本日から3連休です。保有銘柄のこの1週間の関連情報の収集・整理と、久しぶりに伊藤レポート2.0を読み込む予定です。伊藤レポートはコーポレートガバナンスの下敷きとなっていますが、この3連休で知識を整理するため、久しぶりに読み直したいと思います。個人投資家の方もコーポレートガバナンス・コードを読むに先立ち、この伊藤レポート2.0とその前に出された伊藤レポートをしっかりと読むとよいかと思います。
先週は国内主要機関投資家の議決権行使基準の整理をしていましたが、機関投資家が取締役選任の賛否で基準とするROEの基準は、個人投資家の方はご存じでしょうか?
基本的に5%です。正確には、ROE5%未満が過去3期連続して、かつ業種内で下位にある場合などの場合、経営トップはじめ3年以上在任の取締役に反対するというケースが多いです。議決権行使助言会社であるISSもROE5%未満が過去5期連続等の場合に反対としています。
分かり易くいいますと、ROE5%を下回る企業の取締役は経営陣として不適任ということを機関投資家や議決権行使助言会社は言っているわけです。「あれ、伊藤レポートでは8%では?」と思われた方もいると思います。個人投資家でここまで理解されている方は、コーポレートガバナンスを少しは勉強されている方かと思います。
そうです、伊藤レポートでは8%を求めていますが、日本企業にとって8%はまだハードルが高いので、機関投資家は今のところ5%という基準を設定しています。なお、先ほどのISSは、この数年はコロナのため特例として5%の基準の適用は停止していますが、国内の機関投資家は今年の株主総会では厳格に適用しています。結構厳しいですね。最近のインフレはじめ海上運賃アップを考えると、企業の利益は厳しいところがあり、「ここ数年はROEは少し大目に見てよ」というのが多くの企業の声だとは思いますが、機関投資家はそうは見ていないということですね。
個人投資家の方は、機関投資家はROE5%未満が続く企業の経営陣は不適切という理解をしているということをまずはしっかりベースに理解することが大事です。自分の投資先の企業のファクトブックなどでROEを見て、低い場合には投資先企業のIR部門に「ROEの低い理由は何であるのか?」「株主資本コストを下回っているのではないか?」といった質問をするのは、極めて合理性のある行動と言えます。IR部門の方からすると「この個人投資家の方は良く勉強をされているな」と思うはずです。勿論、5%を下回っているから駄目とは短絡的に考えるのもNGです。
低い理由は一過性のものか、企業として今後のROE向上をどう考えているのか等をしっかりと確認して企業と対話をするという姿勢が企業と個人投資家双方にとって重要なのだと私は思います。