コーポレートガバナンス、株式投資、企業価値、IRなどに関する投資家目線での実務ニュース ー 強い意志のある投資を目指して

コーポレートガバナンス、中長期での株式投資、企業分析、企業価値評価、IR等について、新聞記事を中心に投資銀行・東証1部事業会社での実務経験を通じて気づいた観点を踏まえて分かりやすく解説していきます

電源開発への株主提案 ー 一般の機関投資家の株主提案が将来は増えるかも

今週はずっと忙しい1週間で週1回の在宅勤務も出来ず、アウトプットに追われていました。最近、勤務先でもかなり出社人数が増え活気があり、コミュニケーションを取るにはとても良いのですが、一方、資料や業務関連書籍を読んでインプットに時間をかけるには静かな在宅が必須かなとあらためて思っています。コロナ禍のこの2年間はオフィスにほとんど人がいなかったので、オフィスの方が静かで集中できたのですが、今は逆です。来週は資料を大量に集中して精読する時間が必要なので2日ほど在宅をしようかと思案中です。

さて、前置きが長くなりましたが、今週は環境関連の株主提案で日経新聞の1面に欧州最大の資産運用会社の仏アムンディ等が電源開発に脱炭素の株主提案をしたとの次の記事が掲載されていました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB108EO0Q2A510C2000000/

電源開発は株主提案の受領を次のとおり公表しています。

https://www.jpower.co.jp/news_release/pdf/news220513.pdf

アムンディ等の提案内容は、定款に次のような内容を盛り込むことを求めるもののようです。

  • 長期的な企業価値を高めるため、気候変動にかかるリスク及び機会を踏まえ、また2050年までにカーボンニュートラルを達成するとの電源開発の宣言に従い、パリ協定に沿った温暖化ガス排出量削減にかかる科学的根拠に基づく、短期的及び中期的目標を明記した事業計画を策定し公表すること
  • 年次報告書において、電源開発の設備投資が電源開発の温暖化ガス排出量削減目標との整合性についての評価の詳細を開示すること
  • 年次報告書において、電源開発の報酬方針が温暖化ガス排出量削減目標の達成をどのように促進するものであるかの詳細を開示すること

新聞でも報道のとおりですが、定款変更は株主総会の特別決議ですので、この株主提案が可決される可能性は極めて低い(とうかゼロ)とは思います。それよりも本件で一番の驚きは、アムンディが株主提案をしたことです。アムンディはフランスでESG投資に力を入れている機関投資家で、日本にもアムンディジャパンがあります。アクティビストではありません。

アクティビストなどの株主提案に機関投資家が賛同するケースも少しずつ増えている事実はありますが、アムンディのような一般の機関投資家が自ら企業に株主提案をすることはこれまで耳にしたことはありません。今回のアムンディの株主提案を契機に一気に株主提案が増えるとは思いませんが、多分、株主提案へのハードルはかなり低くなったと思います。アセットマネジャーである機関投資家に資金の運用を委託しているアセットオーナーから、今回の電源開発の件をきっかけに機関投資家に対して株主提案を後押しする動きが出てくるかも知れませんね。

しかし、最近のニュースを見ると株主提案が昨年より確実に増えていますね。私の場合、M&A関連のニュースが毎日配信される設定にしているのですが、毎日、数件の株主提案のニュースがあります。昨年より格段に増えています。

上場企業はアクティビスト・物言う株主のリスクをきちんと把握して対策する必要があります。また、個人投資家を含め物言う株主コーポレートガバナンス・コードをしっかりと読み込み、投資先銘柄に色々と株主提案が出来る絶好のチャンスということになります。「物言う株主の視点からのコーポレートガバナンス・コードの読み方」の連載記事を本日か明日にブログに掲載したいと思います。