「会社は誰のもの?」とは良く聞かれる言葉ですが、会社は株主のものでありその価値を最大化するのが会社の経営陣の役割というようなことも良く言われます。
では、いったい誰のものなのでしょうか?
この点についてはが学者も交えて大変深い議論もなされており、事業会社の実務担当者が容易に語れることでもないのかも知れません。しかし、ここではまずはシンプルに考えてみたいと思いますが、とすると損益計算書(PL)の構造から利益の享受を受ける会社の利害関係者の順番を考えてみることが1つの考えとしてあるかと思います。
まずPLの最初に来るのが売上高であり、ここから利益を享受できる会社の利害関係者(ステークホルダーといいます)の順番を考えればよいと思います。
まずは、売上高の次にあるのは売上原価ですが、売上原価とは、単純に言えば販売した商品の仕入価格ですので、まず最初に売上高から仕入業者が代金の支払いを受けることができます。
次に売上原価を引いた後の売上高総利益から販売費及び一般管理費(販管費)が引か
れます。販管費とは、販売に係った費用のほか営業人員や管理部門の人員の人件費が該当します。金額が大きいのは従業員の給料である人件費になります。したがって、仕入業者の次には、会社の従業員が給料という形で利益の享受を得ることができます。
そして、売上高総利益から販管費を引いた営業利益の後に、営業外費用として銀行への支払利息などが引かれることになりますので、銀行などの金融機関は融資した金額の利息の支払いという利益を享受できます。
そして、次に税引前利益から税金が控除されます。国は企業の利益の中から税金の支払ということで利益を享受できます。そして税金を引いた最後に当期純利益が残り、そこから株主は配当として利益を享受できます。
PLの構造上では、①仕入業者、②従業員、③金融機関、④国、⑤株主という順番で利益を受け取ることができ株主は一番最後にあります。
従い、株主の利益を最大化することが全てのステークホルダー(会社の利害関係者)の満足を満たすことが出来るのですが、当然に各ステークホルダーは利益を会社から享受する必要があり、株主が一番利益の享受の順番が低いのですが、誰のものかというと「株主のものということではなく、各ステークホルダーのものということになると思います。
他のステークホルダーの利益を犠牲にしても株主の利益を優先すべきという議論はそもそもおかしいですね。