中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 (第5回 ) ー 投資家がR&D投資について重視する内容

知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会 が10月15日に第5回会議が開催されており、事務局資料が次のとおり公表されています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/tousi_kentokai/dai5/siryou3.pdf

この検討会は前回の会議での意見が冒頭に記載されるのですが、今回も前回会議の意見が結構な分量記載されています。

今回の第5回会議では、投資家が企業の研究開発(R&D)に期待する情報として、知財・無形資産の投資・活用に関する指標の在り方、IRの観点からの開示のあり方が議論されたようです。

投資家がR&D投資について重視する内容は、ビジネスモデルに関連付けたR&D情報、セグメント別R&D費用、投資回収時期の判断材料のようです。けど、これがきちんと開示できている企業は非常に少ないかと思います。ほとんどの企業は「売上高のm〇〇%をR&D投資費用とします」という開示にとどまっているのが現状かと思います。今回の会議の事務局資料では、好事例として日立製作所コニカミノルタのケースが紹介されています。

無形資産が企業の中長期的な企業価値向上において重要ということは分かるのですが、R&Dが企業の収益にどう結びついているかを明確に把握するのは難しいところであり、企業側も悩んでいるところは多いと多います。R&Dには基礎研究も含まれるし、基礎研究などは研究の過程でどう発展し、また、どの用途に使えるのかが分かってくるのであり(回収できないで終わるケースも非常に多い)、当初から企業の課題と明確に紐づけすることはできません。一方、投資家としては売上高の数パーセントを毎年企業が投じるR&Dの詳細は知りたいところではありますが、文章での開示ということを考えると、悩ましいですね。

とはいえ何もないと、情報の非対称性から投資家も不安で投資が出来ないということになるので、企業サイドとしては何らかの幹となる大きな指標を開示して、細かいところや今後の考えについては、機関投資家との対話でお互いの理解を深めるというのが妥当な気がします。年内に開示のガイドラインが出るようですが、引き続き注視してブログでも紹介したいと思います。

最後にこの検討会についての前回と前々回のブログの記事を再掲します。