12月8日の日本経済新聞でSEC(米証券取引委員会)の2019年の活動計画が公表されていました。重点活動テーマとして5つほど記事に掲げられていますが、気になったものを2つほどあげます。
1 長期投資の促進
四半期開示義務の見直し是非について意見聴取
2 議決権行使プロセスの改善
議決権行使助言会社の開示強化の検討
それぞれについて少し触れてみたいと思います。
まず1の方ですが、これは四半期開示のあり方の検討です。日本でも上場企業は四半期開示が義務付けられていますが、これが、いわゆるショートターミズムの要因の1つという批判も出ています。つまり、企業の中長期的な企業価値向上のためには、長期目線で投資家は投資する必要があり、この四半期開示制度が長期目線での投資を阻害することになるというものです。
四半期で業績を開示するとなると、投資家は短期での企業評価にどうしても目が行き、また、企業サイドも株価を気にして短期業績にマイナスになる投資等は躊躇することになるということです。
2の方ですが、これはISS、グラスルイスといった議決権行使助言会社の在り方の見直しです。
機関投資家は投資先企業の総会議案に対して賛否判断をする際、ISS、グラスルイスの判断に依拠することも多いのですが、一方、ISS、グラスルイスは総会シーズンに大量の企業の総会議案を判断するため、形式的に判断し、場合によっては判断に誤りもあるケースもあると言われています。
助言会社の賛否推奨について、異論がある場合には企業サイドが反論を主張するケースも最近散見しますが、この反論を受けて、ISSが賛否推奨を見直したと言う事例は聞いたことはありません。このように機関投資家の議決権行使判断に大きな影響を与える助言会社の情報開示を強化するようです。
1などは日本の開示ルールは米国を大いに参考にしているので、米国で四半期開示を廃止となれば、当然ですが日本でも廃止という方向に向かうと思います。機関投資家は、四半期開示の廃止には反対しているようです。