締役会議長にする上場企業が増加する傾向

1月18日の日本経済新聞に社外取締役を取締役会議長にする上場企業が増えているとの記事がありました。 JPX日経インデックス400構成企業のうち、社外取締役を議長にしている企業は、14社となり、前年より3%増加したとあります。 まず、社外取締役を議長にす…

米国の議決権行使助言会社であるグラスルイスの取締役会の多様性に関する要求

1月8日付の日本経済新聞で米国の議決権行使助言会社であるISSジャパンの日本法人代表の石田猛行氏とグラスルイスのシニアディレクターである上野直子氏の企業の取締役会の多様性に対するコメント記事が掲載されていました。 議決権行使助言会社とは、株主総…

政府による投資家と企業の対話の重点項目の策定

12月5日の日本経済新聞に政府がまとめた新しい経済政策パッケージの項目が掲載されていました。 人づくり改革、高等教育、生産性革命とのタイトルがありましたが、ガバナンス関係では、企業のコーポレートガバナンス改革に向けた指針や投資家と企業との対話…

伊藤レポート2.0が公表

経産省より10月26日に「伊藤レポート2.0」が公表されました。以前にもブログで書きましたが、2014年に公表された一橋大学教授の伊藤氏のレポート(伊藤レポート)の第2弾になります。 経産省のホームページからレポートの紹介のページを読みますと、要する…

ガバナンス改革-独立取締役の会の提言

10月16日の日本経済新聞で、「独立取締役の会」が独自のガバナンス改革案を纏めたとの記事が掲載されていました。 旭化成、IHI、旭硝子、伊藤忠商事などの大手企業の元経営トップのメンバーを中心に構成される昨年秋に結成された会のようです。主要メンバー…

相談役・顧問の役割開示について東証の新制度設立の動き

8月3日の日経新聞に、2018年から東証に提出する報告書で相談役・顧問の氏名、業務内容、報酬の有無などの開示を促す方針であるとの報道がありました。 相談役・顧問に対する批判は、東芝の例を契機に議論の高まっているところであり、J・フロントリテイリン…

スチュワードシップ・コードとは?

2017年5月29日に金融庁からスチュワードシップ・コードの改訂版が出ました。 2014年2月に金融庁がスチュワードシップ・コードを制定して3年後に改訂を行うということで、今回改訂版が出たことになります。 スチュワードシップという言葉はここ数年新聞等で…

米英投資家による日本企業向けの集団的エンゲージメント活動

6月9日の日本経済新聞で、米国最大の公的年金と英運用3社が日本企業への統治改革への働きかけで共同歩調をとり、社外取締役の数を全体の3分の1以上にすることを要請し、これに応じない企業には、株主総会での役員選任議案に原則反対票を投じるという記事が…

相談役などによる「院制」への批判の理由

3月11日の報道報道にて、経産省の有識者検討会が「相談役」について企業が職務内容や就任の経緯などを開示すべきとする報告書を纏めたとの記事がありました。東芝の問題もあり、最近、企業の元経営トップが就任する相談役制度について強く批判される動きにあ…

会社は誰のもの?

「会社は誰のもの?」とは良く聞かれる言葉ですが、会社は株主のものでありその価値を最大化するのが会社の経営陣の役割というようなことも良く言われます。では、いったい誰のものなのでしょうか?この点についてはが学者も交えて大変深い議論もなされてお…

社外取締役の役割と適正とは

先日の新聞で、政府は未来投資会議において成長戦略の中間整理を示したとの記事がありました。この記事によれば、コーポレートガバナンス・コード改革を一段と進めることを柱にするとのことで、会議では、社外取締役などの外部の目を生かすようなことも議論…

安定株式(安定株主)の見直しの必要性

最近、コーポレートガバナンス・コードの影響もあり、持合株式の解消の動きの中、安定株式比率というものに対して各社関心が従来より高いと思います。安定株式とは、自社の発行済株式のうち、安定して保有されている株式数でありそれを保有する株主がいわゆ…

会社法改正「株主提案権の乱用的行使の防止」

2月10日の新聞記事によれば、法務省が会社法の改正の検討課題を設定して検討に入ったとのことでした。検討課題の目玉が株主提案権の乱用的行使の防止ということのようです。株主提案権とは、会社法上の少数株主権の1つで、議決権の1%または300個以上の…

株主総会の議決権行使の個別開示

昨日の新聞報道で三菱UFJ信託銀行が株主総会での議決権行使結果の個別開示の方針を決定し、他の機関投資家も採用する方向との報道がありました。機関投資家は多くの企業の株式を保有しており、これまでは投資先企業の株主総会での議決権行使結果については、…