カーナビメーカーであるアルパインに香港の投資ファンドであるオアシスマネジメントが大幅な増配の株主提案をし、これに対して議決権行使助言会社であるISSが賛成推奨をしたことは前回書きましたが、6月21日にアルパインの定時株主総会が開催されました。
結果、株主総会においてオアシスの株主提案は全て否決され、会社提案が可決されたようです。
アルパインの2018年3月期の有価証券報告書も同日提出されており、同社の株主構成からこの結果について、少し触れてみたいと思います。
アルパインの有価証券報告書に記載の2018年3月末現在の株主構成は次のとおりです。
その他法人 41.79%
外国人法人 40.79%
金融機関 11.42%
個人その他 4.96%
金融商品取引業者 1.04%
ISSの議決権行使基準に賛成するのは外国人投資家が考えられますので、40.79%の多くは株主提案に賛成したのではないかと考えます(ちなみに新聞報道によればオアシスはアルパインの株式を9%程度保有するようですので、この40.79%にはオアシスの保有分も入るかと思います)。
もっとも、必ずしも全ての外国人投資家が賛成するわけではなく、アルパインが海外機関投資家に個別に面談をして、会社の方針を説明し、それに納得をしたような場合には、会社提案に賛同する外国人投資家もいるのかも知れません。
仮に40.79%が全てが賛成にまわるとすると、オアシスは残り約9%の賛成票を集めれば株主提案の賛成を得られたことになりますが、これに失敗したということになります。
1株当たり325円の配当は個人株主にとっては非常に嬉しい提案ですが、アルパインの個人株主4.95%には、アルパインの元役員などの会社関係者も入っているのではと思われ、とするとやはり残り9%の賛成票の獲得は、困難であったのでしょう。金融機関が11.42%とありますが、取引先銀行と国内機関投資家がどの程度の保有比率であるのか、これは開示されていませんが、興味のあるところです。
株主総会の決議結果については、数日後に臨時報告書が開示され、それに会社提案と株主提案の賛成率が開示されます。
それを見た上で、引き続き気付いた点があればコメントをしたいと思います。