中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

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東都水産(8038)の取締役会がマルハニチロによる株主提案に反対表明

水産最大手のマルハニチロが同社が大株主として8%出資をしている東都水産に対して株主提案として取締役1名の選任を提案していたようですが、本日、東都水産はこれに反対することを取締役会で決議したことを公表しました。

https://www.tohsui.co.jp/ja2/wp-content/uploads/2021/05/tdzz202105071012.pdf

マルハニチロは、栗山治という方を東都水産の取締役候補としており、その提案の理由は次のとおりです。

現在の流通環境下で大卸数は明らかに過剰で需給バランスのとれた良質な事業構造から逸脱し、流通全体を滞らせていると思量しております。市場の停滞は事業全体のサステナビリティにも大きな影を落としているため将来の大卸再編は避けられず、事業構造の転換により合理的な運営規模又は形態とした上で、豊洲全体を現在の流通環境に相応したものに変更する必要があります。市場流通を起点に水産物流通の変革を進める最も有力な方法は近い将来の市場再編であり、今回の提案はその検討を加速させるためのものです。粟山治氏は、上記の略歴等に記載のとおり、水産物流通全般に幅広い知見と豊富な経験を有し、グローバルな水産事業の拡大にも実績を上げている人材で、市場再編の議論を加速させるための人選として最適であります。この取組は東都水産株式会社に必ずや利益をもたらすものと思量しております。

これに対して、東都水産は、「本提案は当社の経営方針と相容れないばかりか、当社の企業価値・株主価値にとって具体的なメリットがあるのかに疑問を有し、また、当社の企業秘密が競合他社に流出しかねないことなど、当社にとって大きな不利益が生じることが危惧されることから、賛成はできないとの結論に至りました。」としており、「本提案は、当社の企業価値・株主価値の向上にとって有益なものとはいえず、同時に当社の企業価値・株主価値を毀損するおそれが否定できないものと当社は考えております。」と結論付けています。

マルハニチロの株主提案が企業価値・株主価値を損うと言っているのですから、真っ向から喧嘩をしているということですね。マルハニチロ東都水産の関係が良く理解出来ていませんが、今後どうなるでしょうか。