中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス・アドバイザー / 長期での中小型株の割安株投資情報

最近のコーポレートガバナンスと資本市場の動向を踏まえ、上場企業実務の視点から中長期での企業価値向上に役立つ情報分析・発信をしていきます。個人投資家のコーポレートガバナンス力の向上による「意思のある投資」に役立つ情報発信もしています。また長期での割安株投資の情報も

個人株主の株式保有額は300万円未満が6割 – これでは株式投資でのリターンは期待できないはずです

株式投資をしていて、一体世の中の個人投資家は、どの程度の金額を株式投資に費やしているのだろうかと前々から思っていましたが、先日、たまたまこれが分かる資料を見つけました。

日本証券業協会が出しているレポートで「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(2019年2月)です。全国の個人投資家で20 歳以上の5,000 人を対象に調査をした結果が細かく書かれています。次のような内容になっています。

  • 年齢は 70歳以上が 3割近い(27.8%)。60 代が 2 割強(23.8%)。過半数(51.6%)を 60 代以上が占める
  • 株式保有額は、「100~300 万円未満」が 22.0%と最も多く、「300 万円未満」が約 6 割(60.1%)を占める。 推計の平均保有額は 660万円で、前回調査の 683 万円から若干減少
  • 保有株式の種類は、国内の証券取引所に上場されている国内株が 95.8%
  • 金融に関する教育を「受けたことがある」が 10.2%、「受けたと思うが、あまり覚えていない」(6.4%) を合わせると、合計は 16.6%。前回調査とほぼ同様。
  • 金融に関する知識は、問題の難易度が高くなるにつれて正答率が落ち、3問目「金利が上がったら、通常、債券価格は下がる」の正答率は 49.3%

 ここから分かることは、個人投資家には60代以上の高齢者が多く、しかも、彼らは、金融教育を受けておらず、詳しいことが分からないまま投資をしている素人ということです。ここまでは予想どおりです。投資をしていながら、「金利が上がったら、通常、債券価格は下がる」の正答率はが49.3%とは、どれだけレベルがいかに低いか分かります。おおかた株式雑誌を見て、「チャートから見てこの銘柄が期待大!」「今後伸びるテーマ!」という記事を見て株式を購入しているのだと思います。

私が気にしていた個人投資家の株式保有額ですが300万円未満が6割を占めているということです。「たったこれだけの金額で投資しているの?」とかなり驚きました。

300万円でも1銘柄に限定して集中投資すれば株価の値上がりで、一定の儲けは期待できますが、恐らく300万円で株式投資をしている方は、金融知識や財務会計知識もなく投資をしているので、何となく「株価が下った時が怖い」と考え、1銘柄当たり数百株程度で分散投資をしているケースが多いのだろうと想像します。

とすると当然のことながら、株価が値上がりしても保有株数が小さいので、儲けは小さいということです。もちろん株価が下った時のリスクも小さいですが。株価800円の株式を400株購入したとします(32万円の投資)、これですと株価が仮に300円上がっても12万円の儲けしかありません(売却したとして税金を引くと10万円程度です。)。一方、株価800円の株式を4,000株購入(320万円の投資)すると株価が300円上がると120万円の儲けです。

私の場合、株式投資をはじめた当初は、企業の財務会計も全くわかっておらず、200株、300株でちょこちょこ買っており、株価が上がっても投資金額が少ないので、全然儲けになりませんでした。その後、投資の考えを変えて分散投資では、貧乏人は貧乏人のままに終わるなと思い直した次第です。

富裕層(金融資産1億円以上)でない一般人は投資金額が小さいので、分散投資をすると株価が上がっても儲けが出ないということになりますが、では、一般人である個人投資家はどうすべきかですが、利益を上げるには、①投資する絶対金額を増やす②分散投資をやめ、銘柄数を絞り1銘柄当たりの投資金額を増やすということになります。

今は東証が投資単位を引き下げているので100株でも株式は購入できますが、これは東証が、個人株主の投資を促進するため1990年代後半に投資単位を引き下げたためであり、私が社会人になった時は1,000株が投資単位でした。株価500円の銘柄を買うとすると最低50万円が必要だったのです。

株式投資をするということは、最低1,000株がマーケットの本来の考えと言えます。私など当然ですが、富裕層では全くないので、投資金額に限界がありますが、1,000株が投資の最低ラインと考えています(800円であれば最低80万円の投資)。望ましいのは、1銘柄5,000株以上の投資、理想は1万株超なのだろうと強く思います。となると、おのずと投資銘柄は中低位株となります。

ただ、1,000株を超えると、銘柄が大きく売られ、株価が下るとそれなりに結構大きな含み損が出るので、かなり気が滅入ることもあるかと思います。が、そこは自分が分析をして投資をした銘柄ですので、銘柄を信じ、株価が下がった時は絶好のチャンスと考え、買い増す精神力が投資には必要なのだろうと思います。