前回、コーポレートガバナンス・コードの改定案が公表されたことを書きましたが、改定案では、取締役会の構成としてジェンダーや国際性も明記されています。
金融庁のホームページから、第14回フォローアップ会議の議事録を見ますと、女性の委員から、ジェンダーと外国人の取締役の登用の話が出ており、それもあって、第15回会議で公表された改定案に盛り込まれたものと思います。
そのような中、3月17日の日本経済新聞に54ヵ国の上場企業を対象にした女性取締役の比率の統計データが掲載されていました。各国の上場企業で統計のとれる限りにおいて女性取締役が1名以上いる企業の比率のようです。
Quick・ファクトセットの協力を得て、日本経済新聞が調べたようですが、次のような内容です。
第1位 ノルウェー89%、第2位 インド 88%、第3位 中国 86%、
第11位 米国 69%、第49位 日本 20%、第50位 ヨルダン19%、第51位 クウェート 16%、第52位 アラブ 14%、第53位 韓国 13%、第54位 サウジアラビア 6%
日本は54ヵ国中、第49位ということで主要経済国の中では最下位のようです。また、韓国が非常に低いことも少々驚きました。
この数字をあらためて見ると、日本では、1986年に男女雇用機会均等法が施行されてから30年が経過するのに上場企業は何をしてきたのかという意見にも納得できます。
たしかに女性が総合職になれる道は出来たのですが、結局、出産後も勤務が継続できるよう男性のサポートを促進するような制度を全く真剣に考えていなかったことが、問題の根本にあるのではないでしょうか。男性の育児休暇制度も各社ありますが、馬鹿正直にこの制度をフルに活用する男性社員は、私の友人はじめ誰からも聞いたことはありません。
女性取締役の起用については、過去の何度かこのブログでも書いていますので、繰り返しになるので詳細はもう書きませんが、女性社員が、2人以上の子供を出産しても普通に仕事が出来る環境を日本の上場企業は早急に整えることが迫られそうです。
なお、ここで1度良く考えるべきことは上場の意義です。
そもそも上場企業でいるがゆえに、上場企業に限定して適用されるコーポレーガバナンス・コードの対応などが必要になるので、自社の上場の意義をあらためて考え直し、今後とも資本市場での資金調達の必要のない会社、つまりデット・ファイナンスで十分にやっていける、または過去にエクイティーファイナンスなど一度もやったことのない上場企業は、上場を廃止することが最も効率的であるかも知れません。
この点、上場を廃止すると優秀な学生が来ないので採用において困るという話も決まって話題にでます(なお、何をもって「優秀な学生」というかですが、短時間で大量の学生と面接する企業の新卒採用においては、学生の本当の頭の良さなどは、かなり高い確率で判断は不能であるため、優秀な学生=偏差値の高い大学を出た学生ということと思います)。
しかし、冷静に考えると上場していても、例えば、中堅規模以下の企業には、そもそも偏差値の高い優秀な大学を出た学生が新卒で来ることは非常にレアです。とりあえず大学は出ているけど、名前も聞いたことのない私立大学の文系の学生などしか採用出来ていないのが中堅規模の上場企業の多くのような気がします。別に統計データを見たわけではないのですが、証券会社の投資銀行時代に中堅上場企業と会話をする中で、そういったランクの大学出身者であったことが多かった記憶があります。
このようにランクの低い大学の新卒の学生しか採用できない企業の規模であれば、上場など思い切り廃止して、かわりにCMはじめマスメディアへの露出をばんばん増やし、企業PRした方が、新卒の学生の採用にあたっては効果的なような気がします。