昨日から、ある保有銘柄の買増しを考えて国土強靭化関連の情報収集・整理をしつつ、この3連休は「住友銀行 秘史」という書籍を読んでいます。作者は元住友銀行の取締役であった方で、1990年代後半のイトマン事件を巡って住友銀行の当時の内部の動きについて、磯田一郎元会長(収益至上主義の住銀の天皇ですね)をはじめ幹部の様子が良く分かり面白いです。
全くの余談ですが、私も10年以上前に、以前に勤務していた会社で、日経新聞でも大きく掲載された某経済法違反事件で当局対応の窓口として、某大手法律事務所の弁護士と一緒に1年近くひたすら対応にあけくれた経緯があり、当時の日々の動きは業務の必要性から大学ノートにメモを取り続けていました。1年間で大きいA4サイズの大学ノートでたしか10冊以上になり膨大なメモとなりましたが、今だに捨てずに手元にしまっているのですが(読み返すこともこの10年ないのですが)、この手の話などもノウハウの宝ですので、本にしたら経済法違反事件の企業の実務担当者からのニーズはかなり高いだろうなとふと思いました。
さて、SBIによる新生銀行のTOBですが、9月19日のヤフーニュースで次のとおりSBIがTOBの延長要請を拒否との記事がありました。
SBI、TOB期間の延長拒否へ 新生銀行の要請に応じず(共同通信) - Yahoo!ニュース
SBIホールディングスは19日、新生銀行に対して実施中の株式公開買い付け(TOB)について、新生銀が求めた期間延長に応じない方向で調整に入った。新生銀はSBIが要請を拒否した場合、導入済みの買収防衛策の手続きを進める方針で、対立は一段と先鋭化することになる。 新生銀は17日、SBIが行うTOBの終了日を10月25日から12月8日に延ばすよう要請。9月30日を回答期限に設定した。これに対しSBIは「適法かつ十分なTOB期間を確保しており、単なる時間稼ぎとしか考えられない」と反発し、拒否する方向だ。
黒字でハイライトした箇所ですが、これはどういうことでしょうか?
SBIのTOB期間は9月10日から10月25日となっています。買収防衛策の狙いは、買収者も含めて新株予約権を自社の全株主に割当てをするが、買収者だけが権利行使できず、結果、買収者の保有株式数は増えない一方で、発行済株式数が増加するので買収者の議決権比率が希釈化し、会社の経営に対する支配力を弱めるという点にあります。とするとTOBが終了し、代金の決済がなされ買収者の議決権割合が高まってしまった後には希釈化の効果は薄れることになります。そのため、TOBの終了前の日を新株予権の無償割当の基準日とする必要があるかと思います。
新生銀行は、現在は買収防衛策を導入したにとどまりますが、今後はSBIのTOBが完了する前に買収防衛策の発動手続きに入り、新株予約権の割当日を決める必要があるのだと思います。近いうちに新生銀行は買収防衛策の発動を公表するのだろうと想像します。