中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

上場企業は「東証 第7回企業価値向上表彰」の表彰会社を分析することが必要

今日は休みでこの数日の間の新聞整理と投資先目銘柄のスクリーニングをしています。先日、東証が第7回企業価値向上表彰の表彰会社の決定をいたしました。

大賞受賞は、ダイキン工業で、優秀賞がアサヒグループホールディングス日本電産ユニ・チャームとなっています。

ROEが一定基準の上場企業にアンケートを実施する1次選抜から始まり、4次選抜でまであり受賞企業が決定されます。上場企業3700社の中から、ROE基準で1次選抜で800社に絞られていますので、事実上は、800社を母集団に選抜開始といいってよいと思います。

東証の通知に、ダイキンの大賞受賞の理由が掲載されています。概ね次のような内容です。

1.企業価値向上の実現に向け、経営目標・指標等が、資本コストを意識したものであり、長期にわたり首尾一貫している。
・1999 年に改訂した中期経営計画において「率の経営」を掲げて以来、資本コストを念頭においた経営を推進。
DVAダイキン流経済的付加価値)、ROEROA、ROIC といった複数の資本生産性指標を設定・活用
・なかでも、ROE 及びROA は、経営目標として、継続的に対外公表
・現在のROE 目標値は、自社の資本コストを大きく上回る水準(14%)を設定など

2. 企業価値向上の実現に向け、経営管理の仕組みが、資本コストを意識したものとなっている

3. 資本コストを意識した経営目標・指標及び経営管理の仕組みについて、その社内浸透に力を注いでいる。
・2000 年頃より社内報においてROEDVA などの経営指標や資本コスト、企業価値について解説しているほか、ROIC ツリーにより、各自の業務が経営指標の改善や企業価値向上にどう結びつくかを啓蒙するなど、社内浸透策を継続。
・マネージャー以上の役職者向けには、定期的に資本コスト概念の説明を行うとともに、近年は海外のマネージャー向けに日本語以外の資料も作成しグローバルでの浸透も推進

これを読むと色々と先進的な取組みをしていることが分かります。

ちなみに、この選定委員会の委員は、伊藤邦雄氏(一橋大学特任教授)、澤上篤人氏(さわかみ投信株式会社 取締役会長)、スコット キャロン(いちごアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長)で、いずれも中長期投資を掲げる有名人かと思います。

この東証企業価値表彰は、資本コストをはじめとする投資者の視点を深く組み込んだ経営の実践を通じて、高い企業価値の向上を実現している上場会社を表彰する制度で2012年から開始しています。

大賞受賞は当たり前ですが、大変難しいのですが、上場企業各社はこの受賞企業をベストプラクティスとして、自社とどう違うのかを分析してそれに向けて取り組むのが必要かなと最近考えています。

と考えているところ、東証から3月上旬に開催する受賞企業各社による講演会の案内が届きました。参加して各社の優れている点を分析して、自分が株式投資としているミドルキャップ・スモールキャップサイズの上場企業の課題の分析ツールにしたいと思います。