中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

エリオット・マネジメントによる日立国際電気株の買い増し

先日の新聞報道によれば、米ファンドのエリオット・マネジメントが日立国際電気株を買い増し、6.10%を保有しているとのことです。
日立国際電気は、米ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)がTOBを行うことをだいぶ以前に公表しており、TOB価格は1株当たり2503円ですが、その後、株価が上がりTOB一旦延期になっています。

ちなみに、昨日9月22日の終値は3000円です。ちなみにTOBとは、TOB価格(今回の場合は2503円)で市場外で株式を購入しますので、関心のある株主の方は応募して下さいというものですから、市場株価が2503円を超える場合には、株主は通常は応募しません。仮に市場株価が3000円とすると、当たり前ですが、TOBに応じるより普通に市場で売却した方が得するからです。

新聞報道によれば、エリオットの日立国際電気株の平均取得単価は2570円ということです。このため、エリオットは買い増しを行うことで株価を上げることで、TOB価格を上げることを狙っているというようにも言われています。

ところで、日立国際電気のようにファンドが保有する銘柄は通常、期待が先行するため株価が上がることが多いかと思います。理由は、投資ファンド保有することで、ファンドは物言う株主として、会社に対して増配や自社株買いを要求し、これに対して投資ファンドの要求を充たさないまでも会社は一定程度の増配をすることも多いので、市場で株価上昇の期待が高まることによるものです。

ただし、単にファンドが保有しても株主提案といったアクションを起さないと株価は一時は上昇するが、しばらくすると元の株価に戻るように考えます。