中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

コーポレートガバナンス

米国の「脱・株主第一主義」の進捗が進まず

8月21日の日経新聞に英フィナンシャル・タイムズの記事として、「脱・株主第一主義から1年」という見出しで、米経営者団体のビジネス・ラウンド・テーブルが「脱・株主第一主義」を掲げて1年が経過したが、進捗が遅れているといった内容が書かれていま…

経産省が事業再編実務指針を公表 – 所詮ガイドラインではありますが、上場企業は事業のコングロマリットディスカウントの有無には今後注意を払う必要があります

少し前の話になりますが、7月31日に経産省が「事業再編実務指針」(以下「ガイドライン」)を策定・公表しました。 自社が当該事業の「ベストオーナー」か否かという観点から事業ポートフォリオの見直しを行うことを上場企業の経営陣、取締役会に求め、事…

上場子会社の社外取締役比率

7月26日の日経新聞に上場子会社の社外取締役比率について、3分の1以上の企業が5割止まりという見出しの記事が掲載されていました。野村資本市場研究所が2020年3月末時点の上場子会社249社を調べた結果ということです。 先日、上場会社全体での…

経産省は企業の事業再編を求めていますー事業再編実務指針が間もなく策定されます

7月15日の日経新聞に「事業再編銘柄に熱視線」との見出しの記事が掲載されていました。株式市場では大胆な変化をいとわない企業への評価が高まっているということで、日経新聞が2020年1月以降に事業再編に関連する開示をした93社を対象に3月末以…

株式の持ち合いは解消しても困るケースは実は少ない

最近の新聞報道を見ると政策保有株式の解消を時々目にします。 トヨタ自動車などは政策保有株式の解消を積極的に進めているようで、2018年に改訂されたコーポレートガバナンス・コードで政策保有株式の保有の合理性の検証の開示、有価証券報告書における…

MBOによる非上場化が増加

本日7月4日の日経新聞にMBOにより非上場化を選択するケースが増えているという記事がありました。MBOとはマネジメントバイアウトで、社長・経営陣が自社の株式を取得して、非上場化する方法です。 経営陣が買い取るといっても、サラリーマンの社長や経営陣…

取締役のスキルマトリクス導入企業が急増

株主総会シーズンということで日経新聞で「コロナと総会」というタイトルで株主総会関連記事が掲載されていますが、6月16日の記事でスキルマトリクスについて書かれていました。 取締役のスキルマトリクスとは、事業報告の取締役一覧や総会招集通知の取締…

メインバンクOBが取締役会の「多数を占める」のはコーポレートガバナンス・コードの観点から問題ありな気がします

6月12日の日本経済新聞に「物言う株主が『NO』」というタイトルの記事がありました。 内容は、京阪神ビルディング(8818)の社内取締役の過半数が三井住友銀行出身者で占められているということで、これに対してストラテジックキャピタルの丸木 強氏…

議決権行使にESG基準を採用ーしかし、企業評価(株価)の9割は「業績」でESGは「味付け」ですのでお間違えなきよう

本日、2月23日(日)の日本経済新聞に「議決権行使 ESG基準に」という見出しの記事が掲載されていました。内容は、機関投資家が議決権行使に当たって投資先銘柄のESG(環境・社会・ガバナンス)の評価も判断材料にするということです。わかりやすく…

スチュワードシップ・コードの改訂に向けた動き-スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会が開催(2019年9月25日)

9月25日に金融庁がスチュワードシップ・コードに関する有識者検討会を開催することを公表しました。2017年に改訂されたスチュワードシップ・コードの改訂に向けての検討になります。 スチュワードシップ・コードとは、機関投資家がスチュワードシップ…

ブーン・ピケンズと小糸製作所の攻防-「ブーン社による株式問題」を読んで

米著名投資家ブーン・ピケンズ氏が9月11日に死去したことが日経新聞で掲載されていました。 ピケンズは、1980年代終わりにトヨタ系自動車部品メーカーの小糸製作所の株式取得を通じ、株主の権利重視を主張して有名となった方です。 保有有株式の影響…

ICGNの年次総会が2019年7月16日~18日に東京で開催

ICGNの年次総会が2019年7月16日~18日に東京で開催されました。 テーマは「持続的な企業価値向上のためのコーポレート・ガバナンスの再検討」で、機関投資家を中心に27ヵ国から約500名が参加した模様です。ICGN(International Corporate Gove…

日米欧の主要企業の社外取締役報酬-日本は約1400万円

8月16日の日本経済新聞に社外取締役の報酬の記事がありました。米国コンサルティング会社のウイルス・タワーズワトソンが日米欧5ヵ国の主要企業の社外取締役について、2018年度の調査結果を公表したということで次のような内容となっています。 米国…

多角化事業を行う上場企業の事業ポートフォリオマネジメントのあり方~経産省「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」より

先日、経産省の「グループ・ガバナンス・システムの実務指針」(ガイドライン)が制定されたことを紹介しました。 今回は、このガイドラインの中で規定されている事業ポートフォリオマネジメントのあり方について紹介したいと思います。 ガイドラインでは、…

上場子会社とその親会社が今後留意すべき事項-経産省の「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」の制定を受けて

経済産業省のCGS研究会(第2期)でこれまで議論が進められてきた「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」が6月28日に策定・公表されました。 2018年のコーポレートガバナンス・コードの改訂は、単体としての在り方に重点が置かれてい…

取締役候補者のスキルマトリックスを機関投資家が求める理由

数日前の日本経済新聞の記事によれば、取締役候補者の「スキルマトリックス」を作成する上場企業が増えているとのことです。 2019年の株主総会で20社がスキルマトリクスを導入し、2018年の6社から3倍超に増えているようです。とはいっても、上場…

野村ホールディングスの指名・報酬委員会の委員長の変更の検証-投資家の目線

野村ホールディングスの株主総会の招集通知で指名、報酬委員会の委員長が古賀会長であったところ、これに対して議決権行使助言会社が反対推奨をしたことから急虚、委員長を社外取締役の方に変更するという報道がありました。 本日はこれについて、投資家の目…

高い質を持った社外取締役を選んでいますか?-経済同友会「経営者及び社外取締役によるCEO選抜・育成の改革」レポートより

2019年5月17日に経済同友会の企業経営委員会(委員長 富山 和彦 氏)が「経営者及び社外取締役によるCEO選抜・育成の改革―多様なガバナンスに応じた最良のサクセッションの追求―」を公表しました。 このレポートは、ガバナンスの本質・本丸は、大き環…

ESGを役員報酬の指標に入れることの意義

本年6月以降に有価証券報告書で改正される各社の役員報酬を理解できるよう、役員報酬制度について少し勉強をしていますが、約1ヵ月前の4月28日の日本経済新聞でESG評価を役員報酬を算定する基準に組み入れる企業が世界的に広がってきたとの記事がありま…

経産省のコーポレートガバナンス改革と脱藩浪士組のCEO

LIXLが前CEOの解任を巡ってもめています。機関投資家はオーナー家の社長より、いわゆる雇われ社長の方の方が手腕があると評価しているのだと思います。 先日の「週刊ダイヤモンド」にLIXILの最高経営責任者である潮田氏のインタビュー記事が掲載されており、…

CEOのしっかりとした後継者計画が必要な企業は?

コーポレートガバナンス改革において、上場企業は社長・CEOの後継者計画を指名委員会、取締役会を関与させて策定・監督することが求められています。 しかしながら、まだ計画の策定中という企業も多く、そもそもどうやって策定すべきか迷っている企業も多い…

社外取締役ではなく中途入社社員などのマネジメント層への登用が本来のあるべき姿~経産省のCGSガイドラインを読み解く

3月期決算企業は本年の株主総会の本格準備に入っているかと思います。 2018年度は、コーポレートガバナンス・コード、コーポレートガバナンスシステムガイドライン(CGSガイドライン)の改訂などコーポレートガバナンス関連で大きな変化のあった年と思…

投資ファンドのストラテジックキャピタルの株主議決権行使基準を読みました

先日、アクティビストと言われている投資ファンドのストラテジックキャピタルパートナーズが投資先企業の蝶理の企業価値向上に関する特別ホームページを開設しました。 そこで、同社のホームページにアクセスしたところ議決権行使基準がありざっと読んでみま…

上場子会社の役員のモチベーション維持が上場子会社を保有する大きな理由

先週、日本経済新聞に「親子上場に統治指針」との小さい記事が掲載されていました。 未来投資会議(第24回)が3月7日に開催され、そのことを言っているかと想像しますが、同会議のアジェンダを見るとモビリティーと上場子会社のコーポレートガバナンスの…

物言う株主(アクティビスト)の日本株の買い増しが増加

3月3日の日本経済新聞で物言う株主(アクティビスト)の日本株の買い増しが最高になっているという記事がありました。本日は短いですが、これについてごく簡単に触れたいと思います。 三井住友信信託銀行が投資活動を確認できる10ファンドの売買を集計し…

上場子会社を持つ親会社は今後検討すべき事項が増えます-経産省の「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」案より

2月26日の日本経済新聞で、上場子会社に関する指針を政府が検討開始とありました。これは、本年2月13日に討議された経産省のCGS研究会(第2期)の第14回会議で討議された「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(案)」の骨子案に書…

今後はTSR(Total shareholder return(株主総利回り))の注目度が高くなるか

TSR(Total shareholder return)という言葉について最近耳にする方も多いかと思いますが、今回はTSRについて書いてみたいと思います。 TSRとは日本語でいうと株主総利回りです。次の式で算出されます。 TSR=(株価の上昇額+1株当たり配当額) ÷…

取締役会議長を社外取締役にする意義

2月17日の日本経済新聞で、日産自動車が設置する企業統治改革の専門委員会は、日産自動車の取締役会議長を社外取締役が務めることを提言する方向で調整に入ったとの記事がありました。 今回は、社外取締役を取締役会議長にすることの意義について触れたい…

先進国でゾンビ企業が増加傾向

前回、2月7日に「割安かつキャッシュリッチ銘柄企業に株主アクティビズムを行う際の視点1」を掲載しました。 今回は、視点2の株価向上施策の実施に向けた提案について書く予定でしたが、視点2は自分自身の考えを少々整理する必要があるので、時間のある…

議決権行使助言会社の2019年議決権行使ポリシーについて

先日、議決権行使助言会社であるISSとグラスルイスの方の話を聞く機会がありました。既に色々な媒体で公表されていますが、各社の2019年の議決権行使ポリシーの主な内容について少し触れてみたいと思います。 <ISSの2019年議決権行使ポリシーの変更…