コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

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米国の「脱・株主第一主義」の進捗が進まず

8月21日の日経新聞に英フィナンシャル・タイムズの記事として、「脱・株主第一主義から1年」という見出しで、米経営者団体のビジネス・ラウンド・テーブルが「脱・株主第一主義」を掲げて1年が経過したが、進捗が遅れているといった内容が書かれていました。

脱・株主第一主義とは、米国では「企業は株主のもの」として株主利益の最大化を図ってきたところ、株主以外のステークホルダーも重視せよという考えをいいます。

株主以外のステークホルダーといいますと、仕入先、販売先、従業員、借入先、地域社会といったところです。株主はPL(損益計算書)の売上高からもろもろの費用が控除された最終の利益である当期純利益から利益を享受(配当)することになるので、株主を重視するのは分かるが、当期純利益に至るまでの費用に関係するステークホルダーも重視しようということです。

しかし、私はビジネス・ラウンド・テーブルが株主第一主義を掲げた時、米国の大手企業のサラリーマン社長の年収の高さを考えると、進展しないであろうという印象を持ちました。

米国の大手企業の社長は、サラリーマン社長であっても、数億円から数十億円の年収を貰っている人が多いと言われていますが、これが成り立つのは、株主が十分な利益を受けられることが前提になります。つまり、株主第一主義の下、経営陣が株主に十分な利益を与えるかわりに、社長は巨額の報酬を得ることができるのです。この米国の社長の高額報酬が従来どおりで変化がない限りにおいては、株主第一主義も大きな変化は生じないのかも知れません。