来週から業務が多忙になるため、本日はインプットに重点を置いた一日でした。国内のアクティビスト投資ファンドが公表している株主提案の資料を読んだりしていましたが、投資ファンドの主張は、コーポレートガバナンスに即した極めて合理的な内容が多いですね。
さて、国内の大手運用会社であるニッセイアセットマネジメントが次のレポートを少し前に公表しています。
https://www.nam.co.jp/news/mpdf/211222_tk.pdf
昨年9月13日の日経新聞にも本件内容に関する小さい記事がありましたが、興味深かったので、本日、さっと目を通しました。
ROE8%以上になるとPBRが0.36倍高まるが、ROE8%未満では株価との関連性がないということです。PBR=ROE×PERですが、ROEが8%を超えることでPERも高まるので、PBRも上昇するということかなと思います。
そもそもコーポレートガバナンス改革の起点である(と私は理解しています)伊藤レポートが公表された当時、日本の上場企業全体の株主資本コストの平均値はたしか7%台なので、企業は8%以上のROEが必要ということであったかと思います。株主資本コストとは、株主が株式投資で期待するリターンです。ROEが8%未満ということは、株主が求めるリターンを企業は生み出していないので、株主は、がっかりして株価も上がらないということです。
最近、市場関係者の株価に対する意識がこれまで以上に厳しくなっています。ブログでも書いているように、東証の市場区分見直しのフォローアップ会議でもPBR1倍未満企業に対して非常に厳しい意見が出ていますよね。
ところで、個人投資家の方は、このROEをどの程度理解しているでしょうか。言葉は聞いたことがあるという方はかなり多いと思いますが、使い方まで理解している方はそれほど多くないのではないでしょうか。つまり、ROEを高めることと株価との連動性です。
アクティビストが企業に提案・主張する際の視点は色々ありますが、このROEは土台になります。ROEを切り口にどういう提案が企業に出来るか個人投資家の方も理解をすると良いかと思います。個人投資家の武器の1つがROEです。ブログでは、ここ最近、個人投資家の武器としてのコーポレートガバナンスについて久しく書いていませんので、近いうちに個人投資家の方向けにROEを投資先企業の株価向上の手段としてどう使えるのか、基礎的な内容を書いてみたいと思います。