中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

2018-01-01から1年間の記事一覧

ESGアクティビズムとミレ二アル世代

7月23日号の日経ビジネスに「ESGアクティビズムに屈する企業」との記事がありました。 内容は、米スターバックスや米マクドナルドなどでプラスチック製ストローの使用をやめる動きが加速しており、この背景には規制強化の動きだけでなく、「ESGアクティビ…

経産省のCGS研究会(第2期)第8回が開催

経産省のCGS研究会(第2期)の第8回会議が7月24日に開催されました。 この会議は、第5回(4/24)より議事録は公表されないようになっていますので、今回も会議資料のみの公表ですが、資料を読む限りにおいては、次のような討議がなされているようで…

機関投資家の議決権行使基準を詳細に把握することの重要性

7月27日の日本経済新聞に「機関投資家の目 厳しく」とのタイトルで、野村アセットマネジメントの投資先企業の株主総会における株主提案への賛成率が記載されていましたので、これについて触れたいと思います。 本年の4月から6月に開催された定時株主総…

海外・日本の投資規制について②

前回米国の海外からの投資規制について説明しましたが、今回は、EUと日本の海外からの投資規制についてポイントのみ説明します。 EUですが、ドイツ、フランス等の各国で外資規制はあり、最近改正がされています。しかし、新聞報道にもあるとおり、現在は、さ…

海外・日本の投資規制について①

先日、新聞記事を整理していたところ、6月20日の日本経済新聞に「中国M&A阻止の動き」とうタイトルで外資による対内投資規制として、米国・欧州・日本の規制についてごく簡単に触れていました。 本年の6月株主総会の企業では、買収防衛策議案の反対率が…

投資先企業の利益剰余金が少ない場合の配当原資の見方(資本剰余金を原資とする配当)

先日、「配当性向だけでなく配当原資を良く理解しましょう」というタイトルの記事を書きましたが、これに関連して、今回は利益剰余金が少ない又はマイナスの場合の剰余金の配当原資について説明したいと思います。 バランスシートを見ると、当期純利益が大赤…

個人投資家は配当性向だけではなく、配当原資を良く理解しましょう

先日の日経新聞で配当性向の記事がありました。日本企業の配当性向は30%台が多く、欧米企業に比べて見劣り、株価を抑える要因になっているということです。 ちなみに、財務改会計の初歩的な用語ですが、配当性向とは、配当支払額÷当期純利益(%)で示さ…

アクティビストが個人株主の賛同を得るには「良く分かる株主提案」のような小冊子が必要

直近のビジネス誌「日経ビジネス」に「うまい話に乗らない株主」とのタイトルで、本年の株主総会でアクティビストの勝利はわずかであったとの記事が出ていました。 本年6月総会の企業のうち、株主提案は41社あったが、株主提案が可決されたのはわずか2件と…

上場企業の効果的な個人株主対応

先日の日本経済新聞で「個人 進む二極化」との記事がありました。個人株主数が2017年度に5,000万人を超え5,129万人で過去3年で12%増えた一方で、保有額の大きい高齢者は持株の処分に動いているということです。 私の認識では、日本企業全体(コーポレートジ…

書評:「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」

本日は久しぶりに書籍の紹介をしたいと思います。講談社+α新書から出た「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい- 人生100年時代の個人M&A入門」という本です。 タイトルが面白かったので購入して読んでみました。著者は、元SBIインベスメントなどで…

経産省のCGS研究会(第2期)の今後の予定

先日6月22日に経産省のCGS研究会(第2期)の第7回会議が開催されました。 本年夏ごろに改訂CGSガイドライン案が公表されるとの予定ですが、第8回以降の今後の予定も公表されました。 第8回(7月) グループガバナンス「守り」の論点②第9回(9月) CGSガ…

アルパインに対する香港の投資ファンドのオアシスマネジメントの株主提案が否決(前回の続き)

アルパインに対する香港の投資ファンドのオアシスマネジメントの株主提案が否決されたことは前回書きましたが、株主提案の賛成率が30%以下であったとの日経新聞の記事がありました。 この記事を受けて、EDINETを見たところ、アルパインは株主総会の議決権行…

企業価値算定における余剰現預金の考え方(ブログに頂いたコメントの回答)

本日は年休取得で休みのため日中にブログを更新します。 先日、企業価値評価における現預金の算出基準についてコメント質問を頂きました。ありがとうございました。 ただ、この「はてなブログ」での返信の方法が未だによく分かりませんでしたので、コメント…

HOYAが手元資金の上限を引き下げ

6月21日の日本経済新聞で、HOYAが手元資金の保有上限を引き下げるとの記事がありました。 従来は、現金及び現金同等物の上限目途が3,000億円程度であったところ、今後は2,000億円程度と約1,000億円程度引き下げるということです。 HOYAの2018年3月期の連結キ…

アルパインに対するオアシスマネジメントによる大幅増配の株主提案が否決

カーナビメーカーであるアルパインに香港の投資ファンドであるオアシスマネジメントが大幅な増配の株主提案をし、これに対して議決権行使助言会社であるISSが賛成推奨をしたことは前回書きましたが、6月21日にアルパインの定時株主総会が開催されました。 結…

役職定年を迎えた一般従業員は「野に出よ」

先日の日本経済新聞で「相談役・顧問は『野に出よ』」との記事がありました。 読者の関心を引く面白いタイトルであると関心しました。相談役・顧問制度自体は、弊害ではなく有用な場合もあるのですが、東芝のケースから弊害の制度という方向にどうも流れが向…

経産省が上場企業に対して社外取締役の再任基準を明示する方向

6月17日(日)の日経新聞で、経産省が上場企業に対して社外取締役の再任基準を明示するよう求めるとの記事がありました。 今夏に定める予定のコーポレートガバナンスシステムガイドラインの改訂版(改訂CGSガイドライン)に規定するとのことです。改訂CGSガ…

改訂コーポレートガバナンス・コードを反映したコーポレートガバナンス報告書の提出

6月株主総会シーズンが近づき、先日の日経新聞で企業統治指針として改訂コーポレートガバナンス・コード(改訂CGコード)に関する記事が掲載されていました。 これまで改訂CGコードについては、何度か書いているので、改訂CGコードの詳細は今回は書きません…

議決権行使助言会社ISSがオアシスのアルパインに対する大幅な増配要求に対して賛成を推奨

前回、議決権行使助言会社のISSについて書きましたが、先日の日本経済新聞でカーナビなどの自動車部品メーカーであるアルパインに対してアクティビストであるオアシスマネジメントが1株当たり325円の期末配当の株主提案をして(会社提案は1株当たり15円)…

ISSの議決権賛否推奨レポートに対する企業側の反論

議決権行使助言会社である米国ISSの議決権行使の賛否推奨レポートに対して、ツガミ(東証1部)とインフォコム(東証JQS)が反論を公表しました。ISSは議決権行使助言会社の大手で、上場企業の株主総会議案に対して賛否を推奨する会社です。 ツガミ、インフォ…

東証が改訂コーポレートガバナンス・コードを公表

6月1日に東証が改訂コーポレートガバナンス・コード(改訂CGコード)を正式に制定・公表しました。 本年6月1日からの適用で、上場企業各社は、準備出来次第速やかに対応し、遅くとも本年12月末まで対応することとされています。3月30日に金融庁が公…

日本企業の海外M&Aに関する意識・実態調査結果

先日の日本経済新聞に掲載されていましたが、日本企業の海外M&Aに関する意識・実態調査結果についてデロイトトーマツが公表しました。 「日本企業の海外M&Aは上達しているのか?」というタイトルで、日本企業の海外M&Aに関する意識に関する実態調査です。13…

経産省がCGS研究会(第2期)の中間整理について公表

5月18日に経済産業省が、CGS研究会(第2期)の中間整理について公表しました。 経産省は、昨年3月、コーポレートガバナンスの取組みの深化を促す観点から、企業において検討することが有益と考えられる事項を盛り込んだ「コーポレート・ガバナンス・システ…

アクティビスト(物言う株主)の行動によって一般株主が潤う

5月21日にアクティビスト(物言う株主)であるストラテジックキャピタルが、新日本空調株式会社(証券コード1952)に対する本年4月24日付けの株主提案を取り下げる旨の公表がありました。 新日本空調が5月14日に公表した剰余金の増配決定の公表を受けての取…

株主資本配当率(DOE)の開示

先日の日本経済新聞の記事に株主資本配当率(DOE)の記事が出ていました。DOEとは、Dividend on equityの略で、次のとおり算出されます。 DOE=配当金額 ÷ 当期末の株主資本 配当に関する指標には、配当性向があります。良く耳にする言葉かと思います。 配当…

サム・オブ・ザパーツ(Sum of the parts)による理論株価のバリュエーション

本日は、企業の理論株価分析として、サム・オブ・ザ・パーツについて説明します。 複数の事業セグメントを持つ企業の理論株価を分析するバリューエーション方法になります。具体例をあげて説明します。 甲会社という上場企業があり(株価800円、発行済株式数…

買収防衛策の廃止の動きの増加

本年の定時株主総会の終結の時をもって買収防衛策の更新期限を迎える企業が買収防衛策を廃止する動きが強まっています。 本年に入ってから、比較的名前の知っている上場企業ですと、クラレ、ダイワボウ、日本ハム、ワコール、京浜急行電鉄、阪和興業、帝人、…

改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた個人株主のアクティビズムの可能性(4)

改訂コーポレートガバナンス・コード(改訂CGコード)について、残りの資本コストと事業ポートフォリオについて纏めてみます。 今回の改訂CGコードについては、4月29日までを金融庁はパブリックコメントの締め切りとし、その後、経団連、経営法友会、消費者…

初心者の経済学(ミクロ経済・マクロ経済)の効果的な勉強法

ゴールデンウィーク休暇期間中は、改訂CGコードと株主アクティビズムに関連する資本コストと事業ポートフォリオについて書くことができませんでしたが、これは今週中に出来れば書く予定ですが、本日は、休暇中に気付いた経済学の勉強方法について記載したい…

改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえた個人株主のアクティビズムの可能性(3)-2

改訂CGコードと事業ポートフォリオ、資本コストの話題について、ブログで触れる前に先日の5月1日にソレキア株式会社(9867)に対して、個人株主が株主提案をした旨をソレキアが東証に開示していました。 株主提案を行った方がこれまでのように投資ファンド…