先日の日本経済新聞に掲載されていましたが、日本企業の海外M&Aに関する意識・実態調査結果についてデロイトトーマツが公表しました。
「日本企業の海外M&Aは上達しているのか?」というタイトルで、日本企業の海外M&Aに関する意識に関する実態調査です。13ページほどのレポートになりますが、海外M&Aの成功率は約37%程度とのことです。
このレポートの中で、以前に経済産業省が公表した「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」の紹介があり、ディール(デューデリジェンス~クロージング)の前後を含めた、M&Aによる成長サイクル全体を通して経営トップが特に意識すべき視点が記載されており、「9つの行動」があげられています。
1. 「目指すべき姿」と実現ストーリーの明確化
2. 「成長戦略・ストーリー」の共有・浸透
3. 入念な準備に「時間をかける」
4. 買収ありきでない成長のための判断軸
5. 統合に向け買収成立から直ちに行動に着手
6. 買収先の「見える化」の徹底(「任せて任さず」)
7. 自社の強み・哲学を伝える努力
8. 海外M&Aによる自己変革とグローバル経営力強化
9. 過去の経験の蓄積により「海外M&A巧者」へ
いずれも内容自体は当たり前のものかと思います。当たり前のことですが、実施するにはなかなか難しいことと思います。要は買収した企業の一番の資産は人ですが、海外という日本と異なる文化・価値観を持つ人を、それも買収されたということで買収者である日本企業に少なからず敵対心を有する人をマネージするのは難しいことと思います。日本電産の永守会長が、以前にPMIには海外では地域にもよるが数年かかるといっていました。
日本企業による海外M&Aの成功件数が少ないとは従前より言われていることですが、成功率が37%ということは、「失敗した」との明確な回答はしたくないというインセンティブを持つ上での企業各社の回答ですから、成功例は本当は30%を下回ると推定されます。