中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

日本企業のガバナンスの課題 ー アクティビストに狙われる理由(オアシス・マネジメントのインタビュー記事より)

本日は約3週間ぶりの在宅勤務でした。オフィスから持ち帰った資料のインプット作業に時間を費やしたのですが、一日中、家にいると体を動かすこともなく、夕方になるとかえって疲れたりします。午後の半日だけ在宅というのが自分には合っている気がするとともに(前から感じてはいますが)、明日は朝7時30分の早朝出社で気分転換をする予定です。

さて、香港のアクティビストとフジテックの攻防は新聞でも時々報道されていますが、本日の日経新聞に次の記事がありました。

フジテック、前会長が株主提案 8人の取締役選任求める - 日本経済新聞

報道によれば、前会長が6月の株主総会で取締役選任を求めて株主提案をしたようですね。選任した理由などは良く分かりませんが、果たしてこの株主提案は株主の賛同が得られるのでしょうかね。何とも言えませんが。

そういえば、オアシス・マネジメントの代表に対するNHKの取材記事がネットに掲載されていました。

なぜ日本企業はアクティビストに狙われるのか? | NHK | ビジネス特集 | 滋賀県

この中で次の3つが日本企業のガバナンスの課題であると発言をされています。

・取締役会の人事権が機能していない
・取締役の独立性、多様性、業界への理解不足
・新しいビジネスに消極的

特に「業界への理解不足」は興味深いですね。日本企業では、コーポレートガバナンス改革に伴い社外取締役の数がだいぶ増えました。けど、その中には学者、弁護士、税理士なども多く、これらに限りませんが、業界のことや事業に精通していない社外取締役が非常に多いのも事実です。

社外取締役に期待されるのは、法的リスクをやたら細かく指摘したり(これは弁護士にありがちですね)、学問やマクロ経済を語ることではなく、企業の稼ぐ力を高めることです。ビジネスを理解し、執行サイドの提案を正確に理解出来る人材であることが社外取締役には必須です。オアシスの指摘する「業界への理解不足」というのは至極当然なことかと思います。また、「日本の株主全体がアクティブになってきたと思う」とコメントがありますが、これもその通りです。ROEの低い経営トップに当然のように反対行使をするなど国内機関投資家もアクティブになっています。

次は個人投資家の番です。個人投資家コーポレートガバナンスを深く理解して、アクティビストと同様の観点から企業のガバナンスの課題を理解して、企業に当然のように提案したり、株主総会で論理的な質問ができるようになることが日本の株式市場全体の活性化になると思います。私個人としても、今後はそういう個人投資家をサポートする仕事をして行ければなと思っています。

3月期決算企業の株主総会も開催まであと2ヵ月程度かと思いますので、個人投資家や個人株主が投資先企業の株主総会において、議長に質問できるようコーポレートガバナンス上のホットな共通の話題を総会シーズンが終わるまでの間、このブログで連載形式で掲載して行きたいと思います。